歌集「冬寂月」
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
十六
眺むれば
注ぐ日差しに
春ぞ見し
寒み風受く
寒椿かな
空には輝ける太陽が光を注ぎ…春を感じさせるほどになってきた。
だが…風は未だ凍てつき、そんな冷たき風を寒椿が受けていた…。
寒風に堪える赤き椿の花…私にもこんな強さがあったなら…。
凍てつきし
小夜に傾く
片割れの
月仰ぎせば
想い侘しき
暖を取っても温まらぬほど凍てつく夜…澄んだ空には半月が光を注ぐ…。
些か傾いた月…その光は凛として、まるで心の中まで見透かされるようで…。
もはや意味を為さぬ想い…愛…。
今は寂しさだけが…友のように側にあるだけ…。
ページ上へ戻る