七夏「ここちゃー、何を読んでるの?」
心桜「ん?『ラーメン大好きっ!泉さん!』」
七夏「らーめん?」
心桜「っそ! 流行に乗ってみよーと思って!」
七夏「???」
心桜「あーかいみどりときつねのた・ぬ・きっ♪」
七夏「それって、らーめんではなくて、おうどんと、おそば・・・」
心桜「そっちの突っ込みですか!?」
七夏「えっと・・・」
心桜「えっと、豚色黄いカレー! もあるねっ!」
七夏「そうなの?」
心桜「確か・・・あったはず・・・。あーなんか食べたくなってきた」
七夏「くすっ☆ らーめん作る?」
心桜「それもいいけど、せっかくだから本場ってヤツ・・・専門店で食べてみない?」
七夏「専門店?」
心桜「そう! 笹夜先輩も誘ってさっ!」
七夏「はい☆」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
心桜「んー、今日も暑いねー」
七夏「はい☆」
心桜「笹夜先輩は来れなくて残念・・・」
七夏「用事があるみたいです」
心桜「そっか、随筆出演よりも大切な用事って何だろ?」
七夏「???」
心桜「つっちゃー、着いたよ!」
七夏「えっと、『指折りラーメン』!?」
心桜「ここのラーメン店、ちょっと変わった所が、マニアに評判なんだって!」
七夏「そうなの?」
心桜「じゃ、早速頂きますか!!!」
七夏「はい☆」
---ガラガラ(扉音)---
店員「いらっしゃいませ。お二人様ですか?」
心桜「はい!」
店員「こちらの席にどうぞ!」
七夏「ありがとうございます☆」
店員「ご注文が決まりましたら、お申し付けくださいませ」
心桜「はーい!」
店員「では、ごゆっくりどうぞ」
七夏「はい☆」
心桜「つっちゃー、何にする?」
七夏「えっと・・・あ、私、これにしようかな☆」
心桜「んーどれどれ・・・おっ! 冷やし中華! いいねー!」
七夏「はい☆」
心桜「こっちの癒し中華も涼しそうで、いいなー」
七夏「くすっ☆ そんなのないですよ☆」
---ガラガラ(扉音)---
店員「いらっしゃいませ。お一人様ですか?」
客 「うむ」
店員「こちらの席にどうぞ!」
客 「ふむ」
心桜「(つっちゃー)」
七夏「なぁに、ここちゃー」
心桜「(あのお客さん、ラーメンマンじゃない!?)」
七夏「え!?」
心桜「(ほら、金肉マンに出てくる・・・)」
七夏「(あっ! 似てますね!)」
心桜「(でしょ! 異世界から現実世界に迷い込みマンじゃない!?)」
七夏「(なんですか? それ?)」
心桜「(あ、ラーメンマンが手を上げた)」
七夏「(ここちゃー、あんまり見たら失礼ですよ)」
心桜「(分かってるよ・・・でも、気になって・・・)」
店員「ご注文は、お決まりでしょうか?」
客 「ふむ・・・餃子定食を・・・」
心桜「そこは『ラー定』じゃないのかよっ!!!」
七夏「こっ! ここちゃー!!」
心桜「あっ! ・・・つい・・・」
店員「お客様、どうかなさいましたか?」
心桜「い、いやー、ここに来たら『ラー定』一択かなぁ・・・って!! あはは・・・」
店員「ラーメン定食ですね! かしこまりました」
心桜「え!? あ・・・はい」
店員「そちらのお客様は、お決まりですか?」
七夏「え、えっと・・・冷やし中華、お願いします」
店員「かしこまりました。しばらくお待ちください」
心桜「ふー・・・焦った」
七夏「もう・・・」
心桜「(なんで、餃子なんだろうね)」
七夏「(まだ、続けるの?)」
心桜「(だって、あたし、癒し中華にしようかなって、思いかけてたのにぃ~)」
七夏「(はぅぁ・・・そんなのないですよ)」
心桜「まあ、癒し中華は、また今度にしますかっ!」
七夏「はい☆ ってないですって」
心桜「そだ! つっちゃーなら作れるんじゃない? 癒し中華!」
七夏「む、無理です!」
心桜「なんで?」
七夏「どんなのか、分からないから」
心桜「それは、つっちゃーが、冷やし中華を作ってくれるだけでいいんじゃない?」
七夏「どおして?」
心桜「学生服+エプロン姿のつっちゃーに、癒されて・・・」
七夏「どおしてそうなるの?」
心桜「あはは・・・癒し中華を想像してたら・・・」
店員「お待たせいたしました。餃子定食になります」
客 「ふむ・・・」
心桜「(食べ方は・・・普通・・・だね)」
七夏「ここちゃー!!」
心桜「だってさ・・・なんかこう---」
店員「お待たせいたしました。冷やし中華になります」
七夏「わぁ☆ ありがとうございます!」
心桜「おぉ!! 冷やし中華、美味しそうだねー!!」
七夏「ここちゃー。少し食べます?」
心桜「ありがと、つっちゃー。でもあたしは今日『ラー定一択宣言』をしてしまっ---」
店員「お待たせいたしました。ラーメン定食のごはんとお漬物になります! ラーメンもすぐに持ってまいります!」
