歌集「冬寂月」
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十七
あらがへぬ
想いそありて
夢ぞ散り
影追ふなかれ
つたふ涙よ
ずっと…共に在りたかった…。
今もまだ恋しくて…そんな心は、もはや何の意味もなく…。
私はずっと…独りなのだな…。
流れる涙よ…まるで逢えぬ人を追うように落ちないでくおくれ…。
寂しさが増すばかりだから…。
朝霧の
中に残りし
有り明けの
月ぞ虚しき
わが心かな
淡い霧の掛かる朝方…見上げれば、幽かな月が残っていた…。
冷たい風は枯れ野を走り…揺らめく霧に惑わされる…。
あぁ…あの幽かな月は、私の心のようだ…。
そう思うと…何もかもが虚しく思えた…。
朝陽の中の月など意味を為さない…それはきっと…私が生きようが死のうが然して変わらぬと言っているようで…。
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