提督はBarにいる。
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時期外れの餅リメイクレシピ特集・その2
「う~ん、やっぱり甘辛い味付けってご飯が欲しくなるね!」
餅の肉巻きを頬張りながら、照月がそんな事を言った。
「いや、餅をおかずにご飯って……」
まぁ、お好み焼きとかたこ焼きみたいな粉物をおかずにご飯を食べるような感覚か?そう考えればそれほど変な食い方でも無いか。そんな事を考えながら、俺は調理を進める。
「……なぁ提督、1つ聞いてもいいかい?」
肉巻きを口に運んだ箸を咥えたまま、初月が聞いてきた。
「何だ?」
「何を作ってるんだい?」
「何って……カレー?」
そう。今俺が中華鍋を振るいつつ作っていたのはカレー。それも、冬が旬の根菜を使ったドライカレーだ。……え、ドライカレーじゃなくてキーマカレーだろって?ドライカレーってのは日本独自のカレーで、挽き肉使って作る水気のほとんど無いカレー。キーマカレーは同じく挽き肉を使うが、スープ状でも水気少な目でもキーマカレーなんだ。だから、俺の今作ってるカレーはドライカレーだ。異論は認める。……話が逸れたな、とりあえずこのカレーのレシピはこちらだ。
《冬野菜のドライカレー!》※分量2人前
・牛豚合挽き肉:200g(お好みで変更してもOK!)
・ゴボウ:100g
・レンコン:100g
・玉ねぎ:小さめ1個
・ホールトマト缶:1缶
・カレールー:適量
※隠し味、ちょい足し調味料はお好みで。
さて、作ろうか。……と言っても、大して難しい事はない。ゴボウ、レンコン、玉ねぎを細かく刻んで、合挽き肉と炒める。水気が出てきたらホールトマト缶を加えてトマトを潰しながら少し煮込む。ルーを加えてひと煮立ちさせたら味見をして、味を整えれば完成だ。ちなみに俺はどろソースを足して味に深みを出してるぞ。
「……って、そうじゃなくて!何でカレーを作ってるかを聞きたいんだ!今日は餅を食べる為に来たのに」
「初月、よ~く考えてみろ。……餅の原料はなんだ?」
「えっ?」
「だから、餅の原料だよ、原料」
「えっと……餅米?」
「そう、餅米だ。普通のご飯として食べるうるち米と餅米という差はあるが、米は米だ。カレーが合わない道理はない」
そう、カレーはあくまでも料理の材料の1つ。今日のメインは餅だ。
《不味いはずがない餅カレードリア!》※分量?知らんな
・カレー:適量
・ピザ用チーズ:適量
・餅:食べたいだけ
さぁ、一番面倒なカレーは出来てるからさっさと仕上げるぞ。グラタン皿を用意する前に、オーブンを230℃に余熱しておく。
餅は食べやすい大きさにカット。四角い切り餅なら4つ位に切るのがオススメだな。
グラタン皿を用意したら、カレー、ピザ用チーズ、餅、カレー、チーズの順に重ねていく。後は余熱しておいたオーブンで15分程、こんがりと焼き上げれば完成だ。
「はいよ、『餅カレードリア』だ。熱いから気を付けろよ?」
じゅうじゅう、グツグツと湯気を上げるドリアを前にして、ゴクリと喉を鳴らす3人。いざ食べようとフォークを突き入れれば、こんがりと焼けたチーズと熱々のカレー、そして柔らかくなって伸びる餅が顔を出す。それらをしっかりとフォークで絡め取り、ふぅふぅと息を吹き掛ける。しかし冷まし過ぎては美味くない。まだ熱そうなそれを口に頬張れば、
「「「~~~~~~~っ!」」」
3人揃って声にならない悲鳴を上げている。余程熱かったのか、涼月なんか涙目で悶えている。ちょっと背筋がゾクッとしたのは内緒だ。
「だから言ったろ?気を付けて食えよって」
「れも、あんまりひゃまひたらおいひくないとおもっひぇ」
呂律が回ってないぞ、照月。
「しかし、流石に美味いよ提督。口の中が火傷しても食べたくなる」
初月がそう言うと、涼月もウンウンと頷いている。
