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オズのトト

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第五幕その三

「それで増え過ぎたらどの山に移ろうかってね」
「そんな話をしてるんだね」
「そうよ、あちらはね」
「じゃあその所有権のない場所もだね」
「すぐに埋まっていってね」
「山全体が連中のものになって」
「周りの山もだね」
 お婆さんも状況を理解しました。
「連中のものになっていくんだね」
「幾つかはね」
「やれやれだね」
 ここまで聞いてです、お婆さんは苦いお顔になりました。
「折角って思ったんだがね」
「まだあの山に入るつもり?」
「その事情を着たらね」
「無理なのね」
「ああ、法律はね」
 それはというのです。
「やっぱり守らないとね」
「ドラゴンの時と一緒で」
「何か随分移住しようとしたら揉めたしね」
「生活習慣が違って」
「それでだよ」
 このことはあのニホンオオカミの長老さんがお話してくれた通りでした。
「やたら揉めていられなくなってね」
「今はここにいるのね」
「仕方なくね」
 苦い声でした。
「そうなのよ」
「やっぱり確かな移住先が欲しいわよね」
「前の草原は近くに湖があって餌も豊富でね」
 それでというのです。
「過ごしやすかったから」
「今度もなのね」
「お水も餌も多いね」
「そうした場所に住みたいのね」
「これだけの数が満足出来るね」
 お婆さんは一緒にいる他の鳥達の方を振り向いて言いました。
「そうした場所がね」
「草原でも森でもいいのかな」
 このことはトトが尋ねました。
「場所は」
「ええ、どちらでもね」
「お水と食べものが一杯あれば」
「それでね」
「わかったよ、オズの国ならね」
 それならと応じたトトでした。
「そうした場所は一杯あるね」
「そうだよね」
「うん、だからね」
 それでというのです。
「そうした場所ならね」
「あるからっていうんだね」
「僕達が探させてもらっていいかな」
「そうしてくれるのかい?」
「そう申し出るつもりだったしね」
 この考えもあることもです、トトはお婆さんにお話しました。
「だからね」
「それでだね」
「うん、どうかな」
「そこまでしてもらったら悪いよ」
「いや、そうした気遣いは無用だよ」
 カエルマンが笑ってお婆さんに応えました。
「それはね」
「そう言うのかい?」
「そう、我々はこの問題を解決する為に来たのだからね」
「政治でだね」
「そう、まさにね」
 それの問題でというのです。
「ここまで来たのだからね」
「そうなんだね」
「エメラルドの都から飛行船を使ってね」
「へえ、あのアーモンドみたいな形のだね」
「あれで来たのだから」
「それでかい」
「そうしたこともさせてもらうよ」 
 是非にという口調でした。
「我々は」
「では早速その場所を探させてもらおう」
 ムシノスケ教授も言ってきました、カエルマンと同じく気取っていますがそれでいて愛嬌の感じられる仕草です。 
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