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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第22話 久々の日常、小猫デートします!!後編

side:小猫


 私はイッセー先輩の手を引きながら街にある映画館を目指して歩いています。先輩の手は大きくて私の手を包み込んでくれてそれが言いようのない安心感と温かさを私に感じさせてくれます。


「先輩の手って大きくて暖かいです」
「小猫ちゃんの手だって小さいけど暖かいぞ。きっと小猫ちゃんの優しい心が浮き出てきてるんだろうな」


 先輩は頬を指で書きながらそう言いました。よく見るとイッセー先輩の頬が若干赤くなってるように見えます。もしかして私の事を意識してくれているんでしょうか?そうだったら嬉しいです。


「小猫ちゃんが家に来てから三日が過ぎたけど暮らしは快適か?何か不満でもあったら言ってくれ」
「そんなことはないですよ。イッセー先輩の家での暮らしは楽しいです。アーシアさんも仲良くしてくれますし充実しています」
「そうか、初めは大丈夫かなって思っていたけど不満がないなら良かったぜ」


 不満どころか大好きなイッセー先輩と同じ空間で過ごせるだけで幸せなんですが……今はちょっと恥ずかしくてそうは言えませんね。


「しかしあの時ぶつかった女の子とここまで親しくなるとは思わなかったな」
「入学式の時の事ですね。私もこんな経験が出来るなんて当時は思ってもいませんでした」


 そう思うと先輩との出会いって何だか運命を感じてしまいます。もしあの時先輩と出会ってなかったらグルメ界の事もグルメ食材の事も知らずに過ごしていたと思います。


(そして誰かを好きになるって感情も……)


 先輩がいてくれたから私はこの思いに気が付くことが出来た、自分の中にある仙術の力と向き合うことが出来ました。先輩には本当に感謝の言葉をどれだけ言っても足りないくらいの恩があります。


「先輩、ありがとうございます。私と出会ってくれて……」
「なんだ、急にそんな別れの挨拶みたいな事を言ったりしてどうしたんだ?」
「いえ、なんだかそう言いたくなったんです」
「そうか……なんか恥ずかしいな」


 ポリポリと自分の頬を指でかく先輩を見てフフッと笑う私、何だかいい雰囲気じゃないでしょうか?


(そうだ、今日のデートなら先輩に告白できるんじゃないでしょうか?)


 そうです、これはチャンスです!アーシアさんには申し訳ありませんが恋は戦いだっていう人もいますし遠慮していたらイッセー先輩を振り向かせることはできません。


(でも今はムードがないしもう少し後で告白したいですね、例えば夜景のきれいな場所とかで……いや私と先輩は学生ですしあえて身近な場所でもいいから二人っきりになってそれで……)


 二人っきりの空間で私と先輩しかいない甘い空間、最初は先輩はあまり意識してなかったけど何かの拍子で手が触れあってお互いを意識していく。そのまま見つめ合ってそして……


「……えへへ♡先輩、そんな所をさわっちゃだめですよぅ……♡」
「小猫ちゃん?映画館に着いたんだけどどうしたんだ?」
「はわっ!?な、なんでもないですよ!」


 どうやら妄想しているうちに映画館についてしまったようですね。


「それで小猫ちゃんは何が見たいんだ?」
「そうですね……」


 二人で何を見るか決めているんですが何がいいでしょうか?私が見たいものでいいって先輩は言いましたがそう言われると何にしようか迷ってしまいます。最近は先輩の影響でアニメも見てるからそういうのにしようかなって思ったときある映画のポスターを見て興味が湧きました。


「いちごの青春……?」


 ストーリーが気になったのでスマホで調べてみました。ストーリーとしては主人公の男の子は映画が好きで将来は映画監督になりたいと思い高校に入学したときに映画研究部を作った、そして高校で出会ったヒロインたちとの交流や青春を描いた甘酸っぱい恋愛物……とのことらしいです。