「そうか。ミートソースを使った『餅ラザニア』もあるんだが……食べるか?」
「「「食べる!」」」
良い返事だ。
《今さら聞けない基本のミートソース!》
・挽き肉:500g
・ニンジン:1本
・セロリ:1本
・玉ねぎ:1個
・赤ワイン(無ければ他のお酒や水):200cc
・コンソメキューブ:3つ
・ケチャップ:大さじ5
・とんかつソース:大さじ5
・塩、胡椒:少々
・ホールトマト:1缶
・バター:10g
・ローリエ(あれば):1枚
・オリーブオイル:大さじ2
ラザニアはパスタとホワイトソース、ミートソース、チーズを重ね合わせて焼き上げる料理だが、今回はホワイトソースを省略。まずはミートソースから作っていこう。
玉ねぎ、ニンジン、セロリは細かく刻んでおく。他にもにんにくや干し椎茸なんかのキノコ類のような香味野菜を足しても美味しいぞ。
フライパンにオリーブオイルを引いて熱し、刻んだ野菜を炒めていく。肉を入れる前にしっかりと野菜を炒める事で、野菜からの旨味や出汁を引き出す。更に炒めて飴色になってくると、ソフリットといってイタリアンの隠し味に使う野菜ペーストになるんだが……今回はミートソースの具材にするために食感を残したいので、そこまで炒める必要は無いぞ。
野菜に油が回って玉ねぎが透き通って来たら、挽き肉を投入。種類は問わないが、出来れば豚や牛のように脂身のある肉の方がいい。脂が多すぎるとしつこくなるが、やはり旨味に繋がる事には間違いないからな。
肉に火が通って来たら、赤ワイン、コンソメキューブ、ケチャップ、とんかつソース、ホールトマト缶、あればローリエを加えて煮込む。時間にして10~15分くらいかな。時々かき混ぜて焦げ付かないように注意。
煮詰まって来たら味見をして、塩、胡椒で味を整える。ローリエを取り除き、仕上げにバターを入れて溶かし、コクをプラスすれば完成だ。纏めて作っておけば冷凍も利くし、結構長くミートソースを使った料理が楽しめるぞ。と、ミートソースの香りがカウンターの方に漂っていったのか、くうぅ……と可愛らしい腹の虫の鳴き声が聞こえた。誰のだろうと視線を送ると、顔を真っ赤にしてアワアワしている涼月が目に入った。
「す、すみません提督……!はしたなくて」
「いや、いいさ。むしろいっぱい食べる元気な方が好みだぞ?俺ぁ」
病気や貧困で食べられなくて困っている人間も居るってのに、痩せたいとかそんな傲慢な理由で飯を食わないなんて言語道断だ(病気によるカロリー制限は除く)。むしろしっかりと食べて、適度な運動などでスリムな体型を保っている健康的美人の方が魅力的だね。モデルなんかにたまに居る、ガリガリに痩せた女は逆に気持ち悪くさえ見える。
「ほ、本当ですか?」
「おうよ。ってか、基本お前ら線が細いんだからもう少し食えよ……心配になるから」
さて、話が逸れたな。出来立てのミートソースを使って『餅ラザニア』を作っていこう。
《熱々美味しい!餅ラザニア》※分量2人前
・切り餅:4個
・ミートソース:280~320g(市販のレトルトでもOK!)
・ほうれん草:適量
・ピザ用チーズ:適量
さて、作ろうか。……と言っても、基本はさっきの餅カレードリアに近い。餅は厚みを半分か三等分にするようにスライスし、彩りのほうれん草をサッと茹でておく。ほうれん草は時期によっては小松菜や他の青菜系の野菜に変えても美味いぞ。今回は旬の小松菜を使って作る。
グラタン皿を用意して、ミートソース、スライスした餅、茹でた青菜、ミートソース、餅、チーズの順で重ねる。
後はオーブントースター等で焼くだけだが、カレーと違ってミートソースを焦がすのはあまりよろしくないから、短めの時間でチーズに焦げ目が付けば完成だ。
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