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第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#51
FAREWELL CAUSATIONⅪ~Infernal Atmosphere~
【1】
黑き巨魁が眼前に迫る、甲冑の少女は紅き鎧翼を悠然と翻した、
一方の真王は彼女の存在に気づいていない、否、気づいているのかもしれないが
“気にとめられない” 路傍の石ころがどうでもイイように。
(私もアイツも、おまえにとってはただの塵以下ってワケ……ッ!?)
猛然と湧き上がる感情に、恐怖よりも怒りが勝った、
己が蔑ろにされる以上に、ソレ以上に――
(アイツ、泣いてた。私の前で……)
彼女の顔と声が鮮明に甦る。
(フレイムヘイズじゃない、殆どただの人間、
戦闘経験もない、戦う意味すら解ってないのに)
そんな彼女が勇気を振り絞り立ち向かっていった、
心をボロボロにしてまで救ってくれた、
なのに――!
(ソレを無視!? 幾ら巨大だからって眼中にも入らないの!?
ほんの僅かな惻隠すらッ! この倒木ヤローッッ!!)
別の誰かが乗り移ったように、少女の気勢も荒々しくなる、
事実他者の為に猛るその姿は、ソノ血統の者と瓜二つだった。
(眼にものみせてやるッッ!!)
烈気と共に光を放ちやがて造形の薄れる甲冑、そして抜鎧。
【鳳・鎧・真・象ッッ!!】
だが、常闇の樹王はコレに然したる関心を払わなかった、
羽虫が熱を持った所で反応する人間はいない、
それはより少女の怒りを増大させたが結果として
刳り出す術を阻害されずに討ち出すコトを成功せしめた。
【鳳 神 覇 導 烈 吼 破】
いま在る少女の焔儀大系では最大最強の威力を発揮するモノ、
しかし彼の獅子王すら焦壊せしめたこの奥義すらも、
果たして魔幻の真王に通用するのか?
地竜の鱗を噛み砕く黑威を視れば
奇襲直撃してもその表皮を焦がすのがせいぜいと想える。
樹木は炎熱に弱いという定跡は、この真王には適合し得ない。
ならば狙うべき場所は何処か、ソレは既に決まっている。
煉灼と化した鳳凰は、標的に向かわず 『逆』 の方向へ、
底の視えない闇孔へと堕ちる。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
地脈流動。溶胎赤漠。
此処、シンガポールは環太平洋火山帯の西方に位置し、
その地表の深淵には無数のプレートやマグマ溜まりが無尽に走っている。
溶岩自体の温度は数千度、しかし問題はその膨大な積熱量、
万古に亘る経年でも劣化しない『普遍性』に在る。
-地球が放出する莫大なエネルギーに比べれば、
人間など取るに足らぬ小さな存在であり、
セントヘレンズ火山の爆発に匹敵するような
巨大な破壊力を持つ原子爆弾などは、到底造る事ができない-
『知られざる地球』 ウォルター・クロンカイト
幾ら優れたフレイムヘイズや紅世の王の焔儀とは云え、
その破壊力は都市の一画を崩すのが精々であろう、
だが地球の血脈足る 『溶岩』 は、
ソレは疎か一個の 「文明」 や 『歴史』
更には数多の 【種】 すら跡形も無く焼き滅ぼすコトが出来る。
正に地球最大のエネルギー、万物の霊長を気取る猿などに、
到底及びもつかぬ能力。
もうここまでくればお解りであろう、
少女が狙ったのはソノ部分、
ある易学では 『龍脈』 と呼ばれるエネルギーの流れ、
先刻の真王が放った光砲は正にその 『穴』 を開けてしまい、
ソレを逆利用する術を少女に直感させた。
鳳凰は疵ついた炎軀を大地の血脈で癒す、
そしてより輝ける存在として復活を遂げる。
鳳翼殲翔。万象ノ必滅ガ第肆迅。
【鳳 神 幻 凄 熔 灼 昇!!!!!!!!】
行使者名-空条 シャナ
破壊力-S スピード-AAA+ 射程距離-地形環境により増減
持続力-S 精密動作性-C 成長性-地形環境により増減
地裂噴荒。獄雀熔身。
ほぼ生まれたままの姿に等しい無明の少女が、
預言者の如く片腕を天空へと掲げたと同時に、
大亀裂の走ったコンクリートから凄まじい熱気の溶岩が間歇泉のように噴き出した。
真王を取り囲む無数の火柱、否、熔柱!
