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提督はBarにいる。

作者:ごません
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提督のバレンタインデーお菓子教室

 今日は2月13日。明日はバレンタインデーだ。いつもは静かに書類にペンを走らせる音が響く執務室が、ガヤガヤと喧騒に包まれている。執務室はバーカウンターのある店ではなく、コンロや水道が沢山並ぶ調理実習室のような様相だ。そこに駆逐艦や軽巡、空母など様々な艦種の連中がエプロン姿ですし詰め状態だ。その娘達の視線の先には、当然ながらエプロン姿の俺がいる訳だが。

「さぁ、今年もやって参りました!バレンタインデー前日恒例、提督によるチョコ菓子教室のお時間ですっ!」

 希望者が多すぎて司会進行を任せている青葉が生徒達を煽る。ワーッと上がる歓声。何だコレ。

「日頃感謝している上司に!仲の良い友達に!秘めた思いを向けているお姉様に!はたまた妹に!美味しく蕩けてしまいそうなチョコと共に、その想いをお届けしちゃいましょう!それでは提督、よろしくお願いしま~す!」

『よろしくお願いしまーす♪』

「お、おぅ」

 熱量がヤベェよこいつら。

「さて提督、今日は何を作るのでしょう?」

「今日は3品を用意した。『フォンダンショコラ』、『生チョコ風ガトーショコラ』、『ナッツ入りブラウニー』の3つから、好きなものを選んで3班に分かれ、それぞれ作ってもらう」

「では、材料と作り方をどうぞ!」

《おウチで簡単!フォンダンショコラ》

・チョコレート(市販のでOK。ビター推奨):100g

・バター:80g

・薄力粉:40g

・卵:2個

・砂糖:20g

・純ココアパウダー:5g

~作り方~

①チョコとバターを耐熱ボウルに入れ、600wで1分10秒溶かす。溶けたら熱い内にツヤが出てくるまでゴムへら等で混ぜる。

②卵と砂糖をクリーム状になるまで混ぜる。ハンドミキサーを使えば5分程でOK。

③砂糖と卵を混ぜた物にとろみが付いてきて、4倍くらいに膨らんできたら溶かしたチョコを加えてサックリと混ぜる。

④チョコと卵液が混ざったら、薄力粉とココアパウダーをふるいに入れて振るい、生地と混ぜ合わせる。再びサックリと混ぜて生地の完成。

⑤焼き菓子用の容器(使い捨ての紙製がオススメ)に移したら、170℃に余熱したオーブンで5分焼く。焼き上がったら取り出して、指で押すと凹み、シュワシュワ音がするようならOK。

⑥冷蔵庫で一晩冷やして完成。焼き立て感を味わいたいなら、容器から外して皿に乗せ、600wのレンジで20秒チンすると良い。



~材料4つで生チョコ風ガトーショコラ!~※分量18cmケーキ型分

・チョコレート(カカオ50~70%の物):250g

・生クリーム(動物性の物):250ml

・卵:4つ

・グラニュー糖:70g

~作り方~

①チョコレートを細かくし、耐熱ボウルに入れる。生クリームを沸騰させ、チョコの入ったボウルに加えてチョコを溶かしつつかき混ぜる。滑らかなチョコクリームになればOK。

※チョコと生クリームをレンジでチンしてもOK

②常温に戻しておいた卵とグラニュー糖をボウルに入れ、泡立てる。クリーム状になり、上から垂らした時に角が立たず、垂らした液がゆっくりと消える位まで泡立てればOK。

③泡立てた卵液をチョコクリームに2~3回に分けて加えて混ぜ合わせる。ゴムへら等でサックリと、混ぜ過ぎないように注意。

④ケーキ型にバター等を塗って側面にオーブンシートを貼り付ける。外側は湯煎焼きをするためにアルミホイルで覆っておく。

⑤ケーキ型に生地を流し込み、軽くテーブルに叩き付けて生地の中の大きい気泡を抜く。

⑥天板にお湯を張り、150℃に余熱したオーブンで60分焼く。表面が焦げてくるようなら、上にアルミホイルを被せる。

⑦焼き上がったら常温で粗熱を取り、冷蔵庫で一晩冷やす。粉が入っていないので、崩れやすいのに注意。

⑧型から取り出し、優しくカットしてやれば完成。




《混ぜて焼くだけ!濃厚ナッツブラウニー》

・バター:100g

・塩:ひとつまみ(有塩バターの場合は省略)

・ビターチョコレート:200g

・牛乳:60ml

・グラニュー糖:85g

・卵:2個

・薄力粉:60g

・純ココアパウダー:20g

・好きなナッツ類:100g

・ブランデーやラム酒:お好みで※無くてもOK!

①ナッツを150℃のオーブンで10分、カリッとするまで焼き、粗めに砕いておく。バター、チョコレート、塩(無塩バターの場合)を耐熱ボウルに入れ、湯煎又はレンチンで溶かす。

②チョコが溶けたら牛乳を混ぜ合わせる。その際、冷えた牛乳ではなく少し温めてあると作業しやすい。牛乳とチョコが混ざったら、卵とグラニュー糖を入れて更に混ぜ合わせる。香り付けにブランデーやラム酒等の洋酒を加えても良いが、酒が苦手な場合は省いてもOK。

③卵とグラニュー糖も混ざったら、ココアパウダーと薄力粉を振るって入れ、粉っぽさが無くなるまで混ぜ合わせる。砕いたナッツ70gを加えて更に混ぜ合わせたら生地は完成。オーブンを170℃に余熱しておく。

