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儚き想い、されど永遠の想い

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251部分:第十九話 喀血その三


第十九話 喀血その三

「信じられないです」
「しかしそれでも」
「過去や現在信じられないことでも」
「未来はわからないのです」
「未来には信じられる様になる」
「そうです。我が国がここまでなれたのも」
「最初は」
 どうかというとだった。まさに。
「そうですね。確かに」
「幕末の頃でしたね」
 義正は話をそこまで遡らせた。そのうえでの話だった。
「あの頃はとても」
「ここまでなるとはですね」
「皆列強に怯えていました」
「何時。どう攻められるかと考えただけで」
「震え上がっていました。日本の存続は」
 それ自体がなのだった。まさに。
「風前のともし火の如きものでした」
「それが今は」
「こうして。豊かにもなり」
 そしてだ。さらにだった。
「安全も保障され」
「陸軍と海軍があり」
 そのだ。二つの戦争で奮戦した頼もしい軍がだ。
「それにですね」
「はい、地位も確かです」
 国際連盟の重鎮にもなっている。このことも大きかった。
「そこまで辿り着きました」
「まるで。それは」
「それは?」
「天に昇った様ですね」
 真理はうっとりとした目になってそうだと話すのだった。
「まさに」
「そうですね。そうなりますね」 
 義正もだ。真理のその言葉に頷いて答えた。
「我が国は」
「まるで龍が河の底から天界に昇る様に」
「そうしたものですね」
「そしてさらにですね」
「そう、さらにです」
 天に昇っただけで終わりではない、そうだというのだ。
「私達はさらにです」
「上に昇っていく」
「天の先にあるのは」
「宇宙ですね」
「星の大海がそこにあります」
 そこにだ。昇っていくというのだ。
「無限のその世界に」
「天に満足せずに」
「ですから。車もまた」
「それもやがては」
「我が国に満ちます」
 そうなるというのだ。義正はそこに輝かしい未来を見ていた。
 そしてその未来をだ。熱く語ってだった。
 真理にだ。また言ったのだった。
「では」
「ではですか」
「今からその車に乗られますか」
 こう彼女に言ったのである。
「そうされますか」
「車にですか」
「はい、そうです」
 こう笑顔で提案するとだ。真理も。
 微笑みだ。こう答えたのだった。
「わかりました」
「では。今日はこれから」
「そういえば義正さんはご自身では」
「実は運転できます」
 それはできるというのだ。
 
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