「先輩、私これがいいです」
「これか。でも次の上映までに少し時間があるな。その間町をぶらついてみるか?」
「……!はい!是非そうしたいです!」


 やった!これってもう間違いなくデートですよね!映画だけじゃなくて二人で町巡り……ああ、何だかドキドキしてしまいます……


 二人分のチケットを購入した後に私たちは町の中を見て周りました。二人でスイーツ巡りをしたりウィンドウ・ショッピングをしている途中でアクセサリーを売っている専門店に立ち寄り綺麗な首飾りを買ってもらいました。

 流石に悪いと思ったんですが先輩がグルメ界で取れた鉱石などはこっちで売ってお金にしているから余ってるくらいだ、と言って買ってくれました。それでも悪いと思ったんですが大事な後輩への贈り物と笑顔で言われてしまってはダメと言えずついつい甘えてしまいました。


「お、ここは……」
「?先輩、このゲームセンターがどうかしたんですか?」


 先輩はゲームセンターを懐かしい物を見るような眼差しで見ていました。


「ああ、前にこのゲームセンターに松田や元浜、それに桐生やアーシアと遊びに来たんだ。丁度オカルト研究部と合宿に行くちょっと前だったな。ゲーセンなんて言ったことなかったが楽しかったぜ。アーシアともプリクラとったしな」
「へー……そうなんですか」


 イッセー先輩とアーシアさんのプリクラ……ズルいです!私だって先輩とプリクラ取りたいです。


「(あ、しまったな。流石に付き合ってないとはいえ女の子と二人でデートしてるときに他の女の子との思い出を話すのはデリカシーが無かったか。)……小猫ちゃん、よかったらここで遊んでいかないか?俺、小猫ちゃんとプリクラとってみたいんだ」
「えっ、本当ですか?……嬉しいです。私も先輩とプリクラをとってみたいって思ってましたから」


 まさかのイッセー先輩からのお誘いに驚いてしまいましたがそれも一瞬で嬉しさで胸がいっぱいになっちゃいました。だって私からじゃなくてイッセー先輩から誘ってくれたんですよ、こんなの嬉しいにきまってるじゃないですか!!


「行きましょう、イッセー先輩!ほら、早く早く!」
「そんなに慌てなくてもゲーセンは逃げないって」


 イッセー先輩の手を引っ張ってゲームセンターの中に入り二人でプリクラを取りました。イッセー先輩の頬が触れ合ってしまうくらいに引っ付いてプリクラを取りました。一枚だけ先輩の頬にチュッとキスしたものも取れたんですがその時の先輩の顔が真っ赤で面白かったです。


「小猫ちゃん、ああいうイタズラは程々にしてくれよ」
「ふふっ、ごめんなさい。先輩にイタズラしてみたくなっちゃって」


 ペロリと舌を出して先輩にウインクすると先輩は顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまいました。


「先輩、どうしました?もしかして怒っちゃいましたか?」
「いや、違うよ。顔が赤くなったのを見られるのが恥ずかしくなっただけさ。(あっぶねー……小猫ちゃんが可愛くて思わず顔をそむけてしまったじゃねえか)」
「……?変な先輩?」


 その後は先輩と一緒にいろんなゲームをして遊んでいたんですがそこで思わぬ人たちに会ってしまいました。


「あれ、イッセーじゃん……って小猫ちゃん!?」
「なんでイッセーと小猫ちゃんが一緒にゲーセンにいるんだ!?まさかデートか!?」
「松田に元浜じゃねえか。お前らこそどうしたんだ、こんなところで?」
「俺たちは遊びに来てただけだ。そんなことよりも詳しく聞かせてもらおうじゃないか」
「そうだそうだ。なんで小猫ちゃんと一緒なんだ?まさかデートか!?」


 ……最悪です。イッセー先輩の友人である松田先輩と元浜先輩に出会ってしまいました。正直言って私はこの二人が苦手です。覗きの常習犯だしエッチなものを学校に持ってくるしとやりたい放題やってました。それでついたのが『変態二人組』という二つ名で正直関わりたくないと思ってたくらいです。その二人と出会ってしまったからにはデートの邪魔されるのは間違いないでしょう。


「まあデートみたいなもんかな」
「そうか、それならいいんだ」
「抜け駆けしやがってよー、コイツめ」


 ……あれ?なんでしょうか、この和やかな雰囲気は?てっきり激情してイッセー先輩に殴りかかっていくんじゃないかって思ってたのに全く違う反応をしているのに私は困惑してしまいました。


