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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第七章 C.D.の計略
  スパイズサバイブ


仮面ライダー龍騎VS仮面ライダースパイズ

その力は、どちらも「サバイブ」


ならば、その力による戦いは長引かず―――――



《SHOOT VENT》

《SHOOT VENT》


――――ということはなく。




「おおぉぉおおお!!」

「はははははぁあああ!!」


龍騎の放つレーザーと、スパイズの放つ光弾とがミラーワールドを飛び回っていく。
すでにその場に街の情景はなく、ただ瓦礫が転がる荒野とかしていた。

そしていまだに、どちらも切り札のカードは切っていない―――――


《SWORD VENT》

「ムッ」

「おぉりゃ!!」


スパイズがベント音を耳にする。
放たれ続けるレーザーの中から、その音声通りに刃を展開させたドラグバイザーツヴァイを握って龍騎が駆け抜けてきた。

横薙ぎに振るわれるそれを、スパイズがしゃがんで回避。
一回転した龍騎の背面に、光弾をぶち込もうとディススナイパーを構えた。


だが相手はあのライダーバトルを終盤まで生き延びた龍騎だ。
その程度の反撃では

「ィッケ!!」

「GYUUUUUAAAA!!」

相手にならない。



「グッ!?モンスターとの連携か!!」

ガッ!!とドラグランザーに噛みつかれたスパイズは、驚愕しながらも腕が挟まれて何もできない。
そのままブンブンと振り回された挙句、瓦礫の山に叩き付けられて吹っ飛んでしまった。

そこに向かって、さらに炎を吐き掛けるドラグランザー。
だが、契約モンスターがいるのは何も龍騎だけではない。


「ギャギャッ!!」

貼り付けられる、デッドスパイダーの糸。
引っ張られ、あらぬ方向へと炎は吹き飛びそこにあった瓦礫をドロドロに溶解させて吹き飛ばした。



「よーしぃ、いいぞ」

ガラリと瓦礫を押しのけて、スパイズが立ち上がる。
そこに向かって、龍騎が飛び掛かるように刃を振り下ろしていく。


「おっと、これはまずい」

立ち上がったとはいえ、スパイズの足場は瓦礫だらけ。その直後のこの体勢では、回避もガードもままならない。
ならば、身体を持って受け止めるか?


否である。
ここでスパイズがとったのは、切り札と言える反則級のカード。


《ERASE VENT》

「え?」

ダンっ、ブンッ!!

「・・・はい?」


スパイズの目の前に立ち、間抜けな声を漏らしてしまう龍騎。

だがそれもそうであろう。
勢いよく着地し、体重をかけて刃を振り下ろしたと思ったら、刃が消えて空振りしてしまうのだから。


「嘗て、コンファインベントというカードがあった。これはそれの改良版だ」

「ッ!!!」


コンファインベント。
仮面ライダーガイが所持していたカードだ。

その効果は「カードの効果を打ち消す」こと

そして、そのカードは


ドドドドッッ!!


