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【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。

作者:炎の剣製
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0291話『明石の頼み事』

 
前書き
更新します。 

 





執務室で書類と睨めっこをしている時だった。
電話が鳴り響いたので出てみると相手は明石だった。
なにかの用事だろうかと思っていると工廠へと来てくれというらしい。
それなので私は一緒にいた大淀に執務室の係を任せて工廠へと向かう事にした。
しかし、

《明石さんから呼び出しだなんて……なんなのでしょうか提督?》
「わからんな。なにか研究している実験がなにかの成果を上げたんだろうか……」
《提督はシンちゃんには早く会いたいですよね》
「まぁ会いたくないと言えば嘘になるけど……実際どのくらいの性格をしているんだ? そのシンちゃんが出てきている間は私は眠りについているからなんとも想像が出来ないんだよな」
《そうですね。とっても可愛らしいですよ。明石さんが言うには提督のちっちゃい頃じゃなくって新たな人格という話ですから提督も多分ですけどお気に入りすると思います》
「そうか。会えるといいんだけどな」
《はい……》

榛名とそんな会話をしながら工廠へと足を運んでいく。
そして到着してみて明石専用の工場へと足を運んでいったんだけどそこには明石の姿はなかった。

「明石? いないのか……?」

私は明石に聞こえるようにそう声をかけてみると小さいスペースの扉が開いてそこから明石が出てきた。

「提督。待ってましたよ!」

明石はニコニコ顔をしながら私に近づいてきた。
その恰好はいつもの工廠の物とは違って白衣を身に着けている事からやっぱり実験をしていたんだろうな。
やっぱり明石にはこういうマッドな成分もあるんだなと再確認をする。

「それで、私に用というのはなにかな? なにかの実験をするならまぁ付き合うのも吝かじゃないけど……」
「そうですねー。はい、実験と言えば実験です。ちょっと提督と榛名さんとシンちゃんの三人同時分離の原理の作成に煮詰まっていまして。それでよろしかったら提督の成分を少し拝借したいなって」
「成分って……」

一気に怖くなりそうな予感がした。
まさかなにか良からぬ事をするんじゃないだろうな……?
それで私は少し警戒をしながらも話を聞いていく事にする。
だけど明石はわたわたと慌てだして、

「ちょ! そんなに警戒しないでくださいよ! 大丈夫です。少し提督及び榛名さんのDNAデータとかを回収したいだけですから」
「DNAのデータを……? またどうして……」
《はい。明石さんならもうすでに行っていたものと思っていましたけど》
「うんうん」

榛名と二人で頷いていると明石は少しだけ顔を膨らませながらも、

「ひどいですねー。私だって少しは配慮しますから事前に聞く事くらいしますよ」

プンスカと怒りながらもそういう明石。
でも、そうなると、

「だとすると今までの実験の成果である薬は本当に手探りでやっていたんだな」
「そうですよー。指輪の成分を妖精さん達と何度も検証しながら、時には研究班の一人の妖精さんに実験台になってもらい、時には私が実験台になったり、時には―――……」
「わかった! わかったからもう思い出さないでいい! どんどん目が虚ろになっていってるぞ!?」
「あ。すみません……つい過去の実験の数々を思い出していると涙が流れそうになりますね」
「そうか……」

私達が知らなかっただけで裏では明石達の壮絶なドラマがあったんだなと感心をする。
それでもとうとう研究に行き詰まってきて私達に相談をしたという事なんだな。それなら断る事もないだろうな。

「わかった。それじゃ私はどうすればいい?」
「はい。少しの間ですけど採取をしますのでベッドに横になって眠ってもらえるだけで大丈夫です。その間に済ませる事は済ませちゃいますので!」
「少しだけ怖いけど頼りにしているよ明石」
「はい。お任せください!」

それで私は実験室に置いてあるベッドに横になって明石に渡された眠くなる薬を飲んだ後、少しして眠気が襲ってきたのでそのまま眠気に抵抗せずに受け入れて寝入っていった。







提督が眠りについた後、明石さんは色々と提督からなにかの採取をしていました。
血液だったり髪の毛だったりと種類が結構ありましてまるで錬金術でも行うのではないかと思うくらい明石さんの姿はアレでしたね。

《明石さん。それでそれはどういう風に使うのですか?》
「あー、そうですね。それはやっぱりDNAに含まれる提督と榛名さんとシンちゃんの成分をそれぞれ抜き出して薬を作成するというものですね」
《そうなのですか。榛名はそう言った知識は持っていませんのでよくわかりませんけど私と提督はともかくシンちゃんの成分はどうやって取り出すのですか?》
「それはさっきに提督に飲ませた睡眠薬に分離薬の成分を少しだけ入れておいたんです。だから今は少しだけ提督からシンちゃん成分も出ていますので抽出は可能かという感じですね」
《なるほど……やっぱり明石さんはすごいですね》
「それほどでもないですよー」

パタパタと手を振りながらも満更でもない笑みを浮かべる明石さんはやっぱり研究者としてやっていけそうですよね。
そしてしばらくして、

「よし……これで揃えられるものは揃えられました。榛名さん、待っていてくださいね。もう少しで提督と完全に分離できる時が来ますよ。シンちゃんというオマケ付きで!」
《それは……楽しみなんですけどいざ分かれろと申されますとまだ提督と一緒にいたいという感情がありますね》
「そうでしょうね。指輪の件がなかったらずっとこのままでいられたかもしれません。ですがもう分離が可能だと実験の成果で出た以上はいつでも分離できる心構えをしておいてください。織姫と彦星のような関係も羨ましいですけど、分離できればいつでも提督や皆さんとも触れ合えるんですから」
《はい》

それはとても嬉しい事です。
そしたら今までずっと夢見てきていた提督や金剛お姉さま達としたい事をいっぱいしたいです。
だから、

《明石さん。信じていますね》
「お任せください!」

その後に提督も起きて私達は実験室を後にしている時でした。

「……そうか。もう完全分離も目前の段階まで来ているんだな」
《そうみたいです。楽しみでもあり不安でもあります》
「それは私もだよ。でも、そしたら二人でしたい事をたくさんしような?」
《はい!》

提督と思っている事が同じで榛名はとても嬉しく思いました。
楽しみです。


 
 

 
後書き
さて、動き出しました。
この小説の一つの結末まで後少しという感じですね。
活動報告にも書きましたけど予定を繰り上げて冬イベが始まった瞬間に終わらそうと考えています。

ですのでもう少しだけですけどお付き合いしてください。




それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。 
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