「なんだ、お前ら変に冷静だな。てっきり俺に殴りかかってくるかと思ったけどしないのか?」


 イッセー先輩もそう思ってたのかポカンとした表情を浮かべていました。


「まあこれが他の奴ならな……でもお前には色々助けてもらったしそんなことはできねえよ」
「それにイッセーだと怒りよりもなんか安心するんだよな、お前にもようやくそういった相手が出来たのかって」
「なんだそりゃ……お前ら俺の母ちゃんかよ」
「まああれだ、俺たちもお前に感謝してるんだ。じゃあおじゃま虫は退散するとしますか」
「避妊はしっかりしろよなー」
「な、なんてこと言うんだ!?」


 動揺する先輩をからかいながら二人は去っていきました。


「ったく、あいつら面白がりやがって……」
「あの、先輩。先輩はあの人たちになにかしたんですか?恩があるって言ってましたが……」
「ん?ああ、あいつらとは以前からつるんでたんだ、アーシアが学校に転入してきた時くらいの話になるんだけどあいつらって覗きとか学校に卑猥なものばかり持ってきたりしてただろ?今まではティアーユ先生や坂田先生など一部の先生がかばってくれたお陰で何とかなってたけど等々かばいきれなくなって退学寸前までに話が上がっていたらしいんだ」


 まあ普通ならそうなるでしょうね。ティアーユ先生は生徒の更生を信じて二人をかばってたらしく坂田先生も普段はズボラですが生徒には面倒見のいいところもありますからね。


「それを聞いた俺はアーシアや桐生も交えて二人を説得したんだ。最初は俺たちは退学になってもエロは捨てないって言ってたんだがアーシアが涙目で訴えると流石にこたえたのかもう覗きやエロいものは持ってこないって約束したんだ。それからは信頼を取り戻すために覗いた女子生徒に謝ったり学校の奉仕活動に俺やアーシアも手伝いながら取り組んでるんだ」
「……確かに最近はおとなしいって皆言ってましたがそういった事情があったんですね」
「あいつらって他の生徒みたいに見た目で俺を怖がったりしないしなんだかんだと相談にものってくれる友達想いな所もあるんだ。確かにあいつらがやってきたことは悪いことだ、でも今はそれを理解して反省してる。今はまだ信用はされてないが時期に皆もあいつらを認めてくれるさ」
「……少し見直しました」


 イッセー先輩は本当に嬉しそうに二人の事を話していました。イッセー先輩は怖いって皆に思われて距離を置かれてますがよく考えたらあの二人は先輩に物怖じしないで話しかけたりつるんでたりしていました。きっと先輩にとってあの二人はかけがえのない友達なんですね。なんだか羨ましいです。


「今度あいつらとも話してみてくれよ。小猫ちゃんと会いたいって言ってたしな」
「……そうですね、また機会があれば」


 私もイッセー先輩の特別になれるでしょうか……?



ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー


 ゲームセンターで時間を過ごしもうそろそろ映画の上映時間になりそうになったので私たちは映画館に向かいました。


「いちごの青春……どんな映画か楽しみです」
「そうだな、恋愛物はあまり見ないから俺も楽しみだ」


 上映席に座り映画の始まりを待つ私たい、でも恋愛物だからかやっぱりカップルが多いですね。ってあそこではキスしてるし……


「あ、あはは……やっぱりカップルが多いな?」


 先輩も周りの甘い空気に気が付いたのかちょっと気まずそうにしていました。でも私はこれをチャンスだと思い先輩の手を握りました。


「こ、小猫ちゃん?」
「こ、これくらいいいですよね?デ、デートですし……」
「あ、ああ。そうだな。デートだもんな……」


 お互いに顔を真っ赤にしながら意味の分からないことを言ってますが先輩も手を握り返してくれたのでこのまま映画を見ることにしました。そろそろ上映されますね、私は映画への期待と先輩の手のぬくもりというう二つのドキドキをこめて映画を見ることにしました。
 いちごの青春は王道の恋愛ストーリーで主人公が中学3年で受験を控えていた時屋上である一人の少女と出会うところから物語が始まりました。そしていろいろあって高校に入学して映画研究部を作りそこから合宿に行ったり学園祭をしたりヒロインを狙うライバルが現れたり修学旅行に行ったりと物語が進んでいきます。そして高校生活3年目の冬、主人公はヒロインとすれ違ってしまいこのまま卒業になってしまうのかと思いましたがそこに別のヒロインが現れて主人公を激励して主人公はヒロインに告白。そして二人は抱き合ってキスをしました。


