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レーヴァティン

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第四十話 偸盗その二

「諱名は俺達の世界の俺達の名前でか」
「こちらの世界の諱名となれば」
「誰にも明かしていないしな」
「こちらの世界の方々には、少なくとも諱名とはです」
「思われていなかったか」
「諱名は他人には話さぬものなので」
「あちらの島もそうか」
 名前にあるそれはというのだ、自分達が姓名の名と考えているそれは。
「諱名と普通に言う名前は違うか」
「ですから」
 それでとだ、良太は英雄に話した。
「それで」
「変えてもいいか」
「はい、そうなっています」
「こっちの世界での論理だとか」
「諱名は人に言わないもの」
「それで隠してもいいか」
「ですから智君はです」
「正っていうこっちの世界での真の諱名もか」
 やはりそれは変わらないかとだ、英雄は良太に問うた。
「隠すことになるか」
「はい、どうしても諱名を知られますと」
「呪術に使われたりするか」
「陰陽道、いえ呪術ではです」 
 こちらの術ではというのだ、実際に。
「相手の諱名を使ってです」
「そうして呪術に使うか」
「はい、そうしたこともありますので」
「だからか」
「諱名は隠すべきもので」
「諱名だから変えて真のものを隠す」
「それもいいのです」 
 己を護る手段の一つになるというのだ。
「ですから」
「成程な」
「諱名を隠しさらに偽の諱名を置く」
「いいことか」
「そうした方がこの世界には実際におられますので」
 敵から呪われることを避ける為にだ。
「ですから」
「拙者達はでござるか」
 智が言ってきた。
「いいでござるか」
「それも手です」
 良太は智にもこう話した。
「ご自身を守る」
「左様でござるか」
「あと生年月日もです」
「これもでござるか」
「呪術を避ける為には」
「隠すことがあるでござるか」
「そうしている方も多いです」
 こちらの世界にはというのだ。
「実際に」
「そうでござるか」
「そのことはご存知なかったのですね」
「拙者陰陽道には詳しくない故に」
 武士である、武芸や政等への学問に勤しむ者だからだ。陰陽道への知識が乏しいのは当然であった。
「どうしても」
「そうですね、ですがこれで覚えられましたね」
「確かに」
「ではいいかと」
「左様でござるか」
「はい、それでなのですが」
 諱名等のことをここまで話してからだ、良太はあらためて話した。
「都を脅かす偸盗達ですが」
「大江山にいるという」
 謙二が良太のその言葉に応えた。
「彼等のことですね」
「そうです、彼等をどうするか」
「答えは一つだ」
 英雄が良太に言ってきた。
「そうした連中はだ」
「倒す、ですね」
「それだけだ、偸盗共程度どうにか出来なくてな」
 到底という言葉だった。 
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