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ドリトル先生と奈良の三山

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第五幕その二

「ここに鬼がいて」
「ああ、やっぱり」
「そうなるのね」
「それで鬼が悪さをする」
「そうなのね」
「人がここに来たら霧を出してね」
 そしてというのです。
「人を惑わして捕まえてね」
「食べるんだね」
「もうそれいつもだよね」
「鬼の伝説だと」
「そうだよね」
「そう、そして鬼の俎でね」
 その鬼の俎を指し示してお話するのでした。
「人を包丁で切ってね」
「調理してだね」
「食べていたんだ」
「そうだったの」
「そう、そしてね」 
 先生は皆にさらにお話しました。
「鬼の雪隠でね」
「用を足していたんだ」
「そうだったんだ」
「そうした伝説があったんだね」
「実際に」
「勿論それは伝説でね」
 先生は笑顔でこのことは断りました。
「鬼はいなかったみたいだよ」
「ここにはだね」
「鬼がいるって言われていても」
「京都の大江山みたいに」
「そんなことはなかったのね」
「そうだよ、ここは本当は鬼はいなかったみたいだよ」
 こうしたお話がある場所とは違ってというのです。
「伝説だけだったんだ」
「形がそうだったから」
「おトイレや俎みたいだったから」
「それでなんだね」
「そうした伝説が出来ただけなの」
「ここはね、まあ鬼が本当にいたら」
 その場合はといいますと。
「まず誰かに退治されていたね」
「源頼光さんとか」
「四天王の人達ね」
「そうした人達に退治されていて」
「終わっていたのね」
「そうなっていただろうね、ただ飛鳥時代だと」
 この時代ではといいますと。
「聖徳太子に調伏されていたかな」
「そうなっていたんだ」
「あの人に」
「何か凄い人だったっていうけれど」
「超人みたいな人だって」
「ただ頭がいいだけじゃなくてね」
 先生はその聖徳太子のこともお話しました。
「凄い能力があったんだ」
「そうだったんだ」
「実際に」
「超人みたいな」
「そうした能力があったの」
「そうだよ、仏教の法力や超能力だね」
 聖徳太子の力はというのです。
「そうしたものが合わさった様な」
「そうした能力があって」
「色々不思議なことが出来たんだ」
「ある人の前世のことを知っていたりね」
 そうしてその人に挨拶をしていたというのです。
「同時に七人のお話をちゃんと聞いていたり」
「それも凄いね」
「そうだよね」
「物凄い能力があった人だったんだ」
「預言の本を書き残したとも言われているよ」
 先生はこのお話もしました。
「ご自身の後日本で何が起こるかをね」
「書いていたんだ」
「そうした本も残していたんだ」
「そう、ただこの本についてはね」
 先生のお言葉はここで少し微妙なものになりました。 
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