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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  1947話

 犬についての相談は影時間が終わってからという事になり、俺とゆかりはまだ長鳴神社で犬と一緒に遊んでいた。
 時間的に考えれば、現在は影時間……即ち、日付が変わっている時間だ。
 人間ならともかく、動物であれば寝ていてもおかしくない時間なのだが……その肝心の犬は、現在嬉しそうに境内を走り回っている。
 この犬にとっては、この時間に走り回るというのは特に問題がないのだろう。

「ねぇ、アクセル。この子の事を桐条先輩の相談に行くなら、それこそ今でもいいんじゃない? 幸い、今はまだタルタロスのエントランスにいたし」

 その言葉は、ゆかりにとっては当然の疑問だろう。
 別に犬の事を相談するのなら、わざわざ影時間が終わるまで待つ必要はないのだから。
 だが、俺はそんなゆかりに首を横に振る。

「いや、今の状況を考えると、止めておいた方がいい。ペルソナ使いとして覚醒したばかりのこいつだと、タルタロスに連れていった時に、どんな事になるか分からないからな。特に死神なんて奴が出てきたりしたら、厄介この上ない」

 フリスビーを咥えてこっちに走ってくる犬を眺めつつ、そう告げる。
 俺達が見てる前でペルソナに覚醒したのか、それとも実は前からペルソナに覚醒していたが、ペルソナを完全に召喚出来ないのか……その辺りの疑問もある。
 特に後者については、ペルソナを召喚したのが犬だからとか、そういう理由という可能性もない訳ではない。
 その辺り、色々と気になる状況である以上、迂闊に犬に衝撃を与える訳にはいかない。
 上手くいくのであればいいのだが、下手をすれば色々な意味で不味い事にもなりかねないのだから。

「なぁ?」
「わふ?」

 フリスビーを俺に渡した犬が、何? と小首を傾げる。
 ……今更、本当に今更だが、この犬って実は原作キャラなんだろうな。
 犬でペルソナ使いというのは、明らかに特別な存在だ。
 である以上、恐らく原作主人公の有里の仲間になっていたのは、間違いないと思われる。
 勿論、何か確証がある訳ではなく、あくまでも俺の予想だが。
 ただ、原作キャラ云々というのは、ゆかりには言わない方がいいか。
 ……正直なところ、原作キャラという意味では、恐らく、本当に恐らくだが、ゆかりはヒロインだった可能性が高い。
 桐条グループとの関わり合いや、何より有里の同級生であるという点、そして月光館学園の中でも非常に人気がある事……それらを考えると、恐らく間違いではないだろう。
 この歴史では、有里と会う前に俺と遭遇して、桐条グループとは別勢力として活動する事になっているが。
 有里も、何だかんだと山岸といい雰囲気になっているし。
 そういう意味では、恐らく俺は原作を変えたのだろうが……決して悪いようになっているという訳でもない。
 そもそも、原作を変える云々という話になれば、俺が今まで様々な世界でやってきた事は、思い切り原作を変えてるんだし。

「それ、取ってこい!」

 犬に期待の視線を向けられ、俺は再びフリスビーを投げる。
 真っ直ぐに飛んでいくフリスビーを、犬は鳴き声を上げながら、嬉しそうに追う。

「……あの子をタルタロスに連れていっても、特に何か起きるようには思えないけど。まぁ、アクセルがそう言うのであれば、私としても特に異論はないわ。……一応治療したばかりなんだけど、あんなに走っても大丈夫なのかしら?」
「大丈夫だろ。元々、そこまで深い傷って訳でもなかったんだから。それに、ああして走っている様子を見ても、特に不自然な様子はないだろ?」

 そう告げると、ゆかりはフリスビーを追い……そして跳躍して見事に咥えた犬を見て、ようやく安堵の表情を浮かべる。

「そうね。こうして見ても、特にバランスが崩れてたり、足を引きずってたりとかはしてないわ」
「だろ? 元々臆病のマーヤが相手だったんだから、当然かもしれないが」

 臆病のマーヤは、現在判明しているシャドウの中では一番弱いシャドウだ。
 それだけに、放つ攻撃もそこまで強力って訳じゃない。
 勿論何も知らない一般人が、いきなり臆病のマーヤと遭遇したりすれば話は別だが……
 その点、犬というのは大きさはさほどではなくても、純粋な身体能力という点では人間を大きく超えている。
 それこそ、柴犬のようなそこまで大きくない犬であっても、本気で戦えば人間だと勝つのが難しい……と、以前何かのTV番組? もしくは漫画だったか? ともあれ、見た記憶がある。
 だからこそ、犬は臆病のマーヤと戦っても、あの程度の軽い傷で済んだのだ。
 ちなみに、ゆかりが俺と最初に出会った時に遭遇したシャドウも、臆病のマーヤだった。

