ドリトル先生と奈良の三山
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第五幕その六
「神道を捨てることは有り得ないからね」
「かく言う聖徳太子も皇室の方だし」
「仏教を信仰していていても」
それも篤くです、それこそ法力まで備え前世のことまでわかっていてもです。
「それでもだね」
「皇室の方なら神道は絶対で」
「そちらもあって」
「だからだね」
「太子はそう言われたんだね」
「そう、神も仏も敬うべし」
神仏を共にというのです。
「そうされたんだよ」
「ううん、そうだったんだ」
「日本の信仰の在り方はこうして決まったんだ」
「聖徳太子が定められて」
「そのうえで」
「そう、神も仏もね」
その両方をというのです。
「そうなったんだ、というかね」
「というか?」
「というかっていうと?」
「何かあるの?」
「また言うけれど太子は皇室の方だよ」
このことが大事だというのです。
「仏教は大事でもね」
「神道を否定するとだね」
「ご自身を否定することにもなる」
「そうなるんだ」
「そう、それに元々日本は八百万の神々がいるね」
神道のお話をさらにするのでした。
「そこから渡来の神様、この場合は仏様を迎え入れてもね」
「八百万の神様が増える」
「それだけなんだ」
「まさに」
「それだけに過ぎないのね」
「そうだよ、だからね」
それでというのです。
「日本人は仏教も受け入れてね」
「神道と一緒にいるんだね」
「お寺も神社も一緒にあるんだ」
「それで神主さんもお坊さんも仲が悪くない」
「そうなのね」
「そうだよ、確かに争いもしたけれど」
その蘇我氏と物部氏がです。
「すぐに神仏を共にってもなってね」
「そうしてだね」
「今に至るんだ」
「同じものの様に崇拝されていて」
「お寺も神社もあるのね」
「そうなったんだ、聖徳太子はそうした意味でもね」
まさにというのです。
「日本の歴史に相当な貢献をされた方だよ」
「只の超人的な力を持っている方じゃなくて」
「政治家としても優れていて」
「今の日本の在り方も遺してくれた」
「そうした方なのね」
「そうだよ、ただね」
こうもお話した先生でした。
「伝説がかなり混ざっていることはね」
「事実なんだね」
「このことは」
「そうなのね」
「うん、このことも頭の中に入れてね」
考慮してというのです。
「考えていくべきなんだよ」
「聖徳太子のことは」
「そうしてだね」
「よく考えて」
「研究していくべきなんだ」
「その通りだよ、じゃあ次はね」
先生は皆にさらに言いました。
「宮殿の後に行こうね」
「飛鳥のだね」
「ここに都があった頃のだね」
「皇居に行くのね」
「そうするのね」
「そうしようね」
こう言ってでした、皆は笑顔ででした。
先生と一緒に飛鳥宮跡まで行きました、そこはもう何もなくて本当に跡があるだけです。石のそれが。
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