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おぢばにおかえり

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第四十三話 阿波野君が気に入れられてその十二

「とてもね、ただね」
「ただ?」
「阿波野君背が高いから」
 一七七あります、しかもよく見れば足も長いです。
「私一緒にいたら困るのよ」
「小柄だからですか」
「横にいたら見上げないといけないし」
 このことも大きいですし。
「しかも私の小ささが余計に目立つし」
「ううん、厄介な問題ですね」
「もっと大きくなりたいのに」
 胸にしてもです。
「姉妹三人共小さいのよね」
「私達もね」
「随分となのよね」
 その妹達も言います。
「小さいわよね」
「クラスでもね」
「最初はクラスでも高い方だったのに」
 私の場合はそうでした。
「それが急に成長止まって」
「そうなんですか」
「これ前も言ったと思うけれど」
「そういえばそうですか」
「ええ、もっとね」
 心から思っています、今も。
「あと五センチは欲しいわ」
「十センチじゃなくて」
「そう、五センチよ」
「何か控え目ですね」
「そうかしら」
「はい、背の話はしないの」
 お母さんが笑ってお話を止めにきました。
「いつも言ってるでしょ、うちの一族は女の人は皆小さいの」
「それも代々よね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「言わないの」
「言っても仕方がないから」
「そう、最初から言わないの、とにかくね」
「もうそろそろっていうのね」
「行ってきなさい」
「男の子と二人だけで」
 今度はこのことが気になりました。 
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