「うーん……あ」

 納得したような、していないような……そんな微妙な表情を浮かべていたゆかりだったが、不意に周囲の状況が変わったのを見て、声を上げる。
 そう、影時間が終わったのだ。
 それを確認し、携帯でメールを送る。
 内容は、今どこにいる? 今は暇か? というもの。
 ……これだけを見れば、影時間とかに関係あるようには思えないよな。
 それこそ、単純に遊びに誘っているようにすら思える。
 メールの返事を待っていると、着信の音が聞こえてきた。
 メールじゃなくて、直接電話をしてくる辺り……義理堅い、のか?

「もしもし」
『アクセル、私だ。その……今のメールは一体なんだ? これからどこかに行くにしても、もうこんな時間だぞ? それこそ、高校生が出掛けたりする時間ではない』

 あー、やっぱり。妙な勘違いをさせてしまったか。
 ふと視線を感じてそちらに向けると、そこではゆかりがジト目をこちらに向けていた。
 その視線は、明らかに俺を責めているように見えるのだが……うん、多分気のせいだろう。
 そんなゆかりの視線を感じながら、俺は携帯の向こう側にいる美鶴に声を掛ける。

「ああ、悪い。別に、これからどこかに遊びに行こうと思ってメールをした訳じゃないんだ」
『……そうなのか』

 数秒の沈黙の後、少しだけ残念そうに桐条が呟く。
 まぁ、桐条の立場から考えて、気軽にどこかに遊びに行こうって訳にもいかないだろうしな。
 そう考えれば、残念そうな声を出してもおかしくはない。

「ああ、勘違いさせてしまったようで悪いな」
『だっ、誰が勘違いなど! ただ、私はアクセルが不良にならないようにだな』
「この時間に外に出ている時点で、世間一般的に考えれば不良扱いされてもおかしくはないんだけどな」

 もっとも、俺にしろ、美鶴にしろ、テストの成績で1位を取っている。
 成績だけを見れば、とてもではないが不良とは呼べないだろう。
 ……もっとも、品行方正な美鶴と違って、俺は色々と細かな問題を起こしたりもしてるし、授業態度も決して真面目という訳ではない。
 その辺りを考えれば、美鶴は間違いなく優等生だが、俺は成績はいいものの、優等生と呼ぶには難しい……といった感じか。

『ふふっ、そうかもな。……それで、用件は? ああ、私達も現在は無事に寮に戻ってきているから、心配はいらない』
「そうか、丁度良かった。なら、ちょっと見て欲しい……聞いて欲しいか? とにかく、そんな事があるんだが。それと、付随して協力して欲しい事もある」
『分かった』

 俺の言葉に、即座にそう言ってくる美鶴。
 内容を聞くよりも前に承諾の返事をするのは、正直どうかと思うが。
 ただ、美鶴にしてみれば、自分達の借り分が大きすぎると感じているのだろう。
 だからこその、即答。
 ……これで、俺が無茶な頼みを、それこそ桐条グループの株を全部寄越せとか、そんな事を言ったら、どうするつもりだったんだろうな。

「いいのか? 最後まで話を聞かないで了承して」
『アクセルの頼みなのだろう? なら、こちらも可能な限り対応させて貰うさ』

 いつの間にこんなに信頼されるようになった?
 一瞬そんな疑問を抱くも、ともあれ向こうはこちらに対して誠意を持って接しているのは間違いない。
 なら、こちらもそれに乗るべきだろう。

「分かった。なら、これからすぐそっちに行くから、寮の前で待っててくれ。……多分、驚くと思うから」
『ふむ? 分かった。では、そうさせて貰おうか。アクセルが何を考えているのか、楽しみに待ってるよ』

 そう告げ、電話が切れる。

「そんな訳で、これから巌戸台分寮まで行くぞ」
「ふーん。……ふーん」

 どこか不満そうな様子のゆかり。
 何だ? 今、何か悪い事があったか?
 そんな風に思うも、先程の自分の行動を思い返しても、特に思い当たるような事はない。
 であれば……まぁ、今は特に気にする必要はないか。
 多分、そういう気分だったとか、そんな感じなんだろうし。
 犬を撫でているゆかりを見ながら、そう考え……取りあえずスルーしておいた方がいいだろうと判断した。

