ドリトル先生と奈良の三山
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第三幕その六
「明日はね」
「まずは学会に出て」
「僕達は学会の会場の入り口で待っていて」
「それで午後はね」
「東大寺だね」
「皆で行こうね」
こうお話してです、先生はお風呂の後はノートパソコンで論文を書いてそうして寝てでした。
その後で、です。起きると朝御飯を食べてでした。
学会に出てです、お昼御飯を食べてからでした。
その東大寺に入りました、皆はまずはその東大寺の大きさに驚きました。
「うわ、凄いね」
「物凄い大きさだよ」
「こんな大きなお寺なんてね」
「そうそうないわよね」
「お寺としても大きいんだ」
その巨大な和風のお寺の入り口で、です。先生は驚いて目を瞠っている動物の皆にお話しました。
「東大寺はね」
「大仏さんがなくて」
「それでもなのね」
「大きなお寺なの」
「そうなの」
「そうだよ、そしてね」
それにというのです。
「何といってもね」
「うん、大仏さんだよね」
「その有名な」
「何か日本の特撮だと実際に動きそうな」
「そんな感じの大仏さんだね」
「またそのお話なんだね、だから動かないからね」
先生はまたしても大仏さんが動くとお話した皆に笑って返しました。
「心が篭っていてもね」
「それでもなんだね」
「実は動かないのね」
「そうしたことはなくて」
「座ったままで」
「動かないのね」
「そうだよ、そうしたことはないから」
それでというのです。
「安心して観てね」
「ううん、何か本当にね」
「写真観てると動きそうだけれど」
「それでもね」
「実際は動かない」
「そうなのね」
「そうだよ、じゃあ安心してね」
そしてとです、先生は皆に笑ってお話しました。
「観に行こうね」
「動くかどうか気にしないで」
「そのうえでだね」
「そうしようね」
こうお話してでした、皆で。
大仏殿に入りました、すると中にあのとても大きな大仏さんが座っていました。
大仏さんを観てです、皆これまで以上に驚いて言いました。
「うわ、実際にその目で見たら」
「物凄いね」
「迫力あるわ」
「こんな大きさの像なんて欧州にないよ」
「今はとてもね」
「そうだね、これだけの仏像がね」
先生は皆と違って普通の笑顔です。その笑顔で言うのでした。
「一三〇〇年前の日本で造られたんだ」
「物凄いわね」
「これだけのものを造ったなんて」
「一三〇〇年前に」
「物凄いことね」
「前もお話したけれど国を挙げての事業だったんだ」
一三〇〇年前の日本ではというのです。
「人手もお金もかかったね」
「それはかかるだろうね」
「これだけ大きいとね」
「今だって結構お金かかるよね」
「これだけのものを造ろうと思ったら」
「そうだよ、けれどこれだけのものを造っても」
それでもというのです。
「時の政権は傾かなかったんだ」
「それだけの力を使っても」
「それでもなんだ」
「国は傾かなかった」
「そうだったんだ」
「そうだよ、他のことは無駄に力を使わなかったみたいだし」
それによって国力を消耗しなくて、というのです。
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