ソレは数万年、数億年の目醒めに呼応するが如く、
常闇の暗黒樹に牙を剥く。
(コノ能力……!
嘗て妾に火疵を付けた“アノ男” の……!?)
此処に至ってようやく、 “彼女” もその認識を明確にした。
その推察は目標より大きく逸れていたが本質は寸分違わず。
嘗て狂えし賢者の、断末魔の渇仰によりこの世に召顕、
戯れにヒト型として逢い見えたのがアノ男だった。
己が血液を熔岩と化しめ、ソレを縦横無尽に、
流れる法儀が如く刳り出してくる圧倒的な威力、
人の軀を介していたからかもしれないが、
戯れと云うには少々熱い火遊びと成った。
幾度交歓しても互いの底が視えない、決着が付かない、
やがてそれは果てを知らぬ官能が如く、
ソレ以上の苛烈さを以て互いの心に刻まれた。
結局、術者である者が途中で絶命したため無情の訣別となったが、
(己が消え去る瞬間、童のように哭いていたのは一体何だったのか?)
アノ日の火傷は未だ癒えぬーー
ソノ矢先に獄熱を纏った鳳神が飛び出してきた、
転生鳳凰の原初の炎姿。
溶岩は装甲に吸収され更なる強度と炎熱を、
何より地球の溜め込んだ莫大なエネルギーがそのまま総力を加速させる。
噴出する熔柱は主に傅く従属物、だが並の徒なら一柱で数百体は屠れる獄威、
ソレを渦旋状に巻き込んで纏ったまま常闇の樹王の懐深くへ一気呵成に特攻する。
ヴジュアアアアアアアアアアアアアアアアアァァ
ァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーッッッ
ッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!
古今の名刀で百度撃っても疵一つ付かない暗黒樹皮に解れが生じた、
ダメージとも呼べぬ微細な瑕疵、しかし存在の相対比からすればコレは
生身の人間が偶像に傷を負わせたに等しい。
真王に弱点は無い、 しかし現世に存在する以上「属性」は存在する。
木は火で燃える、熱量さえ莫大ならこの法則から逃れられる術はない。
魔幻の真王、ファフニールは何の対応も執れずただ屹立っていただけだった。
下等生物として認識 “すらしていない” モノが
突如慮外の造反を試みた際、絶対者に起きる反応とは
意外にも 『棒立ち』 となるだけである。
そもそも本人は “戦っている” という認識すらないので相手が己に牙を剥く、
一矢報いる等という発想は思考の隅にも存在し得ない。
コレは(若年とはいえ)DIO、そして彼の三狂神にすら起こった現象、
強さと弱さは表裏一体、彼我の実力差が大きければ大きいほど、この空隙は開く。
黑軀に纏わる夥しい熔岩が蒸発乾固を繰り返しながら樹王の体表と相克した。
相殺される気化熱は中央に特攻した鳳神が補強、増大させる。
炎ではこうはいかない、エネルギーとは物質の最大温度 “のみを” 示すのではなく
あらゆる要素の総和、相乗、統合、乃ち 『持続力』
仮に100万℃を超える焔儀であっても、
莫大な熔岩琉の前ではいとも容易く呑み込まれる。
直撃、否、防衛本能さえも遅きに失した大直撃、
独りでは成し得ない、スタンド使いとの絆が生み出した覚醒フレイムヘイズの超焔儀。
だ、が。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!
ソレは、何事も無かったかのように屹立していた。
確かにダメージは通った筈、流動する熔柱と共に死中突貫した原初の緋鳥、
貫くコト能わなかったためその反動で天空へと昇華してしまったが
極まった、確実に極まったのだ。
黑軀から立ち上る幾つかの焦煙、
魔界の瘴気を吸い込んで存在していたモノのため
当然嘔吐蝕む毒臭漂わせると思いきや意外、
宛ら禁断の果実を焙ったような、
一呑みで身体も精神も従属させる危険な香気を露わにしていた。
(全ッ然、効いてない……!)