「さて、じゃあ美鶴をあんまり待たせても何だし、さっさと移動するか」

 夜中に1人お嬢様を外に出す。
 ……そう聞けば、かなり危ない感じがするけど、実際にはそのお嬢様は処刑とか平気でやる性格だしな。
 普段からレイピアを持っているという事はないだろうが、それでもいざという時の為に召喚器は持ち歩いている筈だ。
 もし何かとち狂って美鶴に手を出そうと考える間抜けがいても、最悪その男は氷漬けになってしまうだろう。
 うん、その光景が目に浮かぶようだ。
 氷漬けになった不良といった様子を思い描いていると、やがてゆかりと犬が俺の側にやってくる。
 それを見ながら、影のゲートを発動させる。
 俺にとっては……そしてゆかりにとっても、既に慣れた表情。
 犬も、以前ピクニックに行った時にこの感触は味わった事がある為か、特に驚いたり動揺したりして暴れる様子はない。
 そうして、次の瞬間……俺達の姿は、既に巌戸台分寮の前にあった。
 正確には周囲からは陰となっていて、通路からは見えない場所、というのが正しいのだが。

「アクセル、こっちだ!」

 俺達の姿を見た美鶴が、そう叫ぶ。
 そして俺と一緒にいるゆかりと犬を見て、不思議そうな表情を浮かべていた。
 まぁ、分からないでもない。
 俺とゆかりがいて、本来なら一緒にいなければならない荒垣の姿がなく、代わりに犬が1匹いるのだから。

「悪いな、時間を取らせて」
「いや、アクセルの頼みなのだから、それは問題ないのだが……それで、話というのは、その犬の事なのか?」
「ああ。……ここも安全だとは思うが、詳しいことは寮の中で話す。この犬も入れて構わないか?」
「それは構わんが……もしかして、その犬をここで飼って欲しいという事か?」
「ちょっと違うな」
「わふ?」

 美鶴の言葉に、俺はゆかりの側にいる犬を見る。
 すると、犬は鳴き声を上げながら首を傾げた。
 ……明らかに、こっちの言葉を理解しての行動だというのは、見れば明らかだった。
 そして美鶴も当然そんな犬の行動に気が付き、俺の方に視線を向けてくる。

「これは?」
「だから、詳しい話は寮の中で、だ」
「ふむ、分かった。……どのような話を聞かせて貰えるのか、こちらとしても楽しみだ」

 そう言い、美鶴は俺達を寮の中に案内する。
 すると、俺からの相談があるというのは、既に他の者にも知らされていたのだろう。
 順平、有里、山岸、真田……そして、今日は珍しい事に幾月の姿までもがあった。
 ……うん?
 ふと、何か違和感があり、改めてその場にいる面子に視線を向ける。

「山岸?」
「え? あ、はい」

 突然声を掛けられた事に驚いたのか、山岸がこっちに視線を向けてくる。
 戸惑ったような様子を見て、ふと思い出す。
 そう言えば、以前有里だったか、順平だったかが、山岸が寮に引っ越してくるって話をしていたような、いないような……
 いやまぁ、山岸の立場というのは、美鶴達の中ではかなり大きい。
 非常に高い探知能力を持っているペルソナがおり、そのペルソナのおかげで、現在の美鶴達はかなり効率的にタルタロスを進む事が出来ている。
 そんな山岸だが、探知能力に特化しているペルソナだけに、戦闘力という点では無力に等しい。
 また、影時間に行動する為にも、1人だけ別の場所に住んでいるというのは、色々と不味いだろう。
 その辺りの事情を考えれば、やはり山岸がここにいるのはおかしくないのだろう。
 ……有里の士気向上という意味も強いのかもしれないが。

「やぁ、アルマー君。久しぶりだね。色々と細かい仕事があって会えなかったけど、今は元気かな?」

 幾月が笑みを浮かべながら、そう声を掛けてくる。
 そんな幾月に対し、俺は小さく頷くだけだ。
 人当たりは良いのだが、相変わらず俺の中には幾月に対する不信感とも嫌悪感ともつかないものがある。

「さて、取りあえず今日ここにやってきた理由だが……」

 そこで一旦言葉を止め、俺はゆかりの側にいる犬に視線を向ける。
 そうなると、当然ながら他の者達も俺の視線を追って犬を見る。
 そうして全員の視線が犬に集まったところで、俺は口を開く。

「この犬、実は影時間の適応者で、ペルソナ使いでもある」

 そう、告げるのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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