「……」


 ちらりと先輩を見ると先輩は真剣に映画を見ていました。時々私の手を強く握ったりしていたので私は別の意味でドキドキしてましたが……


(私も先輩とあんな恋をしてみたいな……)




ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー


「いやー、いい物語だったな。偶にはああいう王道の恋愛ストーリーもいいもんだって思ったぜ」
「そうですね、見ていてドキドキしちゃいました」


 映画が終わった後、私たちは帰路についてました。楽しかったデートもこれでお開きになってしまいますね。結局先輩に告白する前に家についてしまいました。


「ただいまー……ってアーシアはまだ帰ってなかったのか。まあ飯は桐生と食ってくるって言ってたし俺たちは晩飯をつくるか」
「じゃあ私も手伝いますね」


 先輩と一緒に夕食を作って二人で食べました。その後は食器を洗いリビングのソファーで先輩の隣に座って先輩と他愛無い話をしていました


「それにしても今日は楽しかったよ。女の子とデートなんて初めてしたよ」
「そうなんですか?」
「ああ、グルメ界にいたころは猛獣とばかり戦ってたしこっちに帰ってからも女子とは縁がなかったからな……まあ今は小猫ちゃんやアーシア、リアスさんたちといった美少女と交流できてるけど当時はそんなことになるなんて思ってもいなかったしな」
「じゃあ私が先輩の初めての相手になるんですね」


 そう言って私が微笑むとイッセー先輩はまた顔を赤くして頬を指でかき出しました。先輩って照れたりすると頬をかこうとするんです。だから先輩が照れてるって直にわかっちゃいます。


「初めてのデートが小猫ちゃんだなんて俺も運がいいな、だってこんなかわいい子とデートなんてなかなかできないし小猫ちゃんなら沢山の男が誘いそうだしな」
「そう言ってもらえると嬉しいです。でも私はイッセー先輩以外の人とデートはしないですよ?」
「えっ……?」
「先輩だけです。私がこうやって一緒にいたい男の人はイッセー先輩だけなんです……」


 ボソッと言った私の言葉は先輩に聞こえたようで今日一番の真っ赤な顔を見せてくれました。


「お、おっと!もうこんな時間か。そろそろアーシアも帰ってくるかもしれないし俺は風呂でも洗ってくるかな!」


 先輩はそう言ってソファーから立ち上がりお風呂場に行こうとしました。アーシアさんはまだ帰ってきてない……ならこれが最後のチャンスかもしれません!そう思った私はリビングからお風呂場に向かおうとしていた先輩に抱き着きました。


「こ、小猫ちゃん?一体どうしたんだ?」
「イッセー先輩、前にここでレーティングゲームが終わった後に打ち上げをしたのを覚えてますか?」
「ああ、その時に小猫ちゃんが猫又だって聞いたからよく覚えてるよ」
「実はあの時に言えなかったことがあるんです……」
「言えなかったこと?」


 私は先輩から離れて意を決して先輩に言いました。


「先輩、私……先輩の事が大好きです!一人の男として先輩が大好きなんです……!!」
「……えっ?」


 先輩は最初何を言われたのか分からないような顔をしていましたが途端に驚いた表情を浮かべました。


「初めて会った時からずっと気になっていたんです。美味しそうにご飯を食べる先輩も顔を真っ赤にして慌てる先輩も戦ってるときの荒々しくもかっこいい先輩も……先輩の全部から目がはなせなくなっちゃったんです……」
「小猫ちゃん……」
「あなたがいてくれたから私は仙術と向き合うことができました。私を強くしてくれた先輩がこの世界で一番好きなんです。ずっと傍にいさせてください、私を先輩のお嫁さんにしてください……!」


