儚き想い、されど永遠の想い
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295部分:第二十二話 消える希望と灯る希望その八
第二十二話 消える希望と灯る希望その八
「最後の最後まで」
「では」
「そうされるのですね」
「決めています」
運命の時にだ。それはもうしていたというのだ。
そのうえでだ。真理は再び義正に話した。
「ですから」
「わかりました。では」
「二人で」
「はい、二人で一生いましょう」
こうしてだった。二人はだった。
その魔弾の射手の曲を聴き続ける。その中でだ。
序曲が終わりだ。次の曲だった。
合唱だった。勇ましく雄々しい曲だ。その曲を聴いてだ。
真理はだ。また言ったのだった。
「元気が出る曲ですね」
「そうでしょう。この曲は」
「何か。聴いているだけで」
「心が弾みますね」
「そうなります」
まさにそうだとだ。真理は義正に答えた。
「心から」
「私もです」
そしてそれはだ。彼も同じだというのだ。
「そうなります」
「左様ですか。義正さんも」
「はい」
こくりと頷いてだ。義正は答えた。
「そうした曲はワーグナーにも多いのですが」
「このウェーバーにもですね」
「こうした曲が多いのです」」
「そうですか」
「残念ですが彼はワーグナーより長くは生きられませんでした」
四十でだ。その労咳の為になのだ。
「ですがそれでもです」
「残してくれたのですか」
「その通りです」
「そうなのですか」
「しかしそれでもです」
「これだけの音楽を残してくれた」
労咳で死んでもだ。そうした。ウェーバーはそうしたとだ。
真理は知ってだ。そして義正に話した。
「では私も」
「同じことをされますか」
「そうしたいと思います」
これが彼女の決めたことだった。
「そうさせてもらいます」
「では」
「はい、それでは」
「明るくなることはまだ難しいですが」
それでもだというのだ。
「前に進まさせてもらいます」
「そうされますね」
「はい、そうします」
その決めたことをまた話すのだった。
「では今は」
「音楽が終わればどうされますか」
「御風呂の時間でしょうか」
部屋の中の時計を見た。独逸製の黒い樫の木の時計だ。
その時計のだ。古典的な西洋の数字を見てだ。義正に話すのだった。
「そこで今日の疲れを取って」
「それからですね」
「休まさせてもらいます」
そうするというのだ。
「今日は」
「それもいいですね」
「お風呂はいいものですね」
「心が落ち着き」
さらにだと。義正は話す。
「そして疲れが取れます」
「非常にいいものですね」
「入浴は西洋でもありますが」
「何処にでもあるものではないのですか?」
「あるにはありますが」
「しかしなのですか」
「かつては滅多に入るものではありませんでした」
西洋のそうした事情をだ。義正は真理に話したのだった。
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