FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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飛竜隊とミサゴ隊
前書き
いよいよバトルに入っていきます。
今回も大部分は出来上がっているので大丈夫!!なはずです。
その日の夜、俺はウェンディとエルザさんと過ごしていた。
「魔女の罪が協力してくれるんですか?」
今日だけということで妖精の尻尾の女子寮、フェアリーヒルズへとお邪魔させてもらっている俺はエルザさんの部屋に来ている。意外と女性らしさがあるエルザさんだが、部屋は自分の換装空間に入りきらなくなった鎧などで溢れていた。
「まぁ・・・敵がゼレフなら奴等も動くさ」
ジェラールさんたちに加えて六魔将軍もいる現在の魔女の罪。ゼレフを打倒することを目標にしている彼らからすれば、この戦いに参加するのは当然なことか。
「またカニューニさんと戦えるのか」
「それは頼もしいですね」
「化猫の宿を壊した人たちだけどね」
「そんなこと言わない~」
リュシーさんと肩を並べるとされるカミューニさんもいる。彼の実力は俺もよくわかってるし、きっと力になってくれるだろう。
「そういえば妖精の尻尾にお前たちを誘ったのは私だったな」
「そうですね」
「感謝してます」
仲間たちとの辛い別れに絶望していた時、彼女が声をかけてくれたから俺たちは今ここにいる。そのことにすごく感謝しているのに、彼女の顔は暗い。
「エルザさん」
無言になってしまった緋色の女性に抱き付くウェンディ。彼女は不安そうな女性の心を読み取ってか、自分の決意を述べる。
「今度は私たちがエルザさんを守ります」
いつも頼りになる彼女たちには助けられてばかりだ。だから今度は俺たちが率先してギルドを守る。
「あの時は言いませんでしたが、俺にも秘策があるんです」
かなり危険な賭けではあるが、もしかしたらナツさんの秘策以上のものかもしれない。それさえ出せれば、この戦いに勝つことができる。
むぎゅっ
「「わっ!!」」
すると、エルザさんが俺たちを強く抱き締めた。不意を突かれたため思わず驚いてしまった。
「立派な魔導士になったな。お前たちは我がギルドの誇りだ」
そう褒められてすごくうれしかった。まだまだ未熟なところはあるけど、彼女からそう言ってもらえるとそんな気がしてくるから不思議だ。
ヒョオオオオオオ
喜んでいると突然街に強い風が吹き付けてくる。街の人たちは全員避難させているからこれはもしかして・・・
「来たか」
「早かったな」
空を見上げるとそこには50隻ほどの船が見える。その先頭にたる巨大な船に立っている男には、見覚えがあったり
「さぁ!!砂漠の灰塵と化すがいいフェアリーテイル!!開戦だぁ!!」
そこにいたのは砂漠王アジィール。敵の襲来を受けてあらかじめ決めていたギルドの鐘が鳴り響く。
「エルザさん!!俺たち行ってきます!!」
「シャルル!!セシリー!!」
「任せなさい」
「行くよ~!!」
手早く準備を済ませて窓から飛び出す俺たち。
「私もすぐに行く!!気を付けろよ!!」
「「はい!!」」
別行動となるエルザさんは俺たちとは違う方向へと向かう。俺たちは事前の打ち合わせの場所へと向かっていると、空のアルバレス軍の船から砲撃がなされる。
ドドドドド
無数の砲撃。しかしそれは街へは届かない。カルディア大聖堂で待機していたフリードさんの術式によって防がれているのだ。
「シリル!!ウェンディ!!」
フリードさんの術式でどこまで持つのか、そう思っていたところで横からハッピーに持たれたナツさんが登場する。さらにはガジルさんもこちらに飛んできていた。
「全員いるな?」
「はい!!」
「いつでも行けます!!」
今回はこのメンバーでチームを編成している。それからほどなくして、脳にウォーレンさんの声が響いてきた。
『作戦D発動!!飛竜隊!!ミサゴ隊攻撃開始!!』
「しゃあ!!行くぞ!!」
それを聞いたと同時に上空の船目掛けて飛び上がる。その間も船からは砲撃が継続されている。
「撃て撃てーい!!ははははっ!!いつまでもつかなぁ!?」
その先頭で調子に乗っている砂漠王。その後ろにいる部下が、接近してきている俺たちに気付いたようだ。
