レーヴァティン
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第三十九話 神の斧その七
それでだ、英雄にも話すのだ。
「じゃああっちの世界もか」
「別の世界でだ」
「夢の世界であってか」
「別の世界だな」
「そうした世界か、じゃあ俺達は何でか知らないけれどな」
「寝るとな」
「別の世界に行って旅をして戦ってるんだな」
久志の今の口調はしみじみとしたものだった。
「そうなんだな」
「そうなるな、そしてあの世界は二つの島から成っているが」
「下にはとんでもなく広い海があって」
「その海の下に世界がある」
「魔神が封じて隠している世界か」
海の魔神がである。
「魔神がどんな奴か気にもなるし」
「魔神が眠らせている世界もな」
「気になるな」
「あらゆることがわかっていない」
英雄は言い切った。
「あの世界はな」
「ああ、とはいってもあれだよな」
「あれ、か」
「人間の知識なんて少しだからな」
「大海の中の小匙か」
「そんなものだからな」
人間の知識の量はというのだ、大海を世界の全ての知識とすればその程度でしかないというのである。
「どの世界でもそうだろ」
「この世界でもそうでだな」
「あっちの世界でもな」
「デルフォイであれだけ書を読んでもな」
「本に書かれてるだけが全部じゃないだろ」
世界の知識、それのだ。
「だからな」
「あの世界のこともか」
「わかってないことだからけってのもな」
「当然か」
「そうだろ、魔神も海の下の世界のこともな」
デルフォイで読んでいてもというのだ、そうして知識を手に入れても。
「結局殆ど知らなく絵もな」
「仕方なくてか」
「知らないならもっと知ればいいさ」
「調べていってか」
「そうさ、まあ知らないことを嘆くならな」
「知ろうとすることだな」
英雄もこう返した。
「それならな」
「そうだよ、知らないことは恥じゃないしな」
「人間は最初は白紙だ」
「何も書き込まれてないな」
「何も知らないな」
こうした存在だというのだ。
「だからだよ」
「知ることだな」
「知らないならな、それでな」
「あの世界のこともだな」
「知っていこうな、しかし俺の感じだとな」
「どうした」
「いや、魔神を倒してもな」
彼等の目的であるそれを果たしてもだ、久志は考えながら英雄に話した。
「まだな」
「それでもかよ」
「何かありそうだよな」
「そうだろうな、日宇都津の目的を達成してもだ」
「また何かがあるな」
「人生も国家も組織も同じだ」
「生きてる限り、存在している限りはな」
どういった存在でもというのだ。
「何かがあるよな」
「一つの目的を達成してもだ」
「またもう一つの目的が出て来るな」
「待っていると言うべきか」
目的、それがだ。
「だからだな」
「ああ、十人揃えて島を統一してな」
「魔神を倒してもな」
「まだやることあるだろうな」
「そうだろうな、俺達がどうしてあの世界に行っているか何時までいられるか」
「そういうのもわからないけれどな」
「魔神を倒してもな」
その現在の最終目的を果たしてもというのだ。
「まだ何かあるだろうな」
「あの世界にいる限りはな」
「そうだろうな、何かな」
「あるな」
「俺も言われてそう考える様になった」
英雄はこう久志に返した。
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