④四角い焼き菓子用の型に流し込む(四角い方が焼き上がりに切り分けやすい為)。生地を流し込んだら氷面をゴムへら等で均し、残しておいたナッツ30gを表面に散らす。余熱しておいたオーブンで15~20分焼く。

※オーブンの性能によって焼き時間は変化します。あくまで目安です。

⑤焼き上がったら粗熱を取り、12~16等分にカット。乾燥防止にラップで包んで、冷蔵庫で一晩寝かせると生地がしっとりして更に美味い。




 ホワイトボードに書き出した作り方を確認しつつ、和気藹々と調理を進めていく艦娘達。俺はその間を歩きつつ、解らない所を聞かれたら答えていく。さながら調理実習だな、コリャ。ってことは俺が家庭科の先生か?……いや、こんな厳つい見た目の家庭科の先生はいねぇな。自分で考えておいてちょっと切なくなりながら、艦娘達の周りを周回していく。

「提督?ちょっと窺いたいのですけれど」

「どうした夕雲?って、料理上手なお前がこんな所に珍しいな」

「うふふ、妹達の付き添いですから。それに……」

 夕雲がチョコクリームを混ぜながらしなだれかかってきた。

「提督とスキンシップが図れる数少ないチャンスですから♪」

「そうかい。んで、何が聞きたいんだ?」

「ブラウニーの香り付けのお酒、多めの方がお好みかしら?」

「入り過ぎると食べ難かったりするぞ?」

 ありきたりな答えでそう答えると、夕雲はムッとした表情になる。

「私は提督の好みが聞きたかったのに……イケズですね」

「おいおい、俺のレンジで作ったチョコを俺に渡す気か!?」

「あら、いけません?変な物を混入されるよりは安全じゃないかしら」

 思わず言葉に詰まってしまう。過去に如何わしい薬やら血が混入したチョコを渡された事もあっただけに、夕雲の言うことは尤もだった。

「……俺個人としては、多めの方が好きだな」

「は~い、多めにしておきますね♪」

 やれやれ、上手を取られると弱いね全く。その後も何度か俺の個人的な好みを聞かれたりしたが、大きな問題もなく料理教室は終わった。

~数時間後~

「やれやれ……書類仕事はこれで終了、と」

 時刻は午前1時。気付けば2月14日になっていた。料理教室の為に仕事を詰めてはいたが、今日中に決済しないといけない書類はどうしても発生する。料理教室の後の片付けをしつつ、書類をやっつけていたらこんな時間になっちまった。

「一息入れるか」

 誰に言うでもなくそう呟いて、コーヒーを淹れようと立ち上がったその時、執務室をノックする音が。

「開いてるぞ~」

「失礼します。遅くまでお疲れ様です、ア・ナ・タ……ふふっ♪」

「なんだ、間宮に伊良湖か」

「何だとはご挨拶ですね。折角差し入れを持ってきたのに」

 入ってきたのは間宮と伊良湖だった。最近ケッコンした間宮と伊良湖だったが、前よりも積極的にアピールしてくるようになった。特に間宮は2人きり(伊良湖を除く)の時には俺の事を『アナタ』と呼ぶようになっていた。何となく新婚ぽくて照れ臭い。

「お、バレンタインデーに合わせてチョコか」

「はい♪間宮と伊良湖特製のザッハトルテですよ」

「丁度いい、今から一服するトコだ。有り難く頂くぜ」

「あ、でしたら伊良湖がコーヒーを淹れます!」

 伊良湖が手を挙げて立候補してきた。折角だし、頼むとするか。

「うん、美味いなこれは」

 ザッハトルテは間にアプリコットのジャムが挟んであり、生地にもブランデーがたっぷりと効かせてあって俺好みの味だ。コーヒーとの相性も最高だ。

「そうですか?喜んで貰えて良かったです♪」

 しかし……何だろう。心無しか下腹部の辺りが熱いような。

「提督?たっぷりと食べたら運動もしないと、ですよ?」

 間宮と伊良湖は妖艶に笑っている。まさか。

「お前ら……一服盛りやがったな!?」

「ごめんなさい提督……私が悪いんです」

 伊良湖が頭を下げる。コーヒーの味に誤魔化されて気付かなかった。

「安心して下さい……ただの媚薬ですから♪」

「お、お前らなぁ……」

 頭がクラクラする。身体の奥底の方からマグマが沸き出して来るように熱い。

「大丈夫です、提督……アナタはただ、身体の滾りに身を任せて私達2人を襲ってくれればいいんですから」

 そう言って間宮と伊良湖が俺の眼前でしゅるり、と服を脱ぎ捨てた。その瞬間、俺の理性というブレーキは爆発四散してしまった。

 数時間後、俺は医務室で目を覚ました。どうやら俺は通常通りに執務室にやって来た大淀に発見され、そのまま医務室に担ぎ込まれたらしい。その時、大破状態の間宮と伊良湖が発見され、事情を聞いた嫁艦達は微妙な顔をしていたらしい。後日、間宮に物凄く謝られた。別にケッコンしてるんだから、相手をしてくれと頼まれれば普通に相手をするんだがなぁ。間宮曰く、

『一度でいいから野獣のような提督に襲われてみたかった』

らしい。また同じような事をするか?と尋ねたが、頑なに拒まれた。今度は普通の夜戦(意味深)でいいらしい。どういう事だ? 
 

 
後書き
オチのネタが書きたくて書き上げた。反省も後悔もしていない。

あ、バレンタインデーですので、例のアンケートも始めます! 
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