レーヴァティン
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第三十八話 オーロラの下でその十
「じゃあ本当にな」
「いよいよでござるな」
「ここまでそいつが来てるならな」
「会えるでござるな」
「あの人じゃないかな」
源三はその果ての場所にいる一人の男を見て仲間達に言った。
「ひょっとして」
「はい、あの方です」
順一は源三にすぐに答えた。
「私が術で見たのは」
「それじゃあ間違いないね」
「では今から」
「あの人に声をかけようか、見たら斧も持ってるし」
まだ遠くだが巨大な戦斧も見える。
「確実だね」
「あの方に声をかけましょう」
「それじゃあね」
「ようやく巡り合えましたね」
その彼を見つつだ、順一は微笑んでこうも言った。
「長い旅路の後で」
「そうだね、寒い北の大地を進んでね」
「そうしてですが」
「何かおかしいな」
ここでだ、久志はその男を見つつ言った。
「動きがないな」
「そうですね、どうにも」
「どうしたんだ?」
見ればそうだった、立っている男は全く動かない。それで彼等も異変に気付いたのだ。
「一体」
「わからないですね」
「とりあえずな」
久志はまた言った。
「あいつのところに行くか」
「そうしますか」
「大男で斧を持っててな」
そしてだった。
「遠目だけれど髪の毛黒いみたいだしな」
「じゃあ間違いないね」
源三も言う。
「順一が言った通りにね」
「あいつだよ、俺達が探していたのは」
「そしてですね」
「六人目だな」
このことも間違いないというのだ。
「あの斧も間違いなく神の道具だしな」
「そしてアジア系ってことは」
「髪の毛も黒いな」
「うん、真っ黒だよ」
遠目だが何とかわかった、このことは。
「だとするとね」
「あいつは六人目だ」
「僕達の仲間だよ」
「だったらな」
「声をかけに行こうね」
「ああ、しかし本当に動かないな」
久志はまたこのことを言った。
「あいつは」
「まさかと思うけれど」
淳二は怪訝な顔になって久志に言った。
「凍死してるとか餓死したとか」
「それでかよ」
「動かないんじゃ」
「それかモンスターにやられてな」
正も言ってきた。
「それでな」
「立往生か」
「そうなってるんじゃねえのか?」
「じゃあ生き返らせるか」
それならとだ、久志は二人が言うケースから述べた。
「そうするか」
「そうする?」
「その時は」
「ああ、そうしようか」
「まあね、その時はね」
「そうするか」
二人もこう答える。
「本当に死んでいたらな」
「生き返らせてから話そうね」
「何はともあれです」
順一がここでまた言った。
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