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【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。

作者:炎の剣製
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0269話『榛名達との初詣』

 
前書き
更新します。 

 




「提督。一つご注意を。あれから少しは薬の改善が出来ましたがそれでも効果はまだ半日までしかありませんから、分離できている時間は限られていますので注意してくださいね?」

明石が初詣当日にそんな事を私に言ってきた。

「わかった。それじゃ薬を飲んで榛名と分離できた後は速やかに晴れ着に着替えてお参りをしてくるよ」
《榛名も了解しました》

私と榛名でそう答えておく。

「それにしても、もう半日も伸びたのは凄い成果だな」
「えへへー。一度作った薬ですからさほど改良には手間はいらなかったのもありますけどね。それにまだまだ改良の余地があるのは確かですから。まだ幼児化に記憶を失うという欠点は解消できていませんから」
「そこら辺はまぁ今後の成果を期待しておくよ」
「ありがとうございます。それじゃそろそろ時間も時間ですからお薬を飲んでみてください」
「わかった」

明石から渡された薬を私はまた飲んだ。
そして効果はすぐに現れたのかまた私の身体が光に包まれてその光が隣に集まっていくとそこには榛名の姿が出現した。

「……これは、成功のようですね」
「よかったな、榛名」
「はい!」

それで榛名と見つめあっているんだけど、

「はいはい! 提督も榛名さんも時間が惜しいですからさっさと支度をしてきてください。もしもの時のために一緒に初詣に同伴及び警護をする人選もすでに決められていますので大和さんの部屋で着替えたら行ってください。
ちなみに大和さんも一緒に着いていくそうですので戦力は十分かと思われますけどね」
「わかった。それじゃ大和の部屋に向かうとするか」
「はい、提督」

榛名と手を繋ぎながら大和の部屋へと向かう道中で、羽根つきをしている谷風、浦風たちと出会って、

「あ、提督さん。また無事に榛名姉さんと分離できたんじゃね?」
「ああ。おかげさまでな」
「んー。でもこうしてみるとやっぱり分かりやすいもんだねー。榛名さんはやっぱり清楚な感じが出ているけど提督の方は榛名さんの顔でも男らしさが滲んできているから」
「違いが分かるというのはいいものじゃね」

浦風がそう言っていい笑みを浮かべている。

「あ、でも提督ー。時間は大丈夫なのかい?」
「あ、そうだな。谷風、浦風、すまない。時間制限があるから早く大和のところに行かないとだからここで」
「お二人とも、すみません!」
「ええって。いってきんしゃい」
「ちゃんと初詣を済ませてくるんだよー」

二人とはそんな感じで別れて大和のところへと向かった。
大和の部屋へと到着するとすでに大和は晴れ着に着替えて待っていた。

「お待ちしていました。提督に榛名さん」

その大和の晴れ着姿に私は少しばかり目を奪われていた。
普段から綺麗だとは思っていたけど晴れ着を着るだけでここまでの変化をしてしまうものなのかと……。

「どうしましたか提督……?」
「……あ、いや。なんでもない」
「むー……」

案の定榛名は拗ねてしまっていた。
これはあとでなにか奢らって機嫌を治さないとな。

「あ、えっと……それじゃ大和。さっそく私と榛名の晴れ着の準備をお願いしてもらってもいいか……? 半日は時間があるとはいえ有限だから大切に使いたいし」
「わかりました。それではまず榛名さんはこちらのお部屋で」
「わかりました」

最初に榛名が更衣室に大和と一緒に入っていった。
それから少しだけ待つこと10分くらいか……?
カーテンが開くとそこには目も奪われるほどの美人になっている榛名の姿があった。

「あの、提督……どうでしょうか? 榛名、似合っていますか……?」
「…………」

その少し遠慮しがちな態度も私の心を大いに揺さぶってくれる。
なんというか、大和とはまた一味違った味わい深さを出している感じだった。
私は自身の頬が赤くなっているのを自覚しながらもどうにか口を開く。