生まれたままの姿を戦風に晒す少女の躰を、
ソレとは異質の寒気が蝕んだ。
無論、微細な火傷は与えただろうが真王の黑鈹は
彼女の超焔儀の直撃に耐え切った。
明確なる戦力、否、次元の違い、相性やツキの紛れる余地は存在しない。
――娘!――
声が、一番馴染んだ言語で、少女の脳裡に、頭蓋に響き渡った。
スタンドならば一能力として分類される異能、真王にとってはただの意志。
――妾が問うておる、苦しうない、応えよ――
痺れるような畏怖と共に存在を内視されているような、
得体の知れない洞線が赤裸の少女を襲った。
――不無、アノ男と同じ血族かと想いきや、
どうやら “種” が違うようじゃな?
常しえの現界故四方やと想うたが、流石に出来過ぎか、
快楽、快楽――
(な、何こいつ……! 喋ってないのに……ッ!
こっちの心を読んだみたいに……!?)
時空間を消し飛ばし未来への軌跡を露わにする能力、
ソレには及ばねど細胞レベルで相手の存在を見透かす洞力、
淘汰の世界では殺傷以上に必須の本能。
――成る程、アノ刻の紅世の小僧か。
未熟の果実と想い棄て於いたが、時の流れは疾きものよ。
“抓み頃” に生っていたという事か――
只の思念、他者への情意にも関わらず
神経を直に撫で回されるような凄艶さが少女を包む。
系統は違うがこの絶対的な感覚は、
嘗てアノ男に受けたのと同等の……
――訃、芙、腑、小僧に伝えおけ、
微睡より醒めたなら来訪せよ、と。
玩弄んでやる、とな――
常闇の巨眼が、陶酔と嗜虐を滲ませ露悪に歪んだ。
――最も、其れまで、この世界が遺っていればの話だが、な。
苦、矩、躯――
斃すべき男は海の彼方に、しかしソレに勝るとも劣らぬ脅威が現世に出現した。
否、思惑が無い分 『DIO』 というよりは “ディオ・ブランドー” に近い。
100年前のアノ時、ジョナサン・ジョースターの尊き犠牲がなければ、
世界は兎も角 “人類” は七日で滅亡していた。
今度の脅威はソレより速攻性はないかもしれないが
そんなことは慰めにもならない、
ただ、地獄が永く続くだけだ。
ゴ、ゴ、ゴ……!!!!
些少は愉しめた、炎焦の解れを意に介さず真王は背を向けた、
後に何の儀式も施す事は無かった。
命と魂を瀬戸際にまで追い込んで会得した超焔儀、
ソレすらも “彼女の” 戦意を欹てるコトすらなかった。
「待……ッ!」
て?
己の口から出た言葉にも関わらず少女は怖ろしい違和感を感じていた。
彼我の実力差が有り過ぎる者に、劣等感は疎か屈辱感すら浮かばない。
故に、その言葉の無意味さを文字通り肌に感じていた。
宛ら、無恥蒙昧なモノが劣情に浮かされ戦場に砂遮るが如く。
『……』
余韻に水を差す事は誰もが厭う、真王の瞳が少女を眇めた瞬間、
震える腕を掌で押え、逆水平に構えた指先を頭上に掲げた。
――――!?
黑軀の体表を滑った熱塊が再び地上に舞い戻る、
叛逆の、螺旋の廻転を直下機動に織り交ぜて。
遠隔操作ではない、コレはそういう焔儀。
“輪 流 式” の応用、時間差撃。
鳳翼穿翔。万象ノ必滅ガ裏参迅。
【鳳 神 叛 暁 堕 天 烙!!!!!!!!!】
行使者名-空条 シャナ
破壊力-AAA+++ スピード-AAA+++ 射程距離-C(直下機動)
持続力-AAA+++ 精密動作性-B 成長性-D
「堕ちろーーッッ!!」
構えた指先を振り下ろす動作そのままに、
炎の緋鳥が成層圏内から堕ちてきた。
灰燼堕牙。
大気を攪拌し炎嵐を纏ったソノ姿は宛ら、
太古の最強流法双頭が結合したかのように想える。
或いは炎と流星、二つの象徴禁断の交わりか。
一発目の焔儀がほぼ通じなかった時点で、少女は即座に討滅を諦めた、
物怖じと捉え兼ねない決断の速さは称賛に価。
ただ、斃すコトを諦めただけで脅威の「排除」を諦めたわけではない。
その論拠は取りも直さず先刻真王が開けた無明の闇孔、
其処に超焔儀の圧力を伴って無理矢理敲き堕とす!