「ぐぅああ!!」

龍騎の腹部に、無数の光弾が命中する。
五発も命中すれば、高層まではいかずとも中堅ビルくらいは粉々になる威力がある筈だが、それを喰らっても龍騎はまだ立ち上がれる。


サバイブに強化変身したことで、その防御力も上がっているということだ。
生き残るという意味のカードの名は、伊達ではない。

ミラーワールド内での活動時間も、強化変身に伴い問題なくなっていた。



それらの優位点は、スパイズも持っている。
だが、生身でこの世界に居られる彼にとって、活動時間という概念自体あるかどうかは疑問だが。

しかしともかく、自分にとって利点ということは相手にとって不利ということ。
少なくとも、スパイズは決め手に欠けていた。


だから、龍騎を一度放した。
攻撃したのは、隙ができたからではない。

ただ、相手を吹き飛ばして距離を取りたかったから。

距離を取りたかったのは、再びカードを使用するための間合いがほしかったから。



コンファインベントは、カード無効化の効果を持つカードだった。
そして、そのカードは

「一枚じゃない。こちらもまた然り」

《ERASE VENT》


「ッ!?・・・・あっ、これもかよ!?」

カード発動。
そして、膝立ちになっていた龍騎は自信の変化に気付いた。


「サバイブが・・・解けてる!!」

「そのカード効果はサバイブと言えども逃れることはできない。それが改良点その一。その二は、これ」

「あ?・・・・おま、それ卑怯だぞ!!!」

「戦いってのは卑怯なものだ。それもこんな戦いの中で、正攻法で戦える方が稀だと思うぞ?」


取り出されたのは、三枚目のイレイズベント。
そして、今度消されるのは―――――


「クッ・・・効果範囲外に」

「あ、安心していい。このカードで命は消せない。俺の研究テーマから、それくらいわかってほしいけど」

「・・・・じゃあ、何を」

自分ごと消される。
それを危惧した龍騎だが、どうやらこのカードにそこまでの効果はないらしい。

だが、ならば今度は何を消す?
まさか、このライダーデッキを消してモンスターに俺を食わせる気じゃ・・・・


「いやいや、戦いを続けなければ意味がない。ミラーワールドが活性化しない。だから」

《ERASE VENT》

「また戦えるようになる程度に――――倒されてくれ」


発動するイレイズベント。
果たして、消えたのは――――――


「なッ!?」

「この状態でのファイナルベント・デッドパーティは、周囲がごちゃごちゃしていると少し扱い辛いんだ」

消えたのは

だから、綺麗にさせてもらった」


消えたのは、龍騎、スパイズを中心とした、500メートル以内の瓦礫や都市部の残骸、そのすべてだ。

しかも、戦いで崩壊した部分だけではない。
まだ無事なビルや、原形をとどめていたガードレールや、歩道と車道を区切るブロック、車や標識に至るまで、その場一切地面の上にあった建造物、設置物のすべてが消失していた。

よってその場に残っていたのは、龍騎、スパイズ、彼らの契約モンスターの二体。
それと街路樹に、ミラーモンスターが大小30体ほど。


「そんな、バカな・・・」

「改良点その三。カード効果にとどまらず、非生物ならなんでも消滅。さて、準備完了」

フォン

「喰らえ」

カシュッ

《FINEL VENT》

ファイナルベント・デッドパーティ発動。
それは、その名の通り「死の饗宴」だった。

龍騎たちに気付いたミラーモンスターが走り、又は飛んで迫ってくる。


それを見回す龍騎だが、その間にスパイズはデッドスパイダーの上に乗っていた。




デッドスパイダーは発動の瞬間に腹を上部に見せてひっくり返っていた。
そして、その腹部にスパイズが立つ。


瞬間


デッドスパイダーから無数の糸が伸びていった。
それを回避する龍騎だが、すでに近づいていたミラーモンスターや、動かない街路樹はそれに捕まり、易々とデッドスパイダーの元へと引き寄せられる。

抵抗しようにも、引き付ける力が強すぎた。
街路樹ですら、地面を掘り起こされ根ごと引きずり出されているのだ。


そして引っ張られ、グワンと宙に浮いて引き上げられた彼らを待ち構えていたのは


ギュィィィィイイイイイイイイイイイイイ!!!

「ギァ」

ズガシュッ!!

「ギャァぁあああああ!!」

デッドスパイダーの八本の足の先端が変形した、丸鋸だ。
回転するそれが、引き寄せられた獲物を無残にも引き裂いては放り棄てていく。


その光景を見て、龍騎は即座に背を向けた。
逃げるのは癪だが、その感情以上に本能の発する死の警鐘が強すぎた。


あれはヤバい。
あれはまずい。

アイツがこの場を開けた土地にしたのはこういうことか。
これではあの糸から、逃げるすべなどないではないか・・・・!!!!


「対象を引っ立てろ!!その体を引き裂け!!飛び散った命が、お前の糧だ。デッドスパイダー!!!」

ドドドドドッッ!!

「さっきより増えて・・・!?」


さっきのはデモンストレーション。
そう言っているかのごとく、四方八方へとデッドスパイダーの糸が放たれていった。

次々に捕まる、命ある者たち。

ある者はズルズルと、ある者は一気に。
その最後の一瞬までをも全力でその宴にあらがい、もがき、そして最後には引き裂かれる。


体躯が大きなもの、又は空を飛ぶものは、数本の糸をもって引き摺られて落とされる。

ドラグレッダーもその対象だ。
炎を吐き出し、その糸を焼いて上空へと逃げていくが、糸の追随はあまりにしつこい。

すると、何を考えたのかドラグレッダーが一気に低空飛行へとその軌道を切り替えた。
大きくデッドスパイダーの周囲を回り込み、背後を気にしながらその範囲外から出ようとする龍騎を真横から掻っ攫って一気に再上昇していった。


「おっふぅ!?」

だが、背後を見ながら走っていた龍騎からすれば不意打ちもいいところ。
変な声が出て終い、身体が変なくの字にまがってしまった。

ベチベチとドラグレッダーの頭を叩くが、助かったものは助かったのだ。
これ以上文句は言わない。


しかし

ドシュッ、ドシュッ!!!


