予感
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第二章
「ほっとしたりってこともあったし」
「何かそう考えるとね」
「勘って便利だけれど怖いわね」
「何かね」
「不気味なものもあるわね」
「ええ、けれど助かったのは事実だし」
実際何か得体の知れない力と思う時もある、超能力とかそういうのじゃなくてただ勘がいいだけだとわかっていてもだ。
「よかったわ」
「そうよね」
「けれどその勘にこれからも助けられるんじゃない?」
「何かとね」
「前以て知らせてくれて」
「そうかも。ただこの勘が私だけでなくて」
ふとこうも思った、雨の夕暮れを皆と一緒に歩いて下校しながら。夕闇も今は雨の暗がりだ。
「後々ね」
「あんた以外の人の為に」
「役立てばっていうのね」
「そう言うのね」
「ええ」
実際にとだ、私は皆に答えた。そうし話を高校時代にしたのを覚えている。
そして高校を卒業して社会人になってからだ、私はバイクが好きな同じ職場の同期の子と知り合って交際する様になった。その彼がだ。
ある日だ、私に笑ってこんなことを言った。
「お金貯まったから新車買おうかなってな」
「思ってるの」
「それで御前も後ろに乗せて」
私に明るい顔で話してきた。
「一緒にドライブしないか?」
「いつも通りになのね」
「ああ、そうしないか?」
「いいわね、ただバイクだから」
私は彼に頷きながらこうも言った。
「安全第一よ」
「やっぱりそうだよな」
「そう、自動車と比べても」
オートバイのことは私も知っていて言う、免許は持っていないけれど知っていることは知っているからだ。
「危ないから」
「それはわかってるさ、だから俺だってな」
「安全運転ね」
「スピードはあんまり出さないしな」
笑って私に話した、彼は実際に安全運転だ。
「道だって前以て調べて」
「お天気も気をつけてね」
「走ってるさ。高いバイク買ってるしな」
趣味だけあってだ。
「それでな」
「安全運転よね」
「そうさ、御前を乗せているなら余計にな」
私を見て笑いながらも真剣な声で話してくれた。
「気をつけてるさ」
「そうしてね、本当に」
「今度のツーリングもな」
「そうして楽しみましょう」
「二人でな」
休日のツーリングもだ、二人で楽しく話してそうしてだった。彼が買った新車でツーリングに出たけれど。
東京から横須賀、湘南の方にツーリングに出た。山のハイウェイから見える海がとても奇麗だ。私達はお昼はドライブインで食べたけれど。
彼と一緒に親子丼を食べている時にだ。ふとだった。
嫌な予感がしてだ、彼に剣呑な顔で言った。
「ねえ、今から行く道だけれど」
「何かあったのかよ」
彼は親子丼を食べつつ私に聞き返してきた。
「一体」
「悪い予感がしたの」
こう彼に話した。
「だからね」
「御前の勘か」
「そう、勘でね」
それでとだ、私は彼にさらに話した。
「感じたの、だからね」
「それでか」
「道、変えましょう」
不安で仕方がなかった、胸騒ぎがして仕方がなかった、治安が悪い地域に対して感じた時以上にだった。
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