「でももう遅い!!」
水を体に纏わせ目の前の船に突撃する。動力を撃ち抜くことができたのか、その船は地上へと落下していった。
「飛竜隊参上!!」
空飛ぶ滅竜魔導士たちということで飛竜隊と名付けられた。俺たちは加速すると全員バラバラに飛び立つ。
「行くぜぇ!!」
「よし!!」
「はい!!」
各々が魔法を使って次から次へと船を落としていく。すると、焦った敵はがむしゃらにこちらに砲撃を繰り出してきた。
「当たらないよ~!!」
「サンキューセシリー!!」
質より量とはよく言ったものだが、あいにく俺たちに当たる気配はさらさらない。しかし、これまでのように攻めていけなくなったのも事実だ。
「くそ!!弾幕が厚すぎる!!」
「ビスカはまだなの!?」
今回の作戦にはもう1人重要な人物がいる。初代の頭脳により作り出された幽鬼の支配者の主砲、魔導集束報ジュピター。それを放つのは銃を扱わせれば右に出るものはいないビスカさん。
ドゥン
「全員右!!」
「「「了解!!」」」
地上からそれが放たれた音が聞こえた。音からその方角を確認し当たらないように散る。ビスカさんの放った一撃は先頭の巨大な艦隊へと一直線。
「こざかしいわぁ!!」
渾身の一撃だった。それなのにアジィールは腕1本でその攻撃を分散させてしまう。ただし、防ぎきれなかった攻撃は後方の味方の船に直撃していたが。
「ジュピターを拡散させるとは・・・」
「白兵しかねぇ。大将の船に降りるぞ」
ジュピターの充電には15分かかる。そんなもの待っていられないので俺たちはこの艦隊を率いているアジィールに直接勝負を申し込むために船へと降りた。
「やってくれたじゃねーの」
肩を鳴らして俺たちを見据えるアジィール。しかし・・・
「「「「うぷっ」」」」
「何ーっ!?」
俺たちは乗り物酔いに耐えきれずその場に座り込んでしまった。
「やっちゃった~!!」
「そういえばこれ船だった!!」
「全員揃って・・・」
「シリル!!ウェンディ!!早くトロイアを!!」
「ごめん・・・無理・・・」
「自分が酔ってると効果0です・・・」
ここに来て妖精軍師の作戦に重大な穴があったことが判明してしまった。俺たちが乗り物酔いを起こすことを計算していなかったとは・・・
「なんだ、このふざけた奴等は」
敵の目の前でグロッキーになってしまう俺たちを見て呆れてものも言えない様子のアジィール。
「まぁいい。船の被害がでけぇ。何隻か地上に降りろ。こいつらは俺が片付ける」
「はっ!!」
指示を受けて他の船に指示を出す兵隊たち。アジィールはこちらに歩いてくると、ナツさんの胸ぐらを掴む。
「お前アルバレスで何てタンカきってたよ?笑わせるねぇ、こんなザコの集まりが―――」
そこまで言ったところで、突然俺たちと奴のいる船が別れた。落とされそうになったアジィールは慌てて手を離す。
「ハッピー、シャルル、セシリー、リリー。みんなを頼む」
そう言った女剣士はアジィールの後ろにいる兵隊たちを瞬く間に斬り倒した。
「何者だ」
「貴様を斬る者だ」
妖精女王ここに降臨。仲間をやられて怒るアジィールとの一騎討ちが始まろうとしていた。
「エルザ」
セシリーたちに抱えられ上空を飛んでいる俺たちは助けてくれた彼女の方を眺めていた。
「何隻か地上に降りたわ、私たちはそっちを」
「うん」
「急ごう~!!みんな~」
「わかってる」
「ここは任せるしかねぇ、船の上だし」
「エルザなら心配いらんだろ」
シャルルとセシリーに促され渋々地上へと向かう俺たち。でも、腹の中では自分たちの不甲斐なさで煮えくり返っていた。
「またエルザさんに守ってもらっちゃったね」
「・・・」
今度は俺たちがと言った直後にこの様。俺は左腕を抑えながら、地上へと急いだ。
「進めー!!目指すはマグノリア!!がはははっ!!」
船から降りてきてマグノリアを目指している兵隊たちを見つけた。俺たちはそれに目掛けて飛んでいく。
「わざわざ地上に降りてくれるとはありがてぇ!!」
術式に迫る前にと超特急で降下する俺たち。マグノリアに進軍している敵の前に立つと、それをすぐさま蹴り飛ばす。
「火竜の鉤爪!!」
炎の蹴りで敵を凪ぎ飛ばすナツさん。だが、それをものともしない大男がいた。