長所と短所は表裏一体、アレだけの極大質量ならば、
一度地殻の底に堕ちれば這い上がる術はないだろう。
ヘタに光砲を撃てば、余計に穴が拡がり地球の内部へと押し流されるだけ、
僥倖、真核周辺にまで堕ちれば滅ぼすコトも可能かもしれない。
何れにせよ極大なる能力とは、
一歩使い方を誤れば自らの存在を滅ぼす、
真空の宇宙で永久凍結され、死ぬコトすら赦されない。
スタンドにも、数は少ないが “斃せない” 能力は存在する。
しかし 「消滅」 出来ずとも、大海や水底に沈める等の 『封印』 は出来る。
グォアァァァ!!!!!!!!!!
燃焼はせずとも流石に黒葉が飛び散り樹幹が傾いだ。
熔岩噴出の直撃に狼狽えなかった魔界の小生物が我先にと飛び出してくる。
先刻と同様、反射本能も受けずモロに被ったためその威力は如実に伝導する、
ソレが今回はプラスに働いた。
戦闘態勢を執っていないので大樹の足元は根を張っていない、
故にダメージは無くともバランスは崩れたため地球の引力には牽っ張られる。
元居た闇孔の縁に戻すのは造作もなかった、
裏を掛かれる処か攻撃とすら想っていないのだから。
(堕ちろ……!!)
支え返した指先で大地を差しながら、
少女は渾心の想いで己が分身を凝視した。
(堕ちろ……! オチロ……ッ! 落ちて……!!)
最後の方は懇願にも等しかったがそれも無理からぬコト、
真王が滑落するか踏みとどまるか、極論すれば世界の明暗を分けるこの局面、
伸るか反るか、熾烈の累乗を伴う危うい均衡、
その筈がいとも容易く、巨魁は堕ちた。
(やった――ッ!)
歓喜は虚ろに、寧ろ、え? ウソ? という心境だった。
勝利への執念が翳ったわけではない、が、余りにも、
余りにも呆気なさ過ぎるその結末。
否、無論、斃してはいない、誅してはいないが、
ソレに固執しなければこうもあっさり極まるものか。
人間も執るに足らない些細な傷、そこから細菌が入り込み死に至る事がある。
その過程を概論すれば須らく小さな脅威に 「無関心」 だというコト。
それが如実に働いた、堕ちるその瞬間まで相手は
自分が負けるとすら想っていなかったのだ。
「終わっ、たァーー」
ほぼ生まれたままの姿のまま、少女は罅割れたアスファルトの上で
大の字になった。
長い髪が散らばり胸元から腹部へサラサラと流れていく。
正に、疲労困窮の極み、 “真・灼眼” と覚醒精神の双乗が乗ったとはいえ、
必滅怒涛の超焔儀を連発したのは通常であれば絶命の危機に瀕する消耗。
鳳鎧の加護により外傷は負わなかったが、
内部は立つ力も残らないほどにガタガタだった。
本来なら、すぐにでもアノ場所に戻っていきたい。
眠りから覚めるまで、傷を癒しながら、その躯をずっと抱いていてあげたい。
(承太郎、終わったよ……)
最初にそう言ってあげるために、傍で、寄り添いーー
「ハァ……」
勝利の実感もそこそこに、すぐに戻らない体力にもどかしさを感じた。
勝つコトよりもその先に在るもの、
ソレが今の彼女に執って何より価値在るものだった。
ひらり、と、闇孔の中から煌めきが舞い降りる。
レース付きのクロスリボンが架けられた黒い靴の爪先、
それがコツリと地に合わさりスカートの裾が微かに靡く。
永劫の虚無に囚われた少女、せめてもの慈悲で真王が最後に逃したのか?
