普通だった少年の憑依&転移転生物語
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
【ハリー・ポッター】編
222 予習復習時々策謀
SIDE OTHER
〝女三人寄ればかしましい〟と云う諺がある。……実際には二人でも十分に姦しいのはおいておくとして、なら〝男〟が三人集まったらどうなのか、と考えた事は無いだろうか?
……その答えは〝田ばかり〟──もとい、〝たばかり〟だ。
そして2月に入ったばかりの夜、【ホグワーツ魔法魔術学校】が校長室にも、一人は〝元・男〟なのだが──謀りがあった。……しかしその目的は世界征服を目論んでいるとかではなく、むしろその逆だし──三人は優雅に紅茶なんか啜っているので、〝そういうこと〟特有の悪どさが無かった。
優雅に紅茶を啜りながら朗らかな雰囲気で謀っているのはアルバス・ダンブルドア、アニー・ポッター、ロン・ウィーズリーの三人で。……カップを一番に空にしたダンブルドアが口を開く。
「……して、〝あやつ〟に対しての〝撒き餌〟の方はどうじゃろうか?」
「今学期始まって以来、ひと月に2~3回のペースで少しずつ情報を流しているので、そろそろ〝向こう〟にも全部の情報が行き渡っているはずです」
「結構結構…。……それにしても──〝開心術〟で〝繋がり〟を通して不定期的かつ不作為的に欺瞞情報を流そうとは天晴れな作戦じゃ」
「……ボクはロンに言われた通りやっただけです」
滔々と自身の問いに答えたアニー対してダンブルドアは感服したが、アニーは謙遜している。それからダンブルドアとアニーの間で2、3賛辞と謙遜の言葉が飛び交うが、ロンが諌めるとともにダンブルドアへと訊ねる。
「まぁ、ここは15の身空で〝開心術〟を使えるアニーが凄いと云うことで──ところで、ダンブルドア校長」
「……どうかしたかの?」
「〝撒き餌〟はこれで十分だとしても、それに向こうは食い付くのでしょうか?」
「食い付く公算が高いと、儂は見とる。……根拠はロン、お主がよく知っておるじゃろう」
「はは…」
ロンは愛想笑いを浮かべながらダンブルドアに対して感心しつつ、脳裏で〝とあるコガネムシ〟を思い浮かべていた。……ロンもアニーに一から十を任せっきりと云う訳ではなかったという事だ。
ダンブルドアはアニーとロンから聞きたかった事が訊けたからからか、いつもの好好爺然とした笑みで鷹揚に頷き、≪プロメテウス≫についての話をアニーとロンに投げ掛けた。
「そういえば≪プロメテウス≫の進捗状況どうかの?」
「まさに長足の進歩ですね。教導している俺達が驚かされる事も屡々あるくらいです。……よもや有体守護霊まで使えるようになるまでとは思いませんでした」
「ほー! 有体守護霊までも」
ダンブルドアは本当に感嘆する。〝守護霊の呪文(パトローナス・チャーム)〟で有体守護霊を作り出すのは本当に難しいからだ。……ロンが〝ズル〟をしたからと云うことも多少は関係しているが──やはりは≪プロメテウス≫のメンバー全員が有体守護霊にまでこぎ着けたのは各々のやる気があったからこそだった。
「はい、≪プロメテウス≫に所属している5年生の〝闇の魔術に対する防衛術〟の〝ふ・く・ろ・う〟は見物かと」
「ほっほ──なら、儂の方でも微力ながら力添えしておこうかの。……努力は報われるべきじゃからな」
ダンブルドアは今からでも今年度の〝ふ・く・ろ・う〟に於ける〝闇の魔術に対する防衛術〟の〝O〟の数の皮算用でもしているのか、微笑みながらそう語る。
怪しくも明るい夜会はその後三時間も続くのであった。
SIDE END
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
SIDE ロナルド・ランスロー・ウィーズリー
普段の山のように課される宿題に加え〝ふ・く・ろ・う〟に向けての勉強に身を窶しているとあっという間にバレンタインが過ぎて復活祭の時期がやって来た。
……ちなみにその間にはクィディッチのハッフルパフ戦があったが、180点差と云う──割とよくある結果に終わり、グリフィンドールが二連覇に王手を掛けることとなった。
閑話休題。
そしてその復活祭は俺達5年生に、人生の岐路に立っている事を教えてくれる。……有り体に云うのなら、これからの展望について──ひいては進路について考えるべき時期が来たのだ。
「むむむ…」「うーん…」
一通り資料を浚った俺とアニーは異口同音に唸る。……贅沢な悩みだとは判っているが、選択肢が多すぎて目移りしてしまっているのだ。