上へ上へと上昇していくドラグレッダー。
それを追って、デッドスパイダーの糸がその後を追ってくる。

右へ左へと、龍騎の意思をも汲みながらドラグレッダーは回避しながら尚も高度を上げていく。
どうしても避けられないのは、龍騎がストライクベントで焼き払う。

だが、上に昇って気付いた。
消えたのは地上だけではなかった。



「雲すら――――消えている・・・・!!!」

すでに上空数百メートル。
地上の範囲は500だったが、まさかこちらは無制限なのだろうか。

これでは本当に、どこまで逃げればいいのかわからない・・・・!!!


「くそ。なかなかしぶとい」

ドラグレッダーと共にいるのが龍騎なら、デッドスパイダーに標的の指示を飛ばすのはスパイズだ。

すでにここらの地上と空域のミラーモンスター等は、デッドスパイダーの自立行動で始末した。
あまり数本を上空に飛ばし、その標準をつけていたのが彼の役目だが、遠くなるにつれ当たらない。



「だがまだ範囲内」

ビッ、と腕を振るう。
それと共に伸びていくデッドスパイダーの糸。

捉えたのは、500メートル範囲外のある物だ。


「落ちろ、ドラゴン」

そして、それをふるって、はるか上空に投げ放つ。
そのモノ、とは


------------------------------------------------------------


「クソッ、しつこい!!!」

数秒後の、上空の龍騎。
ドラグレッダーはいまだ上昇を続け、常に迫る二、三本の糸から逃れ続けている。

チラリと下を見ると、大都会のビル群の中にある、巨大な円形の空き地が見える。
その中心にある、塩の結晶程度の大きさの黒い点。それがスパイズだ。


と、その眼前に糸が迫り、寸でのところで回避する。
よそ見をしている暇はない。


そうして上空へと昇っていく龍騎だが、今この瞬間に限りもう数秒は下を見ていた方がよかった。



見ていれば、その円形の範囲外でビルが倒れた土煙が見えたはずだし、そこから大きく振り回されていく、その高層ビルも見えたはず。

そして何より




―――――ゴ、ォオオ!!!

「え・・・は?」

その回転による遠心力ではるか上空へと投げ飛ばされ、回り込んで龍騎たちよりも上空に来たビルを見て、回避することもできたはずだ。

「なんでこんなとこにビルが飛んで!?」




「フンッッ!!!」

地上のスパイズが、糸を引く動作をする。
すると、回り込んで龍騎たちに先回りしていたビルが、その軌道を真下に変更した。

そうなると、どうなるかは明白だ。
巨大なコンクリートの塊が、龍騎とドラグレッダーに向かって落下してくる――――!!!



「くっぉぉおおおお!!」

回避はできない。
もう回り込むには遅すぎる。

破壊など到底無理だ。


もはや、この中に

「突っ込んで・・・イケェぇええええええ!!!」

行くしかなかった。




大きさは、まるで切り分けていない焼きたての食パンに爪楊枝が突っ込むようなもの。
その場合なら容易に中に入るが、この場合はどうか――――――


パリン、と、衝突というには余りに小さな音がした。
ガラスを突き破って、反対側に抜けていこうとする流れだ。

そうすれば逆に、今度はこのビルがオレ達を糸から守ってくれる。

だが



「そりゃ甘い」

地上のスパイズが笑う。

中に飛び込んだ龍騎が見たのは、ビルの中に押し込まれたミラーモンスターの群れ。
しかも、すでに瀕死の状態で、もう数秒で爆発と共に消滅しそうな奴らばかりだったわけで。


「うぉぉぉおおおおお!!!」

ドッ



ドドドッ、ドンッ!!




ゴガドドドゴガドドドドドドドドドドォォオッッッ!!!