「その……榛名、とても似合っているよ。率直に言えばかなり可愛いし綺麗だな」
「えっと……提督、ありがとうございます……」

それでお互いに萎縮してしまっているところで、

「提督? 榛名さんと良い雰囲気になるのもわかりますけど時間がもったいないですよ? 提督も早く着替えましょうか」
「わ、わかった! それじゃ榛名、行ってくる」
「はい!」

それから私も榛名と色が違って赤い色が目立つ晴れ着を着させてもらったんだけど、

「なんか少し派手じゃないか……?」
「そんなことはありませんよ。お似合いですよ提督」
「元が男性だったからやっぱり少し複雑な気分だな……」
「そうですよね。でもお似合いですからいいと思います」
「そうか?」
「はい!」

そんな感じで榛名にも見せたんだけどやっぱり「提督、とても似合っていますよ!」と普通に褒められたからどうしたものかという感じだった。

「それでは向かいましょうか。すでに夕立さんに山風さん、アイオワさん、ウォースパイトさんが待っていますよ」
「今回はその四人に私達を含めて七人か」
「はい、特に夕立さんが提督の警護を担当しますので安心してくださいね」
「わかった」

それで少し歩きにくいけど我慢して正門まで向かうんだけど、

「わー! 提督さんとってもお似合いかも!」
「……提督……その、似合っているよ……」
「ありがとう。夕立に山風。二人もとても似合っているよ」
「嬉しいッぽい!」
「……うん」

夕立は素直に嬉しがっていて山風は遠慮しがちだけど頬をうっすらと染めて照れていた。うん、やっぱり可愛いなー。
そして、

「Admiral! とっても綺麗ヨ! Very beautiful!!」
「アイオワのいう通りですわ。Admiral、とてもお似合いですよ」
「二人もありがとう。アイオワはやっぱり青の晴れ着が似合っているな。ウォースパイトもまた気品があっていいな」
「Thank you!」
「ありがとうございます」

その後に榛名の晴れ着も褒めている四人の姿があった。
そして、

「それじゃ時間も惜しいんでさっそく初詣に出発しようか」
「「「はーい!」」」

七人で町の初詣に顔を出していく。
でもやっぱり三が日という事もあって人混みが凄い事になっていた。
それでも町の人達は私達の事に気づいてくれたのか、

「あ、提督さん! あけましておめでとうございます!」
「提督の嬢ちゃん、今年もまた船団護衛とか頼むぜ!」
「提督さん、綺麗だねー……周りも綺麗揃いだから目を奪われるぜ」

などなど。
みなさんもとても好意的だったので安心して参拝が出来そうだった。
そしてお賽銭を済ませたあとにみんなで目を瞑って今年のお祈りをした後に、おみくじなどを引いてみた。

「提督さんはどんな感じだったっぽい……?」
「うーん……今回は中吉だったな。夕立は?」
「大吉っぽい!」

褒めてと言わんばかりに見せてくる夕立はとても嬉しそうだ。

「ノー! これは、キチ……? いい方なのかしら……?」
「うーん……悪くもなくよくもない感じですね」
「つまりアイオワの今年の運勢は普通って事ね」
「うー……悔しいデス」

大和とウォースパイトの評価に本気で悔しがっているアイオワがどうにもいつもより小さく感じた。
そんな中で、

「………提督。凶を、引いちゃった……」
「マジか……」

それで私は今にも泣きそうな山風の頭を撫でてやりながらも、

「そんな事は気にしないでいい。それなら気にせずに過ごせばいいじゃないか。でも心配だからおみくじを縛りに行こうか」
「わかった……」

山風とおみくじを縛りに行った後に、

「それじゃ少しだけ時間を過ごした後に帰るとしようか。時間制限も後二時間かそこらだろうと思うから」
「提督? あまり無茶はしないでくださいね?」
「わかっているよ榛名。少しの間だけ楽しもうか」
「はい!」

それで私達は屋台巡りなどを楽しんだのであった。


 
 

 
後書き
明日は小さい提督の話ですかね。






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