ガールズ&パンツァー もう一人の転校生
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梨華の部屋
「もしもし裕香?ちょっとお願いがあるんだけど。」
『何?』
梨華は今、裕香に電話をしていた。
内容はもちろん、
「例の転校生が家を聞いてきても絶対に教えないでね。」
『なんで?いいじゃん。』
梨華が電話をさやねに渡した。
「私たちは家柄であの三人の事を知ってるんだけど相性が悪いんだ。それに厄介なんだよ。」
『どのへんが?いい子じゃん。』
「とにかく教えるなよ。それでは。」
さやねが電話を切ると、
「次はみほたちだ。」
「どんどん行こう。」
みほはなかなかでなかった。
出たと思ったら、
『今から行きますから待ってて下さいね。』
二人の耳に聞き慣れをしている声が聞こえ、梨華が電話を切り、
「急げさやね、移動するぞ。」
「何処に?」
「お前の部屋に。」
「いいけどマンションだから見つかりやすいかもよ。」
「その点について考えたんだけど、大洗の生徒は寮生が多いからマンションの方がバレないかも。」
「そうだね。早速移動しようか。」
二人はドアを開けて、走り出した。
さやねのマンションには歩いて五分の所にある。
「梨華。そう言えばはやに電話してないよね。」
「大丈夫。はや達は今日、白河に遊びに行ってるから。」
「それって昨日じゃなかったけ。」
「そうだった。急いでしないと。」
梨華は急いではやに電話をした。
『こんな時間に何のよう?』
「大変だよ。奥州流の三人組が転校してきた。」
『マジで?』
「そうですー。注意して。後で後でさいかと一緒に木島姉妹の住むマンションに来るように。」
『了解。』
電話を切ると、梨華がいきなり低い姿勢になって望遠鏡を覗いた。
「今のところ桜達の気配は近辺に感じないわね。やっぱりもうすぐ授業だからかな?」
「そうでしょう。やっと一息つける。でもどうしていつも逃げておるんでしょうか?」
すると梨華が考えたが、思いつかなかった。
「どうしてだっけ?」
「私もわからないから聞いたんでしょう。」
「そうだよね。」
放課後の戦車道練習時間
「こっちに来るなー。」
はやとさいかの乗る戦車は桜達が乗っている戦車(四号戦車E型)に追いかけられていた。
『はやさん遊びましょうよ。』
「もっと落ち着いて。戦車道だから戦争ではないから。」
『どっちでもいいではないですか。』
「良くない。」
『撃ちます。』
砲弾が発射されギリギリで回避したはや。
「小ミサイル弾発射用意。」
「いつでも撃てるように準備はしてあります。」
「幸。撃って。」
「了解です。追尾システム異常なし。発射。」
砲弾が桜達を襲った。
「全員降車。早急に着替えて下校。」
「「「了解。」」」
「さいかは打ち合わせどおりに。」
「もちろんわかってるよ。」
はや達が帰宅準備に入ったのを見て裕香は、
「大狩流の関係者は動きが変だね。」
「一様私たちも関係者ですが。」
「完全にスルーだね。」
「私たちも帰ろうか。」
「「うん。そうしよう。」」
そうして大狩流の関係者は全員下校してしまった。
「これはまた大勢で来ましたね。」
さやねが呟いた。
無理もない、押し掛けてきたのは二人を除くもと白河女子高のメンバー7人。
「早く入って。アイツらが来る前に。」
梨華が声を上げた。
「そうしないと危険だね。あの性格からして。」
「あの性格とは何ですか?」
裕香がそれを聞くと、
「あいつらの流派はほとんどが戦闘狂なんだ。」
「戦闘狂?そうには見えませんでしたが。」
「幸はそう言えるよね。でも全国にはそんな感じの流派も存在するんだよ。」
「そしてそのなかでもあの三人はやばい。」
「どうやばいのか分からないんですけど。」
「的確な照準をあわせて、息の根をとめる。そんな戦い方なんだよ。」
「とにかくみんな入ったね鍵閉めるよ。」
「どうぞ、てか早く閉めて。」
みんなでリビングに移動した。
リビングの広さは二人で住むさやね達には大きすぎる十畳。
「みんなに話すけど、私たちがまだ小学生だった頃、彼女達三人は梨華の家に稽古に来たの。その頃私たちと試合して負けたんだけど嬉しそうな顔をしてたんだ。その後夏と冬の休みには絶対来ていたんだ。だけど小学5年生の夏休みに問題が発生したんだ。」
「その問題とは一体なんですか?」
絵里が聞くと梨華が、
「思い出した。私がむきになって桜をボコボコにしたんだっけ。」
「そうです。それから彼女達は必死に練習をするうちに戦車道を戦闘と間違え、そしてそれが悪化していく感じで戦闘狂になったんです。」
その説明を聞いたところで裕香が、
「どこかに今さっき交換した桜の番号があるはず。」
と言い出して携帯をいじる。
「「「「マジで勘弁してください。」」」」
四人の声がハモった。
「そんなに嫌なんですか。でも明日は学校で会うんですよ。」
「白河女子高に転校しよっか。」
梨華がこんなことを言い出した。
それに先ほど声をハモらせた三人は、
「それもいいかもな。」
「それ以外に道は無いかな?」
「無いから諦めようよお姉ちゃん。」
転校に賛成していたが、
「無理ですよ。国立高校への転校が可能なのは各学期の始めだけです。」
「「「「そんなー。」」」」
「だから転校は出来ませんよ。あーあ、もう8時だよみんな急いで帰ろうか。」
五人が立ち上がり玄関に向かった。
「「「「「お邪魔しました。」」」」」
「じゃあね。」
さやねが見送りをしてドアを閉め、鍵も同時に閉めた。
「今日は危険な一日になりそうだな。」
梨華の言葉にみんなが頷いた。
0時頃、梨華が見張りとして起きていると玄関付近から足音が聞こえた。
梨華が見に行くとそこにいたのは、
「にゃー。」
「猫かよ。」
と夜の訪問者は猫だけだった。
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