爆発し、粉々になっていくビル。
そのなかに、力なく落ちていく龍騎の姿が。


そして、その龍騎に向かって地上からまっすぐ伸びてきた糸が張り付き



「行けッ!!!」

スパイズの指示で、一気に引き下ろされる。
ある程度地上まで近づいたところで、それを回して遠心力を掛ける。


そして糸を手繰り寄せ、龍騎が残り600メートルの糸に引かれて一気にスパイズの元へとすっ飛んで行く。
それを待ちか構え、用意されるスパイズの八つの丸鋸たち。


その糸の長さが残り50メートルになり、龍騎にその刃が繰り出される、数秒前!!!


「ギャォォォオオオオン!!!」

稲妻のごとく垂直に飛来してきたドラグレッダーの尾が、その糸を切断した。
龍騎の身体は自制を失い、待ち構えたギロチンが反応するより早くデッドスパイダーの上を通り過ぎてすっ飛んで行った。


気づけばドラグレッダーも何処かへと消えており、スパイズは標的を逃した事を知り


「そっちか」

しかし、それを見逃すことはない。


見た先は、赤き鉄塔。
ベントカードのライダーは、姿さえ映ればガラスでだって出入り可能だ。


------------------------------------------------------------



「城戸!」

「おい、城戸。大丈夫か!!!」


その見定めた先。
赤き鉄塔――――東京タワーには、事件解決と共にその場の後処理をしていた巧や天道、そして翼刀がいた。

その事後処理や事件内容の把握、実況見分をしているところで、割れたガラスの回収場所から龍騎が飛び出してきたのだ。


当然驚かないわけがなく、巧は叫び、天道は変身も解けて倒れる城戸を抱え上げる。
翼刀は周囲を見回し、一体何者が敵なのかと警戒した。


と、そこに



「そいつに戦ってもらうぞ」

現れた。




「お前がやったのか?」

「タダですむと思うな・・・・・」

「城戸さん、少し休んでて」


目の前に現れたスパイズサバイブ。
ぐったりした城戸を「EARTH」隊員に預け、三人がそのライダーへと正対する。

天道、巧はそれぞれベルトを巻いてゼクターとファイズフォンを手にしていた。


だがそれを見て、スパイズは


「ミラーライダーでないのなら、お前らと戦ったところで意味はないんだ・・・・退け」

「そういうわけにも行かないだろ!!」

「「変身!!」」


翼刀の叫びに合わせ、カブトとファイズに変身する二人。

だが



《ERASE VENT》

「なっ!?」

「にィ!?」

裏返っていくように全身を覆い始めたハニカム構造の装甲。
身体を走ってエネルギーラインを描いたフォトンブラット。

しかし、イレイズベント一枚でそのどちらもが粒子となって消失し、その変身がキャンセルされる。


その光景に驚愕する二人。
と、そこに詰め寄ってきたスパイズが襲い掛かり


「させっか!」

「邪魔だ!!!」

バキィ!!!

間に入った翼刀をディススナイパーで撃ち押しのけ、行動の止まった巧と天道を振るった腕で弾き退かす。


生身の身体でライダーの裏拳を喰らってはさすがの二人もかなわず、数メートル舞って地面に落ちる。
だが、その背後にトンと拳を置き、動くなと警告する男が一人。


「動くな。動けば内臓がひっくり返ることになるぞ」


翼刀だ。
確かに、この距離であるならばはるかに優位な立ち位置である。

しかし、スパイズはそれを見て笑う。

「触れて分かったが、お前のその腕は全快ではないはず。筋肉が震えているぞ。おそらく重度のトレーニングか大技を放ったか・・・・どちらにしろ、披露した状態にある。そこからどういう技を放つのかは知らないけれど、思っている以上の威力はないだろう」

「・・・・・・・・・・」

確かに、翼刀はつい30分ほど前に《星の一撃》を放ったばかり。
戦闘不可能ではないが、不動拳を放つにはもう少し休息を入れたい。


それを見抜く、この男は一体・・・・


「職業柄、生命についての知識は深い。人体構造なんかは、当然だ」

「ッ、不動k」

「ヅっ、ダァッ!!!」


ドンッ!!と放たれる不動拳。
だがその発音が終わる前に、スパイズの一撃は翼刀の腹部を的確にとらえていた。

避けたとはいえ、翼刀の不動拳を右肩に喰らうスパイズ。
だがそのまま回転し、スパイズは左手で翼刀の腹部にディススナイパーをぶち込んだのだ。

先の戦いは苦戦するものではなかったが、それなりに体力の消費の激しい戦いだった。

弾丸を腹筋で止めるも、翼刀の身体は10メートルは押し退かされ、そこを抑えて膝を着いて止まってしまった。



一方、転がったスパイズはいまだにサバイブということもありすぐに立ち上がり隊員に連れられる城戸の元へと向かっていた。
小銃で抵抗する隊員たちだが、スパイズのパワーの前には有象無象だ。