 私は先輩を真っ直ぐに見つめてそう言った。イッセー先輩は初めは驚いていたが真剣な表情で私に向き合った。


「……小猫ちゃん、君がそこまで俺の事を想っていてくれたなんて知らなかったよ。正直そういった感情を異性から向けられたことがなかったからさ、全然わかんなかった。でも小猫ちゃんが勇気をだして告白してくれて、俺、分かったんだ。俺も小猫ちゃんが好きだ!」
「…!っ先輩!!」
「最初は妹みたいに思ってたけどだんだんと小猫ちゃんの事が気になっていったんだ。ライザーに君を取られそうになった時言いようのない不安が胸の中に出てきたんだ。あの時は後輩のためなんてもっともらしい事を言ったけど今わかったよ、俺は君を他の男に取られたくないって。だから俺は小猫ちゃんを助けたいって思ったんだ。こんなガサツで大食らいの俺なんかでよかったら俺の恋人になってほしい!!」
「先輩っ!!」


 私は嬉しくなって先輩に抱き着きました。だってずっと夢に思っていたことが現実になったんですもん!嬉しくて仕方ないです!


「嬉しいです……私、先輩の恋人になれたんですね?」
「ああ、今まで君の気持ちに気が付けなくてごめんな?」
「いいんです、こうやって先輩と結ばれることができたんですから……」
「小猫ちゃん……」
「先輩……」


 私は目を閉じて唇を上にあげる、先輩はそっとかがんで私の頬に手を添えて……優しくキスをしてくれました。


「んっ……ちゅ……はぁ……ふふっ、先輩からキスしてくれましたね」
「前は小猫ちゃんからだったな。今思えば女の子にキスされてお礼だなんて思った俺って本当にバカだったな」
「本当ですよ、私は誰にでもキスするような女じゃありませんから……悪いと思ってるならもっとキスしてください」
「ああ、わかったよ」
「ん……」

 
 ガタッ!


 ……えっ?今リビングの扉から何か音がしたような……?そう思い先輩とのキスをやめて音がした方に視線を送るとそこにはアーシアさんがいました。


「ア、アーシア!?いつからそこに!」
「あ、あの……私今帰ってきて、その……リビングに入ろうとしたらイッセーさんと小猫ちゃんが、その……」
「アーシア、その、これはだな……」
「いいんです。二人が結ばれたのはキスしている時点で把握できました。……おめでとうございます。二人が恋人になれて私も嬉しいです。……じゃあ私はこれで……」
「待ってください、アーシアさん」


 私はリビングから立ち去ろうとしたアーシアさんの右手をつかみました。


「小猫ちゃん……?」
「……アーシアさんはいいんですか?このまま私と先輩が恋人になっても?」
「でもイッセーさんは小猫ちゃんを選びました。なら私は二人の幸せを祝福するだけです」
「……全く、そんな涙目で言っても説得力なんてないですよ」


 私はアーシアさんをそっと抱きしめました。


「アーシアさん、私はアーシアさんなら一緒でもいいと思ってますよ?」
「えっ……?でも、そんな事……」
「前に言ったじゃないですか、アーシアさんの事は家族みたいに思ってるって。だから二人でイッセー先輩のお嫁さんにしてもらいましょう」
「……本当にいいんですか?私なんかがいても……」
「正直私一人だとイッセー先輩を支えられるかわかりませんしアーシアさんならかまいません」
「……わかりました。私も勇気を出します」
「その意気です」


 アーシアさんは私から離れて先輩の方に向きかえりました。


「ちょ、ちょっと待ってくれ!話が分からないんだが……」
「もう!私の気持ちに気が付いたならアーシアさんの気持ちにも気が付くでしょう?」
「アーシアの気持ちって……まさかアーシアも俺の事を?」
「……はい」


 アーシアさんは顔を真っ赤にして先輩の質問に頷きました。



「えっと、その……いつからなんだ?」
「初めて会ったときからです。イッセーさんは出会った私に優しくしてくれました、それどころかレイナーレ様たちから私を引き取って下さり学校まで通わせてもらっています。イッセーさんには返せないほどの恩を貰いました。だから……」
「……そうか、アーシアも俺の事を想っていてくれたんだな……」


