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ドリトル先生と奈良の三山

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第五幕その十

「学んで研究してね」
「そしてだよね」
「論文を書く」
「それが学者さんだね」
「論文を書くことこそが」
「僕もそう思っているからね」
 だからだというのです。
「僕も書いているんだ」
「最後の最後まで」
「そうするからだね」
「これからもだね」
「論文を書くんだね」
「最後の最後まで」
「そうするよ、今書いている四つの論文もね」
 三つではなく、です。
「絶対に脱稿するからね」
「頑張ってね」
「そっちの方もね」
「何か先生日本に来てどんどん学者さんになってるね」
「イギリスにいた時と違って」
「そうなってるわね」
「何かね」
 先生ご自身も言います。
「そうなってきたね」
「そうだよね」
「そうしてどんどんよくなってるよね」
「学者さんとして」
「お給料の分以上は書いてるよね」
「それは楽しみにしているからだよ」
 学問そのものをというのです。
「だからだよ」
「ああ、それでなんだ」
「お給料以上に書いていても」
「それでもいいのね」
「先生にとっては」
「いいよ」
 実際にとです、笑顔で答えた先生でした。
「こうした暮らしこそがね」
「お金の問題じゃない」
「充実が問題なんだね」
「その日常が」
「どれだけ充実しているか」
「先生にとっては」
「お金は充分にあるからね」
 大学教授としてのそれがです。
「だからね」
「もういいんだね」
「そちらのことは」
「既に充分だから」
「それで」
「そうだよ、もう何も言うことはないよ」
 先生にとってはです。
「だから後はね」
「学問だね」
「論文もどんどん書いていく」
「そうしていくんだ」
「満足するまで」
「そうなんだ」
 皆も納得しました。
「そこも先生だね」
「やっぱり先生って無欲よね」
「お金にもそうで」
「地位や県力にも興味ないし」
「学問をしたいだけで」
「欲がないのよね」
「そうよね」
 先生の美徳であります。 
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