歌集「冬寂月」
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十八
忘らるる
身をば恨めし
白雪の
とくる春さへ
なきと思へば
忘れ去られてゆくだけ…こんな自分を恨めしく思わない訳はない…。
雪が降り積もっても春が来て、雪は溶けてなくなると言うのに…私に来る春はなく、積もった雪は溶けることもない…。
私の世界はきっと…凍ったまま…。
白梅の
香ぞにほいても
春遠く
寒風吹かば
人の恋しき
白い梅の花が咲いて、芳しい香りが花を擽ると言うのに…時に白雪が舞うとは…。
春は未だ遠く…寒さが見に染みる…。
夜道を一人歩けば、道は凍りつき…田舎を連想させて寂しさが増して…。
時折吹き荒ぶ風にあの人を想い…恋しさでまた、寂しくなるのだ…。
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