【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。
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0303話『帰還した後の説明』
前書き
更新します。
「―――ん……」
私は目を覚ました。
結構寝ていたのか体を起こすのがだるいな……。
見回してみれば数人の子達が暗い部屋の中で仮眠を取っているようであった。
心配をかけたな、このまま寝かせておこうかと思ったんだけど誰かが部屋に入ってきた。
「提、督……?」
「司令官さん……?」
「テートク……?」
そこには榛名に金剛、電の姿があった。
その手には水が入っている桶が握られている事から私の身体を拭きにでも来たのかな……?
とにかく、
「三人とも……ただいま」
「「「ッ!」」」
そう言うと三人ともすぐに涙目になって一斉に、
「「「よかったぁ!」」」
と言いながら私に抱きついてきた。
そんな三人の頭を撫でてやりながらも、
「心配かけてごめんな。もうこんな事にならないようにするから……」
「本当ですよ……? もう、榛名はこんな思いは嫌です……」
「ワタシもデース!」
「もう消えないでください、司令官さん!」
三人が騒がしくしてくれたおかげで部屋でそれぞれ仮眠を取っていたみんなも起きだしてきて何度も私を見ては抱きついたり涙を流したりしていた。
遅れて大淀と明石も部屋にやってきて、
「提督! もうお体は大丈夫なのですか!?」
「ああ。詳しい説明をしたいからみんなを集めてもらってもいいか?」
「わかりました。すぐに皆さんを起こしてきますね」
大淀はそう言って部屋を急いで出て行った。
「大淀も泣いていたなぁ……」
「当然ですよ! もう二日間以上は提督は眠っていたんですから」
「そんなに経過していたのか……」
「はい。私も結構きつかったんですよ……」
そう言って明石も涙ぐんでしまっている。
「ごめんごめん」
「いえ、もとはと言えば私の作った薬が原因ですから提督は悪くありませんよ」
「それを言われるとどっちもどっちな感じだけどな。とにかくみんなが集まれる場所に移動しようか。榛名、少し体がだるいんで支えてもらってもいいか?」
「わかりました!」
榛名に支えられながらもみんなが集まれる講堂へと足を運んでいって、そこにはすでに他のみんなも集まっていた。
みんな一様にホッとしたような表情になっていた。
やっぱり心配かけたな……。
まずはみんなに安心してもらえるように、
「あー、みんな。まずはごめん。心配かけたよな」
「本当だよー」
「提督はいっつも吾輩達に心配をかけるのう」
「もう明日はバレンタインだって言うのにそっちに集中できなかったよ」
「ちゃんと説明してくれよな提督!」
みんながみんな、それぞれきつい言葉は言えど私の事を心配してくれていた事を感じられて私はやっぱりこの世界に戻ってこられてよかったと思う。
もとの世界に戻りたいっていう未練も多少はあるけどもうこっちの世界が私の居場所なんだ。
「それじゃどう説明したものか……」
どこから話そうかと考えている時だった。
私の肩に妖精さんが姿を現して、
【それではこの私がみなさんに映像をお見せしましょうか?】
「妖精さん……? 映像って、まさか……あの世界での映像を記録していたのか?」
【はい。私もあの世界に一緒に連れていかれていたみたいで提督がもしもとの世界に帰られるのではないかと冷や冷やしていましたから】
「そっか。それじゃお願いしてもいいか?」
【お任せください。明石さん、艤装と接続しますので映像機器の用意をお願いします】
「わっかりました!」
妖精さんにそう指示をされて明石はすぐに動き出して映像機器を用意してもらった。
そして艤装からケーブルを伸ばして映像機器に接続し、あの世界での映像が再生される。
みんなもその映像を食い入るように見ていた。
そこにはあの少年と私のやり取りが一切合切記録されていたのだ。
少年が正体を明かしたところを見て、
「本当の神様なの……?」
「創造主って言っているからそうなんだろうね……」
「あんなガキがか?」
「天龍さん、見た目で判断するのは迂闊かと……」
など色々と意見が交わされていた。
そして私がなぜこの世界に送り込まれたのかの説明に入ると、
「ワッツ!? そんな事でAdmiralはこの世界に送られたっていうの!?」
「でもアイオワ。こうして提督と会えたのですからよかったのではないですか?」
「しかし、Admiralや我らはこの少年の思う通りに動かされていたのだな……なにやら複雑だな」
「そうね、グラーフ」
「この世界出身の我らからしてみても酷い話だな。銃殺刑ものだぞ?」
と、海外艦のみんなが主に意見を交わしていた。
続けて明石の薬の問題が出てきてみんなが一斉に、
『やっぱり……』
と明石の方へと視線を向けていて明石は思わずのけ反っていたのは印象に残っていた。
まぁそれも少年の手で解決する話だったからよかったのだけど、そこからがみんなも真剣にならざるえない内容だった。
少年のもとの世界に戻れるという誘惑の言葉。
それに一瞬でも期待してしまっていた私も私だから何とも言えない。
みんなも、
「もう、もとのデータに戻るのは嫌かなぁ……」
「そうね。こうして本物の身体を得た後にまた戻されるのはたまったものじゃないからね」
「うんうん」
と、元に戻るのは否定的だったんだけど、次のこの世界の闇の話になってみんなは一斉に押し黙ってしまった。
それはそうだろう。
そんな先の話でもありえるかもしれない話なのだから。
それでも最終的に私はこの世界に残る選択をした時の映像を見て、
「テートクゥ!」
「司令官は私達が守りますから安心してください!」
「おうよ! この摩耶様がきっちりと守ってやんぜ!」
「みんなでこれからの事を考えていきましょうね!」
と、そんながそれで私に色々と言ってくれたので嬉しい気持ちで溢れる感じを味わいながらも、
「ありがとう、みんな。この先困難が待ち受けていると思うけどみんなで乗り切っていこうな」
『はい!』
そして最後に少年からこの世界に残れるための宝珠を受け取ったところで映像は終了した。
【これが私が記録した映像の全てです。みなさん、それぞれ思った事はあるでしょうがどうか提督の決断を否定しないでください。みなさんのためでもあったのですから】
「わかってますよ。妖精さんも私達の事を信じてください」
「提督さん、私も頑張るから手伝わせてね?」
「わかったよ、シンちゃん」
シンちゃんも私の手を握って来ながらそう言ってきてくれた。
こうして私達の結束力はさらに高まったのであった。
色々とあるだろうけどもう切り替えて行こうという話になった。
さぁ、明日はバレンタインデーだ。
色んな意味で覚悟しておかないとな。
後書き
説明回が終わりました。
後残り話数は2、3話くらいですかね?
それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。
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