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オズのトト

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第三幕その九

「何かね」
「お金だけじゃなくて収穫とか」
「あとお水がないとかね」
「竜巻もあったし」
「困ることだらけだったね」
「色々と」
「大変だったんだね」 
 オジョはドロシー達のお話を聞いてしみじみと思いました。
「ドロシーさん達は」
「ええ、楽しいこともあったけれど」
「困ったことが多かったよ」
「それで今のオズの国での暮らしがね」
「天国みたいだよ」
「若しもね」 
 ここでこうも言ったオジョでした。
「ドロシーさんがオズの国にいなかったら」
「そうだったら?」
「ちょっとオズの国は考えられないかな」
「あら、そうなの」
「うん、トトもね」
 勿論彼もというのです。
「いないとね」
「オズの国じゃないんだね」
 トトもオジョに聞きました。
「僕達はそこまでなんだ」
「オズの国には欠かせないよ」
「別にそこまでとは思わないけれど」
「いやいや、ドロシーさんにトトにね」
 それにというのです。
「オズマ姫にかかしさんや樵さん、勿論ムシノスケ教授やカエルマンさんもだよ」
「つまりオズの国の名士の人達は」
「そう、皆ね」
「オズの国には欠かせないんだね」
「僕はそう思うよ」
「そうですよね」
 恵梨香もオジョのその言葉に頷きます。
「若しドロシーさん達がオズの国にいなかったら」
「この国は普通の楽しい国だよね」
「言うならテーマパークですね」
「そうした場所も面白いけれど」
「普通に面白いだけで」
「こんなにはね」
 とてもというのです。
「面白くて楽しい国じゃないよ」
「ドロシーさん達がいてこそ」
「最高に楽しい国になっているんだ」
「場所だけじゃないですね」
「そう、人もだよ」
 つまりドロシーやオズマ達もというのです。
「必要なんだよ」
「最高に楽しい国になる為には」
「若しも以前のラゲドーさんや妖魔達がいたら」
「オズの国もですね」
「こんなに楽しい国じゃないよ」
「そうですね」
「前のラゲドーさん、ロークワットさんといった時もね」
 かつてドロシー達と戦って敗れていた時のこの人はとにかく酷い人でした。オズの国を攻め取ろうとさえしていました。
「いい人じゃなかったから」
「若しあの時のあの人が王様になっていたら」
「とんでもなかったよ」
「そうなってなくてよかったですね」
「全くだよ」 
 オジョはコーヒーを飲みつつ恵梨香に言いました。
「考えると怖いね」
「人も大事ですよね」
「そう、だからドロシーさん達もね」
 その彼等もというのです。
「オズの国には欠かせないよ」
「そうした人達ですね」
「全くだよ、今回だって」
「若しドロシーさん達がいてくれなかったら」
「僕はどうしていたか」
「わからなかったですか」
「途方に暮れていたと思うよ」
 そうなっていたというのです。 
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