容易く弾き飛ばされ、城戸の胸ぐらをつかんでスパイズはその身体を持ち上げた。


「戦え、戦うんだ!!さあさあ、狂ったように戦うんだよ!!!龍騎!!」

叫ぶスパイズ。
だが、城戸はもう変身すらままならない状態だ。



しかし意識を取り戻したのか、薄目を開けてスパイズに聞いた。




「お前・・・・なんでそんなに戦いたがるんだ・・・・・・?」

「お前そりゃぁ、戦って・・・たた、か・・・って・・・・?」

「戦って・・・・・ミラーワールドを・・・・」

「そうだ、活性化だ・・・・あ?・・・・・」

「ここで、戦っても・・・・意味は・・・・・ないんじゃ・・・・」

「いや、戦おう!!戦って、俺は・・・戦いたい?違う。俺は、あくまで研究の為・・・・」


ん?んん?と、城戸を持ち上げたまま首を傾げるスパイズ。
次第に腕も降りていき、城戸の身体が地面に降ろされる。

その城戸を隊員が回収し、そしてスパイズは尚もヨロヨロとその場を歩き



「む・・・う・・・・?」

シュゥン



そのまま、ガラスの中に消えてしまった。




「アイツ・・・・いったいどうして・・・・・?」

「城戸さん!!目が覚めましたか!?」

「いっつつ・・・」

ひとまずスパイズが去り、落ち着いた現場で翼刀が城戸へと近寄る。
おー、翼刀君、と言いながらも、城戸の表情は重い。


「いってぇなぁ・・・・ったく、あー、やべー・・・・」

「ど、どうしたんすか!?」

城戸の表情、そして戦いの様子から、何か大変なことが起こっているのではないかと思案する翼刀。
思いつめた表情で聞くが、真司の声はあまりにも気が抜けており。



「記事完全に落ちた。編集長に殺される・・・・・・」




戦いの事よりも、そちらが気になってしまう城戸であった。





------------------------------------------------------------



「まさか・・・・戦闘衝動に取り付かれるとは・・・・」

コツコツと、誰もいないミラーワールドの中を歩く白衣の男。
言わなくともわかるだろうが、高円寺だ。


その彼は、勝ったというのにもかかわらず浮かない顔をしていた。



彼にとって戦闘はあくまでも「ミラーワールドを活性化させるため」のもの。

戦闘そのものを楽しむ必要はない。
定期的に戦いを吹っ掛け、それによってミラーワールドを鎮静化させないためのものだ。



だというのに、途中から戦闘・・・・否、相手をぶち殺すことを考えていた。
殺してしまえば、戦いは終わりだ。それでは意味がない。



「何故・・・・と聞くのは野暮なこと、か」

ヒタリ、と街中の壁に接地された、身だしなみ用の鏡に手を当てて見つめる。

そこに映る自分はただ一人だ。
そう、あの瞬間に、自分たちは一つになった。


「この衝動は、お前のものなのか?」



高円寺健人は考える。



あれは――――そう。
数年前、あの研究室の前を通り過ぎた時のことである。







to be continued
 
 

 
後書き

ファイズたちに絡めてみました!!

と言っても、この瞬間だけでしょうけど。

スパイズのサバイブ・漆黒は、ライダーバトルを観測、分析して作り出したカード。
そのデッキ構成も思いのままですね。

というかイレイズパネェ。
何枚持ってんでしょうね?

高円寺
「何枚ですかね?」にやり

わーお悪い顔。

では、サバイブになっての追加情報ドーン!!

追加カード
イレイズベント・・・カード効果にとどまらず、非生物ならばなんでも消滅させる。
ファイナルベント・・・ひっくり返ったデッドスパイダーの上に引き寄せられ、八本の足の先端の丸鋸で引き裂かれるデッドパーティ発動。
アドベント・・・デッドスパイダー召喚



ではよろしく

城戸
「次回。高円寺の回想・・・ってことはあれ?俺出番少ない?」

ないかもね

城戸
「そんな!?」

ではまた次回 
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