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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第21話 久々の日常、小猫デートします!!前編

 
前書き
  

 
side:小猫


「んん……くあぁ……」


 皆さんおはようございます、小猫です。窓から照らされる朝の日差しを感じて私は目を覚ましました。イッセー先輩の家で暮らすことになった私は二階の空き部屋を借りてそこで生活しています。猫耳のついたフード付きのパジャマのフードを頭から下ろした私は時計を見てそろそろ起きる時間と判断してスリッパを履き一階に向かいました。


「あ、おはようございます。小猫ちゃん」
「おはようございます、アーシアさん」


 一階の洗面所に行くとそこにはアーシアさんがいました。私は彼女に挨拶をして洗面台の前に立って顔を洗います。


「小猫ちゃんと一緒に住む様になって3日が立ちましたけどここでの暮らしには慣れましたか?」
「はい、イッセー先輩もアーシアさんも良くしてるのでここでの生活は楽しいです」
「私も家族が増えたみたいで嬉しいです」


 イッセー先輩が好きな者同士初めはギスギスするかなって思いましたがアーシアさんは気にもしてないそうです。それどころか家族のように接してくれるので私も彼女のことをもう一つの家族だと思っています。


「イッセー先輩は起きていますか?」
「はい、今は朝食を作っていらっしゃいます」
「今日の御飯当番はイッセー先輩でしたね。朝食が楽しみです」


 ここに住む様になって最初に決めたのが一日ごとに料理する人を交代していく決まりです。イッセー先輩やアーシアさんの手料理は美味しいから私も精進しないといけません。


「おはようございます、イッセー先輩」
「お、小猫ちゃん起きたのか。おはようさん、今デビル大蛇の肉を使ったハンバーガーを作ってるからちょっと待ってな」
「じゃあ私は食器を用意しますね」
「頼んだぜ、アーシア」


 洞窟の砂浜で捕獲したデビル大蛇の肉は一部をIGOに渡して残りは私たちが貰いました。ジュージューという音と香ばしい香りがキッチンに広がり食欲を沸かせます。


「後はココ兄からもらったネオトマト、レモレタスとミネラルチーズを乗せれば…よし、出来た!名付けてデビルバーガーだ!」
「うわぁ!美味しそうです!」


 先輩が作ったハンバーガーが私の目の前に運ばれてきました、速く食べたいです。


「それじゃあ手を合わせて…食材に感謝をこめて頂きます」
「「頂きます!」」


 私は肉汁溢れるデビルバーガーにかぶりつきました。デビル大蛇のハンバーグはちょっと癖がありますがジューシーで肉の旨味が口一杯に広がります、そこにミネラルチーズのとろけるような味が加わり更に美味しくなりました。ちょっとくどくなったかなと思った時にネオトマトの瑞々しい果肉とレモレタスの爽やかな酸味が更に肉の味を深めてくれます。パンズもフワフワで美味しいです。


「そのパンズはムキムキコムギで作った俺の手作りだ。市販の物よりもフワフワで生地の味が強いから濃厚なハンバーグやチーズも負けずしっかりと主張する。パンズとハンバーガー、チーズにトマトやレタス、これらが纏まって一つの美味いハンバーガーになるんだよな」
「あ、それ何かの漫画で見ました。肉が良くてもパンズが駄目だとハンバーガーとしては駄目だと」
「あはは、まあただの受け売りさ」


 雑談をしながら朝食を終えて駒王学園の制服に着替えて三人で学校に向かいます。


「そういえばイッセー先輩ってグルメ界で仕事をするときもその学生服ですよね?」
「ああ、グルメ界で仕事を終えた後にそのまま学校に向かうってのも結構あったからこのままの方が楽なんだ。まあ破れたりもするからスペアを大量に持ってるんだ」
「そうだったんですか?猛獣とかって匂いが強いタイプもいますから服に匂いが付いたりしないのかなって思ってたんですが…」
「俺の知り合いに匂いのスペシャリストがいるからその人に特別な香水を作ってもらってるんだ」
「へえ、先輩って案外おしゃれさんなんですね」
「まあエチケットには気を使わないとな」

 
 会話をしながら駒王学園を目指して歩いていきます。学園に近づくにつれて人も増えてきました。


「あ、小猫ちゃんだ。今日も可愛いな~」
「バッカ、お前アーシアちゃんが一番だろうが」
「…ってまた兵藤と登校してるぞ!?」
「最近あの三人よく一緒にいるけどどういう関係なのかしら?」
「学園のマスコットに学園の聖女、そこに駒王の大食い番長がいるんだろう?木場なら分かるけど兵藤ってそんなにモテたっけ?」
「ワイルド系のイケメンだけど女受けはよくないしな…小猫ちゃんも大食いだって噂があるしそれで意気投合したとか?」
「その理屈だとアーシアさんも大食いって事にならないか?」
「どっちにしろ羨ましいよな」


 私たちを見て周りの人達が私たちについて色々と話していました。私たちがイッセー先輩と一緒に登校するのがそんなにおかしい事なんでしょうか?


