レーヴァティン
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第三十九話 神の斧その三
「北に行けば会えるって占い師の人に言われて来たけれど」
「では」
「それは今ということだったでござるか」
「そうみたいだね」
剛は微笑んで進太に答えた。
「どうやら」
「その様ですね」
順一も剛に応えた、その顔は微笑んでいた。
「どうやら」
「うん、よく当たる占い師さんって聞いてたけれど」
「実際にですね」
「君達と会えたよ」
「それは何よりです」
「このままじゃこの島はどうにもならないから」
戦乱が続き魔神の介入を受け巨人達が暴れてだ。
「だからね」
「旅をしてそうして」
「君達に会ったんだ、じゃあね」
「これからはですね」
「君達と一緒にね」
こう順一に答えた。
「一緒に行こう」
「それでは」
「そして」
さらに言う剛だった。
「ウォッカまだあるかな」
「ああ、あるぜ」
久志は剛の今の言葉に笑って応えた。
「飲めるんだな、ウォッカ」
「お酒好きなんだ」
子供の様な微笑での言葉だった。
「だからウォッカもね」
「好きか」
「あの九十七パーセントのとかね」
そうした極めて強いウォッカもというのだ。
「いいよね」
「あれを飲めるのかよ」
「そう、お酒なら何でもね」
飲めるというのだ。
「大好きだから」
「あんた酒豪か」
「あと食べる方も」
こちらもというのだ。
「わかるよね」
「その体格だからか」
「そのせいかね」
やはり微笑んだまま話す。
「普通の人の五倍は食べるね」
「わかるぜ、じゃあ何か捕まえて食うか」
「そうするんだ」
「ここであんたが食う様なものっていうとな」
久志もウォッカを飲みつつ考える顔になって述べた。
「ステラーカイギュウか、けれどな」
「あの生きるものはだね」
「ああ、こっちの世界はこっちの世界だけれどな」
こい源三に答えた、微妙な顔になって。
「あっちの世界じゃな」
「絶滅してるって言われてるからね」
「あれを狩るのは」
どうかと言うのだった。
「やりたくないな」
「じゃあステラーカイギュウは止めておく?」
「ああ、それとな」
「それと?」
「ステラーカイギュウのいそうな場所じゃないしな」
今彼等がいる場所はというのだ。
「水辺とかないしな」
「ちょっと離れてるな」
そういえばとだ、正が答えた。
「湖があるけれどな」
「そうだよな、だからな」
「ステラーカイギュウ狩るならそっちか」
「ああ、後な」
「後?」
「もう一つ思うことはな」
これはというのだ。
「ステラーカイギュウって狩るの滅茶苦茶楽だろ」
「近くに寄って銛を突き刺すだけでござるな」
その狩り方は進太が答えた。
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