 先輩はアーシアさんの気持ちを知って少し気まずそうな表情を浮かべました。


(どうしよう、俺は小猫ちゃんを選んだ。でもアーシアも俺の事が好きだって……正直メチャクチャ嬉しいが二人をお嫁さんにするっていっても日本の法律じゃダメなことだし……)
『何を下らないことで悩んでいるんだ』


 先輩が何か考え込んでいると先輩の左腕に赤龍帝の籠手が現れてドライグの声が聞こえてきました。


「ドライグ!?寝てたんじゃないのか?」
『そのつもりだったがお前が優柔不断すぎて起きたんだ。別に二人を娶ってもかまわないだろう?グルメ界にはそういった法律なんてないしそもそも本人たちが納得してるなら猶更だ』
「それはまあそうかもしれないが……」


 ドライグ、ナイスです!思わぬ助け船に私とアーシアさんは笑みを浮かべました。


『それにどっちも守ると約束したんだろう?なら男らしく女二人くらい守って見せろ、思い立ったが吉日なんだろう?』
「……そうだな、ウジウジ考え込むなんて俺らしくねえ。分かった、俺も覚悟が決まったぜ!」


 先輩は両手で自分の頬を叩くと私とアーシアさんを抱きしめました。


「小猫……いや白音!アーシア!俺は二人が大好きだ!!ずっと俺の傍にいてほしい、誰かになんて言われようと絶対に離さない!だから二人を俺の恋人にさせてくれ!!」
「イッセー先輩……!はい!私も大好きです!!」
「イッセーさん、ずっとお傍にいさせてください、大好きです……!」


 私はイッセー先輩にキスをしてその後にアーシアさんが先輩にキスをしました。ようやく三人の心が一つになれましたね。


「しかしまさか今日で恋人が二人もできるとはな……リアスさん達になんて言おうか……」
「大丈夫ですよ、先輩。部長たちも祝福してくれます」
「そうですよ。桐生さん達も絶対におめでとうって言ってくれます」
「そうだな。まあとりあえず今は風呂に入るか。もうこんな時間だしな」
「じゃあ私とアーシアさんも一緒に入ってもいいですよね。もう恋人なんですし……」
「え、いや流石に付き合ったばかりでそれは早いんじゃ……」
「ちゃんと水着は着ますよ、ねっ、アーシアさん?」
「はい、小猫ちゃん」
「んー……じゃあ三人で入るか」
「「はい!」」


 その後は三人で一緒にお風呂に入りました。先輩の家のお風呂は結構広いので三人で入っても余裕がありました。私とアーシアさんが先輩の体を洗ってあげたり先輩に体を洗ってもらい一杯イチャイチャしました。


「ふう、さっぱりしたな。風呂上りのアイスが美味い」
「先輩、はいあーん」
「あーん……ん、やっぱりアイスはスー〇ーカッ〇のバニラ味だな」
「イッセーさん、次は私があーんしますね」


 今は先輩の膝の上にアーシアさんと一緒に座ってアイスの食べさせあいっこをしています。


 ビーッ!ビーッ!ビーッ!


 その時でした、突然異次元七色チョウを入れてあるケースについてあるランプが光りだしました。因みにこっちの家にいる異次元七色チョウの名前がシュウでスイーツハウスにいるのがマイという名前らしいです。