もしも得意科目不得意科目がはっきりしているなら選択肢の狭めようもあったのだが、自慢話になってしまうが──俺達は学年のトップ3を確約出来てしまえるくらいには成績が良かった。
……それはハーマイオニーにも当てはまるのだが、ハーマイオニーは≪S・P・E・W≫の関係なのだろう。いの一番に〝魔法生物規制管理部〟への進路を定めていた。
「むむむ…」「うーん…」
(前世じゃ父さんに甘えちまったからなぁ…)
そんな風に内心で自虐しては、次は自分の趣味特技について考えてみる──までもなく自分の特性が一番発揮でき、かつ俺自身の趣向に沿っている職業を思い付く。……兄のチャーリーと同じ職業であるドラゴン・キーパーだ。
(……まぁ、ドラゴンは好きだし天職ではあるかもな…)
とりあえずはそう進路を定め、横目でアニーを見遣れば〝呪い破り〟に対して関心を持っているらしく──それは奇しくも、ビルの職場だった。
程無くして復活祭が終わる。
SIDE END
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
SIDE アニー・リリー・ポッター
恙無く進路指導も済み、瞬く間に5月がやってきた。5月と云えば〝ふ・く・ろ・う〟や〝い・も・り〟のラストスパートの時期がやって来たと云うことにもなる。
当然、ボク達≪プロメテウス≫も〝ふ・く・ろ・う〟や〝い・も・り〟に対して一段と熱を入れていた。5年生や7年生でないメンバー達も予習や復習として熱心に耳を傾けていた。
……その〝予習や復習〟であるが、一番メンバー達にハーマイオニーにさえも──ウケているのは何と〝魔法史〟だったりする。
―歴史が嫌いなやつのよくある共通点って〝実感出来ない〟ってとこだと俺は思うんだよな―
〝魔法史〟の予習&復習を始める時ロンはこう言っていて、更に…
―……だから俺は考えた〝実感出来ない? ……なら実感出来る様にすれば良い〟──ってな―
……更に──以上の様にロンは続けた。確かにそれは正論だが、それ以上に暴論だった。100年以上も前の事象をどうやって〝実感〟しろと云うのか。……当然周囲から疑問の声も出る。
ロンはその問いを〝待ってました〟とでも云わんばかりにバッグから大量の〝とある物〟を取り出す。
その〝とある物〟をかばんから取り出したのを見た時、驚きのあまり目を剥いた。……驚愕した理由は、大した大きさではないかばんからと大量の〝それ〟が出てきたからではない。〝検知不可能拡大呪文〟という便利極まり無い呪文があるのだから。
……〝ボクが〟驚かされた理由はもっと単純だ。〝それ〟に見覚えがあったからである。
〝それ〟は実在──はしていたかもしれないが、それについてはいわゆるレプリカと云うもので、〝実働〟はしていなかったものだ。
―〝これ〟の使い方は至って簡単。……バイザーの部分が目に来る様に頭に被ってベッドに転がりこう言うだけで良い──〝リンク・スタート〟とな。それだけで〝魔法史〟のテキストとはさよならだろう―
ロンが皆に配ったのはパッと見っかの様なもので〝弧〟の一部が、バイザーの様になっていて──〝それ〟はどこからどう見ても〝アミュスフィア〟だった。
……確かにロンから【ソードアート・オンライン】に転生した事が事があるとは聞いていたが、よもや実際に〝アミュスフィア〟を目にする事になるとは思っていなかったのでフリーズしてしまったのは良い思い出。
再起動した時には皆ダイブしていて、ボクは取り残されていた。そしてロンに詰め寄ってみると、ロンからもっととんでもない話が聞かされた。
―〝魔法史〟の教科書を片手に〝世界の種子(ザ・シード)〟で〝魔法史〟を体感出来るゲームを作ってみた。……オフラインだが我ながら名作が出来たと自負している―
自慢気にそう締めるロンに遂にボクは頭を抱えた。〝世界の種子(ザ・シード)〟まで持ち出すとはなんたる技術力の無駄遣いだろうか…。
SAN値を削られつつ、後れ馳せながらもボクもダイブする。……その出来は、〝教科書バイバイ〟と云う言葉が伊達じゃないくらいの出来で、ダイブ後には数人グループに別れてちょっとした討論会を行うので、それぞれの所感が聞けるのも面白い。
(……まぁ、人事は尽くした──と思うから、あとは天命を待つのみかな)
レイブンクローを下した事で今年度もグリフィンドールがクィディッチの優勝杯を手にして──そして〝ふ・く・ろ・う〟がやって来る。
SIDE END
ページ上へ戻る