しかし心砕けた彼女なら――
傍らに転がった愛刀に手を這わせ、地擦りの斬撃を放つ機を少女は見定める、
それを嘲笑うように。
ズヴォオオオオオオォォォォォォ!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
堕ちた巨魁が封印の解かれた魔星の如く、闇孔の淵から飛び上がって来た。
「!!!!」
現代科学力の粋を尽くしても、地下数千メートルまで堕ちた巨大質量を、
そのまま地上に牽引するのは不可能である。
にも拘らずそれだけの存在がいとも容易く生還せしめたという事実、ソレ、は。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!
“四方や、此奴の存在が縁と成るとはな……
妾と結びし因果、そう簡単には切れぬと見える、快楽、快楽”
真王の心囁が頭蓋を穿つ、ソレは絶望以上の衝撃と成りて少女にある事実を確信させた。
『スタンド法則』
スタンドとは生命の幻象、精神はその原動力、
改めて説明するまでもないが、ソレがスタンドの基本的概念であり
決して覆せぬ法則。
だが、ならば、その 『型』 とは、一体何処から存在せし得るモノなのか?
無論、個々人に於ける精神の在り様、それも要素の一つではあろう、
だが、本来スタンドとは、その 『源種』 とは、次元の狭間に居る存在を指す。
その証左に100年前、次元を超える技術を修得したある男が
『スタンド使い』 でないにも関わらず、
無限犠牲の能力を携える男を追い詰め、その業を受け継いだ者が、
己のスタンドを『進化』させるという現象が在った。
【ボール・ブレイカー】&【タスク・ACT・4】
つまり、 『スタンド能力』 とは、厳密には異次元世界の
存在を現世に 『召喚』 する事象を指す。
異界のエネルギーは無から有を生み出すに等しき凄まじいモノ、
だがその強大さ故に肉を以てこの世に存在するコトは出来ぬ、
だから現世の存在を 『器』 として個体を留めるのだ。
コレは、紅世の王が人間をフレイムヘイズに変貌させる術とほぼ同じ現象、
だが似ているのも当然であり必然、
現世に 『召喚』 された異界の事象は、
現世のナニカと接合していなければ存在出来ないのだ。
だから真王は抗う事なくティリエル(本体)を地上に投げた、
『法則』 に拠り己は指一本動かさず 『器』 へと引っ張られる、
力でゴリ押しするだけではなく要所要所で適切な判断を苦も無く下せる、
コレもまた王の盤石。
最初から理解っていたのだ、シャナの放った決死の双焔儀も、
真王に執っては余興に過ぎなかった。
“不無、羽虫に過ぎぬと想っていたが、存外愉しませるモノ、
玩弄んでやろうか? 小娘?”
この場合の “遊ぶ” とは文字通りの意味、
幼子が虫の肢や翅を一本一本引き千切り、
腹を破いて臓腑を掻き乱しながらいつ斃るかを試すような興。
まずは眼球を抉り出すか口唇を削ぎ落とすか、
そう簡単に殺さないコトが手並みを要する。
ザワザワと黒葉がさざめき、ソコから夥しい黑刃が延びてくる。
最早少女に一切の成す術はなかった、
命ごと浴びせるような超焔儀を乱発したため
今や全身の細胞が悲鳴を通り越し叫喚をあげていた。
故に恐怖や絶望すら感じなかった、
それを感じるのはまだ抗う可能性が残されているからこそ、
捕食される生物は、ソノ瞬間寧ろ穏やかな表情を浮かべるのだ。
(――最後に、もう一度)
天国から地獄への急転直下、今わの際に浮かぶ風貌は振り向く青年の横顔、
白く染まる、無情の刃が意識を遮断する瞬間。
【堕 天 使 の 嵐 奏 曲!!!!!!!!】
桜牙の劫刃、閃熱の乱舞が常闇の刃圏を斬り裂いた。
迸 る、迸る、斬滅の嵐、哀しいほど、鮮やかな、花片のように。
傍に、立つ者。
「少女の危機に颯爽と現れる、騎士の本懐だな」
白銀の 『スタンド使い』 と桜蓮の “フレイムヘイズ”
少女の戦いは、無駄ではなかった。
懸命に藻掻き、抗い、挑み続けたからこそ、
“二人” は此処に駆けつける事が出来た。
他者に認められるのではなく、ましてや己を認めるのでもなく、