「イッセーさん、駒王の大食い番長ってなんですか?」
「そいつは俺の二つ名みたいなもんかな。俺が一年の時駒王町に暴走族がやってきて近隣住民に迷惑をかけてたんだ、それを俺がちょっとお灸を据えてやったんだがその時一人で暴走族を倒した男って事でそう呼ばれるようになったんだ。その後はやたらと不良に絡まれてたんだけど全員軽くじゃれてやったら二度と来なくなったな」
「私が入学する前にそんなことがあったんですか…」


 玄関で先輩たちと別れて自分の教室に向かう、私が席につくと何人かの女子生徒が近づいてきた。


「おはよう、塔城さん」
「おはようございます、皆さん」


 笑顔で挨拶をかわすと女子生徒の一人がニヤニヤした表情で話しかけてきた。


「ねえねえ塔城さん、塔城さんって兵藤先輩と付き合ってるの?」
「ふえっ!?」


 突然の発言に思わず声を出してしまいました。


「ど、どうしてそんな話が…?」
「だって塔城さん、よく兵藤先輩と一緒にいるじゃない。しかも私たちが見た事もない満面の笑みで!」
「これはピーンと来ちゃったんだよね」
「で!で!実際どうなの?」


 女子はコイバナが好きだって聞きますがちょっとこの女子Aさんのテンションについていけないです。


「付き合ってはいません…付き合いたいとは思ってますが」
「きゃあーーー!!付き合いたいだって!!!」
「やっぱり兵藤先輩のこと好きなんだ!」
「でも兵藤先輩って怖いって噂があるよ?大丈夫なの?」


 女子Bさんと女子Cさんがキャーキャーとはしゃぐ中女子Dさんは心配そうな表情でそう聞いてきました。


「それは間違いですよ、イッセー先輩は優しい人です。私の我儘を聞いてくれますしいつも美味しい料理を作ってくれますし頭をナデナデしてくれます。それに先輩って意外と茶目っ気があって可愛い所があるんですよ?例えば私にジュースを奢ってくれた時があったんですが私に渡そうとしたとき頬に冷たいジュースをくっつけてきたんです、その時の先輩のいたずらが成功した子供みたいな笑顔が本当に可愛くて……って皆さん、どうしたんですか?口から砂糖を吐き出しそうな顔をしてますが?」
「あ~…いや、なんていうか…乙女だよね、塔城さんって」
「私は女ですよ?」
「皆さん、おはようございます。朝礼を始めますから席に戻ってくださいね~」
「「はーい!!」」


 私が首を傾げていると私のクラスの担任のティアーユ先生が教室に入ってきたので私の席に集まっていた方々は全員自分の席に戻りました。



ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー


「~でここはこういった式を使います。そして…」


 朝礼が終わり今は授業中、私は黒板に書かれた図や式をノートに写していますがその最中に先日の洞窟の砂浜での事を思い出していました。


(確か洞窟の砂浜を出た後にグルメ警察が来ていたんですよね)


 謎の生物と遭遇したあの後私たちが洞窟の砂浜から出るとそこには多くの人が何かの作業をしていました、イッセー先輩の話では作業をされていた方々はグルメ警察という組織の方々だったそうです。警察ということは何か事件が起きたのかと思いましたがイッセー先輩は見ない方がいいと早々にその場を後にしました。


 因みにイッセー先輩が赤龍帝だってことも部長たちに話しました。先輩がドライグって叫んだからバレちゃったんですよね。でも部長たちは驚きながらもそれを受け入れて内緒にしてくれると約束してくれました。


(イッセー先輩とココさんはグルメ警察の方と話をしてたから事情は知ってるのかもしれない…)


