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ドリトル先生と奈良の三山

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第六幕その六

「それじゃあね」
「そう、頼むよ」
「このことはね」
「僕達も応援してるから」
「絶対にだよ」
「その応援の理由もわからないけれど」
 こうしたことは学問と違って全くわからない先生です。
「皆がそこまで言うなら」
「そうしてね」
「このこと大事だから」
「じゃあ頑張ってね」
「埴輪忘れたら駄目だよ」
 こう言ってです、皆は先生に埴輪を買ってそれを日笠さんに贈りものをすることを約束してもらいました。
 そしてです、こう言ったのでした。
「次の場所行こう」
「それで次は何処に行くの?」
「卿は古墳を観て回るっていうけれど」
「それでもね」
「何処に行くのかな」
「高松塚古墳だよ」
 そこだと答えた先生でした。
「そこに行こう」
「あそこも有名らしいね」
「飛鳥時代の重要な歴史資料の一つだっていうね」
「明日香の他の場所と一緒で」
「そうだよね」
「うん、そうだよ」
 その通りだというのです。
「じゃあ行こうね」
「うん、そこにね」
「今度は高松塚古墳ね」
「明日香村って古墳も多くてね」
「観て回れるね」
「それも楽しいよね」
「ええ、本当にね」
 こう言って実際にです、先生は皆と一緒に高松塚古墳に向かいました。そうして古墳の中に入るとです。 
 昔の、まさに飛鳥時代の絵画があってです。その絵はといいますと。
「奈良時代の絵みたいだけれど」
「もっと古い話ね」
「昔の中国の服ね」
「奈良時代の日本の服と同じね」
「そう、この頃から日本は中国の政治システムを取り入れてね」 
 そしてというのです。
「官吏や貴族の人達の服装もね」
「当時の中国のものになっていたんだ」
「隋とか唐の」
「その服を着ていて」
「それでだね」
「この絵でもだね」
「そうした人達が描かれていたんだ」
 まさにというのです。
「そのこともわかるんだ」
「成程ね」
「そうなったんだね」
「いや、面白いね」
「そうしたこともわかるなんてね」
「そうだね、後ね」
 さらにお話した先生でした。
「絵には人達だけが描かれていないね」
「うん、生きものも描かれているね」
「ちゃんとね」
「四方にね」
「確かこの生きもの達は」
「青龍、白虎、朱雀、玄武だよ」
 先生はその生きもの達の名前も出しました。
「これも中国から来たんだ」
「ええと、五行思想?」
「先生前そのお話もしてたわよね」
「そうよね」
「中国の東西南北や色、景色、自然のものを司る」
「そうした生きもの達よね」
「神獣だったわね」
 動物の皆もこの生きもの達のことは先生からお話を聞いて知っています、先生は中国のことにも詳しいのです。
 そしてまずはその青龍を観ました、生きもの達の大きさは一緒に描かれている人達と同じ位です。 
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