己が 「正しい」 と想った事を “他者の為に尽くしてこそ”
『使命』
それで輝きを放つのが人の 『生命』
そう、懸命に闘う者、運命に立ち向かう者を、天は、
“人” は決して見捨てないのだ。
誇り故に、愛ゆえに、それが人という存在だから。
←TO BE CONTINUED…
『後書き』
はいどうもこんにちは。
長らく冬眠してましたが今日から少しずつ描き足していきます。
(正直いつまで続くか解りませんが・・・・('A`) )
さて、正直「もぉいいかなぁ~」とは想っていたのですよ。
元々「遊び」で描いてたモノなので別に完結させンでもいいじゃろうと。
ただたま~にPVが300イってたりするとまだ読んでくれてる人がいるんだな~
とか妙に感慨を受けたり、自分の好き勝手に描いてるモンですから
改めて読み直すとやっぱこの展開だよなぁ~とか再認識したりして・・・・
(一番の理由は「やっぱアノ○○いらなかった!」
「アレが出ないだけで全然違う!」「アレが救える『世界』なら誰だって救える!」
等と嘲弄するコトですガw)
あとね、何でかしらないンですが頭の中から「キャラ」が消えてくれないンですよ。
音楽聴いてても、本読んでても、映画観てても、
スタンドみたいに勝手に幻像が想い浮かんで動くンですよね。
その度に「こんなモン描いてても一円にもならん!」と打ち消してたンですが、
でもまぁやっぱ描くのは楽しいですし、描かないよりは描いた方が良いと
遅まきながら気が付いたので、無理のない程度にまた進めていこうと想います。
こんな気紛れで変節してて坂○悠〇が大ッ嫌いな作者にここまでお付き合い戴いて
本当にありがとう御座います。
少しずつでも進めていきますので宜しければまた気長にお待ちください。
ソレでは。ノシ
追記で御座います。
お詫びと感謝だけではなく『彼女』のコト説明しなきゃダメですネw
少し長くなるかもしれませんがお付き合い願います。
さて、3部の真・ヒロインともいうべきファフニーちゃんですガ、
彼女は紅世の【真王】、他の王を圧倒的に超越した存在です。
(アラストールを「小僧」呼ばわりしているのもその所為です)
まぁジョジョは基本変えずにシャナの方は変えまくるというのは
最初に書いたので割愛しますが(欠点が多過ぎるので)
何故このようなキャラと設定を造ったかというと
シャナ原作の紅世の徒が総じて「弱い」からです。
コレも前に言いましたが、キャラを「強い」と読者に印象付けるには
その為の「技法」が必要不可欠で、
ただ「設定上で」いくら強い強いと捲し立てても
読者の心には全く響きません。
(「設定」だけなら“指先一つで宇宙を破壊出来る能力”など
幾らでも大げさに出来ます。でも「ソレだけ」で「強い」と思う程
読者は莫迦でも単純でもありません)
まず、「女に本気ンなってかかる男が強いワケがない」
そして「何百年も何千年も生きてるのに、
ただの平凡 (以下) な高校生に策略で嵌められる」
この「悪い」要素が (どの戦いにも) 二つ重なってしまっているので必然、
読者の心に構造上「強い」とは感じられないようになっているのです。
単純に考えても「上」の要素を見て誰も「強い」等とは想いませんし
字面だけでもただのギャグにしか見えないでしょう?
では何故そんなコトになるかというのをもう少し詳解すると、
「作者」が「自分」を登場キャラに「反映」してしまうからです。
いいですか? 『自分の理想形』ではなく『自分そのもの(等身大)』をです。
その端的な例を一つ挙げますと、
荒木先生が昔(今でも?)、会う人会う人が皆
自分を「岸辺 露伴」のような人だと思っていて、
極度に緊張して接してくる事に困惑したそうですが、
先生も仰っているようにアレはあくまで
「漫画家としての先生の理想形」で、
「荒木先生そのもの」ではありません。
荒木先生のような人間として非常に優れているような方でも
「自分を」作品のキャラにはしないのです。
『荒木先生ですらしない事』
このコト自体が既にしてもう「答え」ですネ?
