エアツェルング・フォン・ザイン
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そのきゅう
そして午後。
俺は寺子屋の教室(和室)の後ろに座っている。
「今日は算術をしようと思う」
ん?今まで何してたかって?
人里を案内してもらってたよ。
アリスと玉藻は人里を適当にブラついて来るって言ってた。
「せんせー!アイツ誰ー?」
アイツ?ああ、俺の事か。
「ああ、そうだな。まずは自己紹介だな…ザイン」
え~…めんどくさ…
まぁ…やるしかないか…
「俺はザイン、今日は見学に来た。
俺は所謂外来人だ。昨日幻想郷に来たばかりでな。よろしく頼む」
本当は高校生だけど幻想郷なら大人だろう。
「そう言う訳だ。では授業に入る」
そして慧音の授業が始まった。
一応黒板やチョークや黒板消しは在るようだ。
無縁塚から拾って来たのか?
あとアラビア数字も使われている。
どうやら幻想郷は過去と現代が入り雑じった世界らしい。
何処までが現代と同じで何処からが違うのか把握しておかないとマズイかもしれない…
そして慧音がカカカっと黒板に数式を書いた。
2+3+X=
5+13+2X=……
みたいな式を十ほど…
で、最後の問題が…
6/14+16/28=
慧音の気持ちも解らなくはない…が
「もう少しレベル落としていいんじゃね?ってかXとか使うのかよ…」
慧音は何処からか砂時計を取りだし…
「ではこの問題を15分で解け。よーい、はじめ!」
まぁ…現代社会の高校生ならほぼ全問暗算で解けるが…
寺子屋の生徒は平均十歳くらいだろう…
そんな事考えていると慧音がやって来た。
「なぁ、先生よ、いつもこんな感じなのか?」
「うむ、まぁ、こんな感じだな」
「問題はどう作っている?」
「最初の三問は誰でも解けるように、次の五問は少しだけ難しめ…と言っても基本だ、最後の二問は難しめだ」
一応考えているらしいが…
「なぁ、問題の解説俺にやらせてくれないか?」
「まぁ…構わんが…」
よし。
で、15分後。
「よーし、できたか?では答え合わせだ、ザイン」
「あいよー」
「ソイツがやるのー?」
「ああ、そうだ。見学してるだけなのも暇なんでな。俺から先生に頼んだんだ」
と言って教卓の前に出る。
嘗められてるのがよく分かる。
「あー…こんなガキがいきなり何をと思うかも知らんが聞いといた方が得だぞ」
その後は問題の解説をしていった。
一応九九はやったらしいがうろ覚えの奴が多かった。
俺の授業はまず九九からだな。
「よーし、答え合わせはこのくらいだな…先生、時間はどれくらい余っている?」
「あと十五分ほどだな」
「貰っていいか?」
「構わんぞ」
ふむ…あと十五分か…
うん。
「今更だが言っておく事がある。俺は今度からここで働くことになっている」
「えー!?」
「俺は一応妖怪なんでな」
「!?」
「おっと、安心して欲しい。俺は人間を食ような奴じゃない。どちらかというと妖精寄りだ」
「じゃぁバカなのー?」
その俺よりバカなお前らはどうなるんだよ…
「いや、俺は元人間でな。こんなナリだがもう100は越えている」
「へー」
「という訳だが俺の授業は九九を覚えていないと話にならんのでな。
既に覚えている奴は何を今更と思うだろうが復習だ」
「「「「「「「はーい!」」」」」」」
お?中々にいい反応だな。
その後は九九の復習をやった
「では今日はここまでだ先生?」
「ああ」
慧音に返して締めて貰った。
で…
「じゃーねーザイン先生ー!」
「またねー!」
「慧音先生より面白くて分かりやすかったよー!」
「また来てねー!」
と、かなり好評だった。
三つめは聞かなかった事にしよう…
「うぐぁ…私よりも好評…だと…?」
とも行かないんだよな…
けーねがOrz状態だ。
「まぁまぁ、元気出しなよけーね先生」
「くそぅ…私の人気がぁ…」
「だめだこりゃ」
慧音が使い物にならないのでお手伝いさんと教室の片付けする。
「もどったわよ…ってなんで人里の守護者が沈んでるのよ?」
あ、アリスが戻って来た。
玉藻を抱えたまま上海と蓬莱を従えている…
絵になるな。
「俺の授業の方が好評でな」
「なるほどね」
「まぁ…後はお手伝いさんにまかせようか…」
「それが得策ね」
その後はOrz状態の慧音を放置して帰宅した。
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