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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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蛇鬼の鰭

 
前書き
漫画を見ながら書くのってあんまりなかったからちょっと時間かかりますね。最低でも週一で連載したい。 

 
家から飛び出してギルドへと向かう中も爆音が止まらない。ギルドが近付いてくると、たくさんの獣がいるのが見えた。

「何あれ!?」
「モンスターの群れ?」
「すごい数がいるよ~!?」

あまりのモンスターの数に驚かずにはいられない。しかもそれがギルドに一直線に向かってきているのだから。

「魔導士ギルド蛇鬼の鰭(オロチノフィン)。何年も前からずーっと犬猿の仲のギルドよ!!」
「ライバル!?」

ギルドにたどり着くとルーシィさんとナツさんがすでに到着しており、シェリアの説明に驚く。

「モンスターを使ってくるとはね」
「堕ちたね、オロチも」
「きっとジュラさんがいなくなるのを見計らって・・・」
「感謝祭で油断してるとこを突かれたのね」
「おのれ~」

ライバルギルドの思わぬ奇襲に怒りを覚える。リオンさんも完全に油断していた自分を恨めしそうにしている。

「リオン!!これは一陣にすぎねぇ!!西方からすげー大群が来てる!!」
「10万はいるよ!!」
「10万・・・!?」

目を使ってその方角を見てみると、地平線まで続くモンスターの群れが見えた。

「このままでは街が壊滅する!!」
「ここまでやるかー!!オロチィィィ!!」

冷静さを欠いており大声で絶叫するマスター。そんな中1人だけその場に立ち尽くし、何やら思考している人物がいた。

「・・・なんでオロチはあんなに大量のモンスターを保有してるんだ?」

10万にもなるモンスターを一ギルドが保有していることなどありえない。それなのに列を外れることなく全てのモンスターがギルドに向かって突撃してくる。

「オロチには“魔物使い”がいるようだね」
「ならそこを叩けば」

この集団の群れを凌ぐことさえできれば街への被害を食い止められる。でも、それにはある問題があった。

「あのモンスターの数じゃ近づけねーよ!!」

魔物使いはモンスターたちの1番後ろ、安全地帯で待機しているはず。そうなるとそこに辿り着くまでにはモンスターを突破しなければならない。

「空なら」
「飛びまーす」

そう思っているとナツさんが夜空を指さしハッピーも手を上げる。そうか!!セシリーたちがいればモンスターの群れを回避することができるのか!!

「俺も行きます!!」
「はい!!」
「了解」

ここにいるエクシードは4匹。俺とウェンディ、レオンも名乗りを上げる。

「手を貸してくれるのか?」
「おうよ。燃えてきたぁ!!行くぞ、ハッピー!!」
「あいさー!!」

人の姿に変化するシャルル、セシリー、ラウル。彼女たちに持ち上げられて空へと飛び上がると、ナツさんもハッピーに持たれて―――

「ごめんねナツ!!」
「んば」

シェリアがそれを遮るようにハッピーに掴まった。

「シェリア!!」
「あれ?」
「お願いハッピー、このまま」
「あ・・・あい?」

何が起きたのかわかっていないハッピーに指示をしてそのままモンスターの群れを飛び越えていく俺たち。ハッピーはまだよくわかっていないようだが、シェリアの表情はキリッとしていた。

「あたしたちで蛇姫の鱗(ラミアスケイル)を救うんだよ!!」
「うん!!」
「だね!!」

そう言われて彼女の意図にようやく気付いた。ギルドのために自分が何とかしたいと思ってナツさんを蹴飛ばしたのだと。ウェンディと俺はこれを快く歓迎する。ただ、1人だけこれに不満そうな顔をしているものもいたが。