「ばあっ!!はははーっ!!」
「くっ!!」
ナツさんの蹴りの風圧で起きた意志を腕を振った風圧だけで飛ばし返した大男。彼はそいつを敵と認識し、一騎討ちに持ち込んだ。
第三者side
その頃カルディア大聖堂で術式を展開していたフリードはある異変に気付いた。
「どうしたの!?フリード!」
「バカな・・・術式に穴が空いた・・・!?」
「!?」
破られるはずのない術式に穴が空けられ驚きを隠せないフリード。その原因はこの男にあった。
「アーヒャヒャ!!こんなもん朝飯前だぜ!!」
スプリガン16の1人、ワール・イーヒトだった。
「さすがワール様!!」
「一気にいくぞー!!」
それを受けて次々に侵入してくるアルバレスの兵隊。
「街に侵入してきます!!みんな迎撃態勢!!」
初代から念話が妖精の尻尾の全員に向かって伝えられる。
「侵入されたのか!?」
「フェアリーヒルズの方です!!」
「何やってんだ、ナツども」
ギルドを守るためにと一斉にそちらに向かうギルドのメンバー。それに続こうとようやく準備を終えたルーシィも部屋を出ようとしていたが、大きな物音が聞こえお風呂場へと向かうと・・・
「あら、やっぱりあなたの家?」
「合格ですー!!」
なぜか風呂に入っているブランディッシュの姿があった。
「!?あたしの部屋・・・なんで16の1人があたしん家のお風呂入ってるのー!?」
どこから突っ込めばいいのかわからない状況に慌てふためくルーシィ。しかし、ブランディッシュは顔色1つ変えない。
「なぜかね・・・あなた・・・すごく印象に残ってるの」
敵意を持っているようには見えないのに、あまりにも強大な魔力を持っている彼女に震えが止まらないルーシィ。しかし、これだけでは終わらなかった。
「行きましょう!!妖精の尻尾を守るのよ!!」
「おーっ!!」
「漢の闘いだぁー!!」
ワールが侵入した方向へと向かおうとしたストラウスきょうだい。しかし、彼女たちは忍び寄ってくる巨大な魔力に足を止めた。
「おや、これはこれは」
両手を合わせて歩いてくる男。後ろに十字を背負っている彼の姿はまるでどこかの僧のようだった。
「なんだ!?こいつの魔力!?」
「こんなに大きい魔力・・・感じたことがない・・・」
アルバレス帝国スプリガン16ラーケイドもまた、妖精の心臓を目指して攻めてきていた。
「街の中に他にも2人!!」
「なんじゃと!?」
ここは妖精の尻尾ギルド内。ここではウォーレンが作り出した魔導レーダーを駆使して敵の進軍状況を確認しているが、彼らは今の状況に大慌て。
「一陣に16が4人・・・防ぎきれるか・・・」
アジィール、ワール、ブランディッシュ、ラーケイド、4人の16のメンバーが攻めてきていることを知った彼らはそれをどう乗り切るか考えるが、さらなる絶望が襲ってくる。
「そ・・・そんな・・・」
「どうした、ウォーレン」
魔導レーダーを見て言葉を失うウォーレン。彼は大画面に今の状況を映し出す。
「フィオーレ北部から300隻以上の大群が接近!!魔力からして16が4人いる!!」
「!!」
休む間も無く第2陣が送り込まれていることを知り汗が吹き出るメイビス。しかし、それだけでは終わらない。
「それだけじゃねぇ!!南部からも同等の大軍・・・同じく16が4人!!」
「三方を囲まれたのか!?」
南部と北部の海からフィオーレに押し寄せてくるアルバレス。これだけでもピンチなのに、まだ終わりではなかった。
「いや・・・東部からも100万を超える大軍・・・四方を囲まれる・・・もう逃げ場はねぇ・・・」
絶望に取り乱し涙を流しているウォーレン。これにはその場にいた全員の顔が青くなった。
「どうやって東に・・・」
「あっちには隣国があるだろ!!」
「四方からなんて計算外だよ」
「最悪の状況だ」
(どう計算しても・・・勝ち目がない・・・)
妖精軍師でさえも言葉を失う大ピンチ。果たして妖精たちはこの危機を乗り切ることができるのか!?
後書き
いかがだったでしょうか。
今回は少し短めです。
第一陣はワール本体とラーケイドが加わっての攻めになっているアルバレス。さてさてどうなることやら。
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