 その後はココさんがキッスを呼んで私たちにお別れの挨拶をしていました。でもその時にココさんはイッセー先輩にこう言いました。


『じゃあな、イッセー。久しぶりに会えてうれしかったよ』
『ああ、俺もだ』
『…もっとも、直に再会することになりそうだけどね』
『…そうかもな』


 二人はそれ以上話すことはなくココさんは去っていきました。でも私はなんとなく察しました。二人は洞窟の砂浜で出会った謎の生物の事を考えているって……


「…城さん?塔城さん?大丈夫ですか?」
「えっ…?」


 私を呼ぶ声に施行を現実に戻され横を向くとティアーユ先生が心配そうな顔をして私を見ていました。


「塔城さん?何やら考え事をしていたみたいですが大丈夫ですか?」
「あ、その…ごめんなさい、ティアーユ先生。ちょっと考え事をしてて…」
「あら、いつもは真面目な塔城さんが珍しいですね?でも具合が悪いとかではなくて良かったわ」
「はい、ご迷惑をおかけしました」


 いけない、今は授業に集中しなくちゃ……


 私は再びノートを書く作業に戻る。



ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー


 あの後はしっかりと授業に集中したので問題なく一日の授業が終わり今は放課後の時間になりました。オカルト研究部は部長の用事で今日は休みになったので私は鞄に荷物を入れて先輩の教室に向かおうとしましたが何やら教室が騒がしいです。


「あの、何かあったんですか?」
「あ、塔城さん。丁度良かったよ、これをどうぞ」


 同じクラスの女子生徒から何かのチケットを貰いました。


「それ映画館で使える前売り券なんだけど私のお父さんが映画関係のお仕事をしていてその関係で貰った物なの。折角だから皆にも分けようかなって思って…あ、そうだ。もう一枚あげるよ、兵藤先輩でも誘っていってね」
「え、あ、ありがとうございます…」


 映画の前売り券ですか…丁度二枚貰いました。今日は暇ですしイッセー先輩と映画を見に行くのもいいかも知れません。


「でもアーシアさんの分が無いです…」


 イッセー先輩の傍にはアーシアさんがいます、それなのにイッセー先輩だけを誘うのも気が引けてしまいます。


「まあ最悪部長か誰かに譲ってもいいしとりあえず先輩のいる教室に向かいましょう」


 私は前売り券をしまって先輩の教室を目指しました。



 先輩がいる教室の前に来ましたが先輩はいるでしょうか…あ、いました。でも誰かと話しています、あれは確か国語の担当教師の坂田先生です。一体何を話しているんでしょうか?


「じゃあそういう事で頼むぜ」
「はい、分かりました」


 坂田先生が去っていくと先輩が私のいる方に歩いてきました。


「よっ、小猫ちゃん。俺に何か用か?」
「イッセー先輩、もしかして私がのぞき見しているの気が付いていたんですか?」
「小猫ちゃんの匂いがしたからな」


 匂いって…変な匂いしてませんよね?


「そ、それよりもイッセー先輩、さっきは坂田先生と何を話していたんですか?」
「ああ、坂田先生は料理研究部の顧問でもあるからそれについての話さ」
「顧問の先生がいたんですか…知らなかったです」
「顧問は流石にいるぞ。まああの人甘党だからスイーツで釣ったんだけどな」
「イッセー先輩、意外と鬼畜です…」


 あれ、そういえばアーシアさんの姿が見えませんね、教室にはいないしどうしたんでしょうか?


「あの、アーシアさんのお姿が見えないんですがどうされたんですか?」
「アーシアなら桐生や他の女子生徒たちと一緒に遊びに行ったぞ。アーシアも俺以外との生徒と交流を深めておいたほうがいいと思っていたからな」
「お父さんみたいですね」


 あ、ということは今イッセー先輩は一人ってことでしょうか?一応確認はしておきましょう。


「イッセー先輩はこの後何か用事は…?」
「いや、特にないぞ」


 何て運がいいんでしょうか、これなら先輩を誘っても問題ないですね。


「あの…イッセー先輩、実はさっきクラスメイトから映画の前売り券を貰ったんです。もし良かったら私と一緒に見に行きませんか?」
「映画?ああ、いいぜ。一緒に行こうか」


 やった!先輩を誘えました!これっていわゆるデートですよね!ふふふ、やりました♪


「あ、イッセー先輩…その、もし先輩が嫌じゃなかったら手を繋いでいきませんか?」
「手を?構わないぜ、ほら」
「あ…」


 イッセー先輩が私の手を優しく握ってくれました。



「じゃあ行こうか、小猫ちゃん」
「はい、先輩」


 そのままイッセー先輩と一緒に街の映画館に向かいました。



 
 

 
後書き
 ちょっと字数が多いので前後編に分けます。今回は次回予告はないです。 
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