ソレはストーリー作品上『絶対やってはいけない事』だからです。
読者は作品に「非日常」を求めて読むのであり
平凡な「日常」など求めてはいません。
逆を言えば「平凡な人間」の「平凡な体験談」など誰も読みたくはないのです。
大体、多くの人間の「学生生活」など、
ドラマのように花々しい事も刺激的な事も何も起こらず、
「倦怠」と「諦念」の中でただ消えていくだけのものなので
そんなモノは当然「作品」になど成り得ません。
“にも関わらず” 「本来在り得なかった」「こう在って欲しかった」状況に
無理矢理「変わってない自分」を当て嵌めたら、
そんなモンは「破綻」するに決まっているでしょう。
「頭の良い人間は」生まれつきそうなのではなく、
「そうなるだけの努力」を続けているから成績が良いんです。
女性にモテる人間もそうです。
顔がイイからモテていると想うのはそうでない者の「僻み」と「錯覚」で、
身だしなみや髪形、スタイル、服装、
更には女性に好まれる話題や気の使い方など
たくさんの事を日々心がけて自分を磨いているからです。
(逆を言えば顔が良いだけではモテない、
ソレは女性を莫迦にした態度です)
決して「楽」して「利益だけを」得ているわけではない、
“ただソレをわざわざ口に出して言わないだけなのです”
(某○ャニーズの方々もただイケメンなのではなく、
そのスタイルを維持するために想像を絶するトレーニングや
食事制限を行っているのです)
だから何の「努力」もしないで「利益」だけを得ようとするコトほど
ド厚かましい話はない。
ワタシが坂井 悠二を嫌いな理由も解るでしょう?
「楽」して何の「努力」もせず、「待っているだけで」
手に入るものなど何一つとして無いからです。
『波紋』は欲しいけど「修行」はイヤ、
『スタンド』は欲しいけど「矢」に刺されるのはイヤ、
『鉄球の技術』は欲しいけど「SBR」に出るのはイヤ、
と言ってるのと同じだからです(要はこの上なく自分に甘ったれているのです)
故に、『普通の人間(作者の等身大)』を作品に出してはいけない理由が
よく解ったでしょう。
「普通の人間」にはなんの魅力もないからです。
寧ろ「不快感」が沸いてくるという方が正鵠でしょう。
(情けなくてどうしようもない自分を見るようで)
もう少し詳しく言いましょうか?
同じ「絵柄」なので「比較」し易いと想いますが
『涼宮ハルヒの憂鬱』という作品がありますネ。
(まぁワタシは別にこの作品好きではありませんが・・・・
基本萌え系は読まないので、マジでマジデ・・・・('A`))
コレの主人公も「普通っぽい」少年ですが、
彼は一見「普通」に見えて実は“全然普通じゃない”んです。
普通の人間に、あそこまで「社交性」があって「協調性」があって
誰にも分け隔てなく接し「面倒見が良い」人間はいません。
だからトラブルメーカーで周囲がドン引きしているヒロインに、
“自分から”話しかけて関係を持とうとするのです。
(彼女がクラスで孤立しないように、
或いは全体の雰囲気を保つ配慮とも取れるでしょう)
シャナのアレにそんなコト出来ますか?
ただトラブルが起こって自分が巻き込まれるのを「待っている」だけですよね?