「先輩、シュウの入ってるケースについてるランプが光ってますがあれはなんですか?」
「あれは向こうで誰かが俺を呼んでいるんだ。何か緊急の依頼などがあった場合はマイの入ってるケースについている赤いボタンを押すとこっちのランプが光る仕組みなんだ」
「そんな仕掛けがあったんですね、でもどうやってシュウとマイをケースにいれたんですか?確か凄いデリケートだったんじゃ……」
「俺がグルメ界に入ったのは5歳の時だ。それから8年間はグルメ界で過ごしていたんだがある日スイーツハウスを建てた場所にマイが入ってきてな。なんだと思って触れてみたらこの家が建つ前の空き地に立っていたんだ。そして辺りを見渡すとシュウがいた。どうも二次元七色チョウには好みの場所があるらしくシュウはここ、マイはスイーツハウスに居ついてしまったんだ。俺はIGOの会長にこのことを話して直に異次元七色チョウを調べてもらってこのケースを作ってもらったんだ。でも大変だったぜ、コイツらデリケートだから他の研究員が触ろうとすると弱っちまうし俺と親父が調べるしかなかったんだ」
「先輩には触れさせてくれるんですか?」
「ああ、なんでかな?もしかしたら俺や親父には異次元七色チョウが好きな匂いでもするのかもしれないな。そういえばオカルト研究部の皆が近寄っても嫌がらないな。向こうじゃIGOの職員がケースに近寄っただけでも嫌がるのに変だな?」


 さりげなく先輩の過去について重要な事を知ってしまいましたがシュウとマイとはそんな出会いがあったんですね。


「とにかく向こうで誰かが俺を呼んでいるって事だしちょっと行ってくるよ」
「あ、私たちも行っていいですか?」
「えっ?まあ大丈夫だと思うが……」
「決まりですね」


 そして私たちはシュウに触れてグルメ界へと向かいました。スイーツハウスに着くと近くのマシュマロソファーに誰かが座っていました。


「久しぶりね、イッセーちゃん」
「アンタは、ウーメン梅田じゃないか、久しぶりだな」


 先輩がウーメン梅田と呼んだ人は濃い青ヒゲとおかっぱ頭をしたグラサンをかけた男性でした。でも女言葉でしゃべっているのでオネエという人なんでしょうか?


「先輩、この人は……」
「彼はウーメン梅田。IGO事務局長で組織の中でもトップ10に入る人物だ」
「初めまして、私はウーメン梅田。気軽に梅田とでも呼んで頂戴」
「あ、はい。分かりました」


 自己紹介を終えた後に私たちはソファーに座りました。


「こんな夜遅くにごめんなさいね、イッセーちゃん」
「構わないさ。でもヨハネスじゃなくてアンタが直接来るなんてな、よっぽどヤバい依頼でもあるのか?」
「話が早くて助かっちゃうわ。ええ、そうなの。実は例の組織が等々本格的に動き出したの。すでにいくつものグルメ食材が奪われたとの情報が入ってるわ。あなたがかつて取ってきた『虹の実』も全部奪われたわ」
「じゃあトロルコングたちは……」
「残念ながら……」
「……そうか。奴らが遂に動き出したか」


 先輩は怒りを隠すように私とアーシアさんの頭を撫でながら悲しそうにつぶやきました。組織が何なのかは分かりませんがあのトロルコングたちが何者かに殺されたってことだけは分かりました。
 先輩はかつてトロルコングとぶつかり合いましたがそこには彼らに対する怒りや殺意はありませんでした。そんな先輩だからこそ命が無下に扱われたことが悲しいんだと思います。
 私はそっと先輩に寄り添い先輩の手を握りました。


「……ありがとうな、小猫ちゃん。……それで本題は一体なんだ?」
「奴らの次のターゲットは予想だと『リーガルマンモス』だと警戒してるわ。所長が警戒してるから万が一って事はないでしょうけど保険として四天王を招集することになったの。どう?リーガルマンモス……いや『ジュエルミート』の捕獲を依頼したいのだけど引き受けてくれるかしら?」
「……ああ、勿論だ。美味い食材があるなら俺はどこにでも行くからな!」


 どうやら次の目的の食材は『リーガルマンモス』と呼ばれる生き物らしいです。でもマンモスって図鑑でしか見たことがないですが結構大きい動物ですよね?果たしてどんな生物なんでしょうか……


「じゃあ行くとするか、第1ビオトープにな!!」


 
 

 
後書き
 こんにちは、小猫です。遂にイッセー先輩と恋人になれました、次回からはもっとイチャイチャしていきたいですね……えっ?そんな暇はない?次回は再びグルメ界での冒険です。第23話『現れた伝説!大陸の王者バトルウルフ!!』でお会いしましょうね。にゃん♪ 
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