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オズのトト

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第五幕その二

「この子達がね」
「ああ、やっぱりね」
「ひょっとしてって思ったけれど」
「ドロシー王女と一緒だし」
「だったらね」
「そうだって思ったけれど」
「そうよ、それで貴方達からお話を聞きたいけれど」
 ここでお話を切り出したドロシーでした。
「いいかしら」
「お話?」
「お話っていうと」
「そう、どうしてここにいるのか」 
 このことを聞きたいというのです。
「それでここまで来たけれど」
「移住のことね」
 ここで、です。一羽のドードー鳥が出て来ました。見れば他のドードー鳥よりも随分とお歳を召した感じです。
 そのドードー鳥をです、別のドード―鳥がドロシーにお話しました。
「この方が我々のリーダーでして」
「まあ長老かしらね」
 年老いたドードー鳥は自分から言いました。
「婆さんって言われてるよ」
「お婆さんね」
「そうさ、まあ名前はエマっていうけれどね」
 お名前も言うのでしうた。
「婆さんでいいよ」
「そうなのね」
「そうさ、それでお話って聞いたけれど」
「さっき森で狼の長老さんとお話したわ」
「ああ、権蔵の爺さんだね」
「あの長老さん権蔵さんって言うのね」
「融通の利かない奴だよ」
 ここで怒った顔で言うお婆さんでした。
「全く」
「貴方達は森に移住したいのね」
「そうだよ、前は草原で一緒にいたんだけれどね」 
 それがというのです。
「そこでちょっとね」
「草原で何かあったの?」
「ドラゴンが地下から出て来たんだよ」
「あら、ドラゴンが」
「ああ、千年間寝ていたらしいけれどね」
 草原の下で寝ていたというのです。
「それが急に起きて出て来て」
「その草原はドラゴンさんの縄張りだったの」
「そう、あたし達それを知らなかったんだよ」
「皆の場所だって思っていたのね」
「それで土地の所有権も持っていたって思ったら」
 それがというのです。
「何とドラゴンの土地でね」
「出るしかなかったのね」
「ドラゴンはまた寝るからいいって言ってくれたけれどね」
「やっぱり他の人の土地だから」
「あたし達で話してね」
 そしてというのです。
「出ようってことになったんだよ」
「それでここまで来たんだ」
「近くだったしね」
「それで移住をしようって思ったら」
「森にあの連中がいて」
「今揉めているんだ」
「あたし達としてはね」
 それはとです、お婆さんは言うのでした。
「土地の所有権の問題でね」
「それがなければ」
「そう、あの山は全部あの連中のものじゃないよね」
「うん、そうだよ」
 それはその通りとです、オジョが答えました。
「縄張りでない場所も結構あるよ」
「だから縄張り、誰も所有権のない場所にね」
「入れて欲しいっていうのね」
「そう言って入ったらね」
「それがなのね」
「向こうは駄目だっていうんだよ」
「あちらはこれからも増えるのよ」
 その数がというのです。 
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