だから展開が不自然になって後に遺るのは
ご都合主義の残骸だけという体たらくなのです。
彼のように「人間力」が高いから『人望』が生まれ、
S○S団の「お母さん」のような立場になるというコトもないワケです。
残酷なようですが「普通の人間」にスポットライトは当たりません。
作品が「劇場(舞台)」で在る以上、平凡、凡庸の人間に「出番」は無いのです。
だからジョジョを見れば解る通り、
どの部のストーリーにも「普通(凡庸)の人間」は一人もいません。
スタンド能力が有る無しの話ではなく
『その精神』がもう「普通」ではないのです。
だから最初は「普通」だった康一君、早人、ルーシー等も
ストーリーの中で「成長」し
最後はもう全くの「別人」のように変質しているのです。
仮に5部の主人公がシャナの「アレ」だったとしましょう、
涙目のルカのとこでスコップぶッ込まれて話終わりですよ。
このように百害あって一利無しの「普通」のキャラ、即ち「作者の分身」
魅力の無いキャラに負ける敵などに魅力が生まれるワケもなく
ましてや「強い」と想うなど夢のまた夢です。
ソレはその凡庸なキャラに惚れるヒロインや
頼る味方のキャラ全体に「波及」していきます。
え? 具体的にどういうコトですかって?
簡単ですよ、元が「作者がモデル」の「平凡なキャラ」だから、
“誰でもいい”“幾らでも代わりがきく” というコトです。
シャナ原作の最初の所で、彼女と出会うキャラがたまたまアレだったから
シャナは「すり込み」をされたヒヨコのように後をついていって
恋愛感情なりなんなりを都合よく抱くわけで
(いわゆる「チョロイン」とかいうヤツですか?)
その『必然性』は皆無なわけですから「出会うキャラ」は
別に「アレじゃなくても」いいワケです。
佐藤でも田中でも池でも(そっちの方が良かったかもネ・・・・('A`))
なんなら3巻に出てきた名前のないモブキャラだっていいわけです。
試しにちょっと「入れ替えて」みてください、余裕でストーリー繋がりますから。
「平凡なキャラ(作者の分身)」に特筆すべき美点はないわけで、
“誰とでも替えがきく”というのは寧ろ当然のコトなのです。
コレが『ジョジョでは』そうはいきません。
3部の主人公がジョニィだったら? 5部の主人公が承太郎だったら?
入れ替えてみてください、全然ストーリーが繫がらないでしょう。
仮に5部主人公が承太郎だったとして、
無理に進めれば出来ない事はないかもしれませんが
絶対『ジョルノが』主人公の時より話は「つまらなくなります」
“主人公は唯一無二、誰も絶対代わりは出来ない者”
この『鉄則』を忘れて、劣等感だか、怨 讐だか
ただの〇慰○為だかしりませんが、「自分(作者)を出すから」
こんな眼も当てられない「醜態」を晒す事になるのです。
だからこの作品に於いてシャナが承太郎と一緒にいるのに
違和感がないのは当たり前、
「換骨奪胎」ではありませんが(そんな作品でもありませんが・・・・('A`))
ただの (超) 上位互換に過ぎないからです。
(比べる事も烏滸がましい。あと「互換」じゃねーな)
だから再三言っているンですよ。
『周りを道連れにして不幸にする最悪』だと。
女性だって、せっかく交際するなら「凡人」より
芸能人やミュージシャンの方が良いでしょう。
(当たり前です。『本能』です。「平凡で性格も悪い人間」はたくさんいます)
「平凡でも」何の「努力もせず」に「いつか」美少女が振り向いてくれる、
そんなのはただのダメ男の気色の悪い『妄想』です。
(そのスベテを体現したのが「坂井 悠二」というキャラクター、
即ち「作者の分身」だというコトです。
どーやって好きになれというんだこんなモン・・・・orz)
故に(やっと戻って来たよ話ナゲーんだドアフォが・・・・('A`))
【真王】という「設定」を造らざる負えなかった、
『彼 女』は“出るべくして出たキャラ”
と言えるかもしれません。
だって「元」の「設定」が「弱い」んですから、
無いなら自分で「強い設定の」キャラ創るしかありません・・・・('A`)
無論、今までを見ればお解りの通り、
他の紅世の徒はアレンジ加えて「強い」というのを意識して描いてきましたが
自分なりの「基準」というか「強さの基本」というのを作品の中で定めるべく
【真王】という設定を設けました。
今後他の真王が作品中に出るかどうかは解りませんが(一応7人いる)
ソレはストーリーと相談しながら描き進めていこうと想います。
長くなりましたが(本当に・・・・('A`))
ソレでは。ノシ
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