心桜「はい!」
七夏「? どしたの? ここちゃー?」
心桜「いや~主役を最後に持ってくる所が粋だなーって」
七夏「くすっ☆」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
店員「お待たせいたしました。ラーメン定食のラーメンになります」
心桜「おぉ! 待ちわびたよー・・・って、あれ? 店員さん?」
店員「どうかなさいましたか?」
心桜「いや・・・その、ラーメンに店員さんの親指が・・・」
店員「あ゛!! これは、失礼いたしました! すぐに替わりを持ってまいります!!!」
心桜「いえ、こちらこそ、細かくてすみません」
七夏「今のって・・・」
心桜「ん?」
七夏「その・・・店員さん熱くなかったのかな・・・火傷してないか心配で・・・」
心桜「そう言われれば・・・スープに親指ガッツリ浸かってたのに、自然過ぎだったよね。なんだろ?」
店員「大変お待たせいたしました。替わりのラーメンになります」
心桜「おぉ! 今度こそ・・・って、おいっ!!」
店員「あ゛!! またしても!! 大変失礼いたしました!!」
心桜「あのー、店員さんさぁ・・・その・・・指、熱くないの?」
店員「申し訳ございません。いつも熱いラーメン鉢を触っているもので・・・指の感覚が鈍ってきているのかも知れません」
心桜「・・・にしてもさぁ」
店員「お怒りはごもっともです。以前に何度も熱いラーメン鉢を落としてしまって・・・落とさないように、しっかり持つよう意識するあまり・・・申し訳ございませんっ!!!」
七夏「ここちゃー。あまり責めたら・・・」
心桜「分かってるって」
??「お客様、どうかいたしましたか?」
店員「あ、店長! ・・・実は・・・」
店長「あ゛っ! お前! またやらかしたのかっ!」
店員「す、すいませんっ!」
店長「あれほど、親指を入れるなって、言ってんだろ! 何度言ったら分かるんだ!」
心桜「て、店長さん! あたしは別に怒ってませんので」
店長「申し訳ございません。今度は店長の私が責任をもって準備してまいりますので」
心桜「よ、よろしく・・・です」
店員「申し訳ございません!!」
心桜「あー、もう何なんだろ・・・」
七夏「店員さん、ちょっと可哀想・・・」
心桜「まあ、仕方がない点はあるよね・・・つっちゃー」
七夏「なぁに? ここちゃー?」
心桜「先に食べなよ・・・冷やし中華」
七夏「え、でも・・・」
心桜「麺が伸びちゃうよ」
七夏「ありがとです。ここちゃー。じゃあ、お先に・・・いただきまーす☆」
心桜「うんうん♪」
店長「大変お待たせしました」
心桜「今度こそっ!! ・・・って、こぉらぁー!!!」
七夏「ひゃっ☆」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
心桜「まったく、なめとんか!? ってか、なめてんだろ!!」
七夏「確かに、驚きました!」
心桜「つっちゃー、
噎せてたけど大丈夫!?」
七夏「はい・・・ちょっと苦しかったですけど・・・大丈夫です」
心桜「あの店長、確かに親指は入ってなかったけど『親指以外』が全部だよ!! 4本とも!! 仲良く浸水式とキタコレがっ!」
七夏「コホッコホッ・・・」
心桜「ご、こめん! つっちゃー! 大丈夫!?」
七夏「うぅ・・・は、はい」
心桜「普通、ラーメン鉢をあんな掴み方するか? わざとだろ?」
七夏「確かに・・・個性的な持ち方でした」
心桜「あーなんか、すっきりしないぃー」
七夏「どしたの? ここちゃー?」
心桜「何が『指折りラーメン』だよ!『指入りラーメン』の間違いじゃないのか!?」
七夏「もう・・・振り返ってお店の看板を見たと思ったら・・・」
心桜「はっ!」
七夏「え!?」
心桜「あのお客!! ラーメンマン!!」
七夏「・・・が、どうかしたの? ・・・って、ラーメンマン確定なの?」
心桜「やっと、分かったよ!!!」
七夏「え!?」
心桜「なんで『ラー定』じゃなくて『餃子定食』だったのかって事がっ!!!」
七夏「えっと・・・それは・・・」
心桜「あー、ちょっとすっきりした~」
七夏「まあ、ここちゃーがすっきりなら、いいかな♪」
心桜「でもさ、4度目の『心桜完全監修セルフ式ラー定』は美味しかったから、終わりよければって事にしておきますか!」
七夏「くすっ☆」
心桜「今度は『つっちゃー特製癒し中華』を---」
七夏「謹んで、辞退させて頂きます☆」
心桜「えーーー!!!」
随筆八 完
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随筆八をお読みくださり、ありがとうございました!
本編の方も鋭意制作中ですので、どうぞよろしくお願い申しあげます!