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ドリトル先生と奈良の三山

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第四幕その九

「うわ、これはまた」
「お豆腐にお刺身に天婦羅に」
「色々なお料理があって」
「これはね」
「かなり豪勢ね」
「お酒もあるし」
「うん、お酒はね」
 先生は杯の中の清酒を観つつ皆にお話しました。
「昨日は昔のお酒だったね」
「そうそう、奈良時代の」
「白酒や赤いお米のお酒で」
「あれもまた美味しかったけれど」
「今度は清酒ね」
「今のお酒ね」
「そうだよ、今の日本酒だよ」
 今現在の奈良市のお酒だというのです。
「このお酒を飲んでね」
「そしてだよね」
「お料理も楽しんで」
「今夜も最高の夜にする」
「そうなるのね」
「そうだよ、じゃあ皆で楽しもうね」
 勿論食べて飲んで、です。皆はお刺身やお豆腐、天婦羅といった日本のお料理を楽しんで清酒も飲みました、そうしてです。
 先生はにこにことしてです、皆で赤らんだお顔で言いました。
「いや、今日のお料理も美味しいね」
「お刺身もお野菜も新鮮で」
「お豆腐もいい味で」
「天婦羅の揚げ具合もよくて」
「お酒の味だって」
「いいね、日本それもね」
 先生はよく冷えた清酒を飲みつつさらにお話しました。
「今の日本にいる醍醐味だよね」
「僕達が今味わっているのは」
「それだよね」
「今の奈良市にいる」
「それね」
「そうだよ、日本の古都にいて」
 そうしてというのです。
「味わっているんだ」
「一三〇〇年前からあるこの街で」
「今のお料理も楽しんでいる」
「そういうことね」
「さっき食べたステーキもよかったね」
 先生はこちらのお話もしました。
「奈良牛ね」
「うん、あれもね」
「とても柔らかくて肉汁も多くて」
「味わいがいがあって」
「イギリスのお肉とはまた違ってね」
「独特のよさがあったわ」
「あのお肉もね」 
 まさにというのです。
「日本の味でね」
「そして奈良の味」
「今の奈良の」
「そういうことね」
「そうだよ、勿論奈良時代はなかったよ」 
 奈良牛のステーキなんてものはというのです。
「今食べているお料理だってね」
「海の幸なんてね」
「山の中じゃ食べられる筈ないし」
「今みたいに」
「とてもね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「そのステーキも食べられるなんてね」
「いいことよね」
「奈良時代のお料理も食べられて」
「そしてこうしたものも食べられて」
「ステーキまでだから」
「最高の美食だね、ただこうして楽しく飲んで食べていたら」
 ふとこんなことも言った先生でした。
「イギリスとは全く違うね」
「ステーキ一つ取ってもね」
「あんなステーキイギリスには絶対にないし」
「昔からステーキ食べてる国なのに」
「日本に負けてない?」
「お肉の質も調理の仕方も」
「どっちもね」
 動物の皆もこう思うのでした。 
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