「すごいモンスターの数・・・」
「これが全部(マーガレット)に・・・」
「さすがに多いね」

空から見るとよりモンスターが多いのが一目でわかる。マーガレット周辺のモンスターを集めてもこんなに集まらないんじゃないかというほどの数が列を成している。

「ラウル、降りるぞ」
「え?なんで?」

そう話ながら飛行しているとレオンがそんなことを言い出した。彼がなぜそう言ったのかわからずそちらを見ると、彼は誰よりも冷静な判断を下す。

「一端モンスターの進軍を止める。お前らは魔物使いを頼む」

街への被害をできるだけ食い止めるためにモンスターの群れの半分辺りで地上に降りていくレオンとラウル。確かにあいつなら1人でも楽勝だろう、あの程度のモンスターなら。

「モンスターはレオンたちに任せよう」
「ナツさんたちもいるしね」
「俺たちはこの先にいる魔物使いを叩くぞ」

モンスターたちは数こそ多いけど力はそんなにない。これならレオンたちで十分に足止めすることができる。

「ごめんね、ハッピー」
「ううん。シェリアは軽いよ。ルーシィより」
「あとで報告しておきます~」
「いつも言ってるから意味なくない?」

ハッピーの発言にセシリーたちが食い付く。ルーシィさんはそんなに重たくないと思うけど・・・いや、持ったことないからわかんないけどね。

「そうじゃなくて・・・私・・・どうしても自分の力で街を守りたい」
「シェリア」

強い意志を持ってこの場にやって来たシェリアの表情がどこか暗い。これにはウェンディも不安げだが、敵の本陣が見えてくるとすぐに集中モードに入る

「いたわよ!!あそこ」
「離すよ~」

敵の集まっている場所を目掛けて俺たちは投下される。それに奴等は気付いて上を見上げているが、反応する間も与えず顔面に蹴りを入れた。

「「「天空シスターズ!!」」」

奇襲に反応できず地面に伏す3人。着地したウェンディとシェリアは、互いに向き合い頬を膨らませる。

「天竜の・・・咆哮!!」
「天神の・・・怒号!!」

竜と神のブレスに敵が一掃される。その間に俺も離れていた敵の前に立つ。

「水竜の・・・咆哮!!」

一同に会していたこともあり数は相手の方が遥かに多い。だが、実力はこちらの方が格段に上。蛇鬼の鰭(オロチノフィン)は次々に倒されていく。

「たかが小娘3人に何を手こずっている!!」
「小娘じゃねぇ!!」

シスターズとか呼ばれてるけど俺は男だ!!これには怒りの声を上げるが、それに気を悪くしたのは俺だけじゃなかった。

「あら、3人じゃないわよ」
「残念でした~!!」

素早い動きであわてふためく敵の懐に入り込む猫耳少女たち。2人は体を半回転させながら蹴りを打ち込んだ。

「ホワイトムーン!!」
「ブラウンサン!!」

可憐な2人の攻撃に目を奪われた青い猫。彼は背中の風呂敷から魚を取り出すと、それを地面に置いて座り込む。

「オイラも修行の成果を見せる時だ」
「ハッピー邪魔~!!」
「どっかに隠れてなさい!!」

戦場のど真ん中で意味不明な行為をする彼にセシリーとシャルルがキレる。そんなことなど気にした様子もなく、俺たちは敵を凪ぎ払っていく。

「シェリア!!ウェンディ!!雑魚は俺たちがやるから2人は―――」
「わかった!!任せるよ!!」

異様なほどに気合いの入っているシェリアのために道を作る。彼女はそれに乗じてどんどん先へと進んでいった。

「あれ・・・この匂い・・・」

そんな中俺とウェンディはある匂いに気付いた。どこかで嗅いだことあるこの匂いに、少し嫌な予感を胸に抱きながら前線を押し上げた。
















レオンside

「まぁ、ざっくりこんなもんだろう」

辺り一面に広がっているのは瀕死のモンスターたち。もちろん殺してはいないけどね、こいつらに罪はないわけだし。

ドドドドドドド

そろそろかな?そう思っていると背後から勢いよく走ってくる音がする。砂煙を巻き上げながら脇を走り抜けようとする桜髪の青年のマフラーを掴む。

「ぐおっ!!」

首が絞まったことでようやく止まるナツさん。俺は彼を引き寄せると、息ができずに青くなってきていた彼に手を叩かれようやく離す。

「ハァ・・・ハァ・・・こ・・・殺す気か!?」
「いやぁ、あまりに勢いよく走ってきたからつい・・・」

どうしてもお願いしておきたいことがあったから引き止めた。そのためにわざわざこんなところで時間を潰していたのだから。

「ナツさん、お願いがあるんだけどいいですか?」
「あぁ!?なんだよ?」

ハッピーを拐われたことで焦っているナツさん。そんな彼に俺は冷静にあることをお願いした。

















ウェンディside

「魔物使い・・・」

先へとどんどん進んでいくシェリア。その彼女の瞳は、蛇鬼の鰭(オロチノフィン)の最後尾にいる男の人を捉えました。

「いた!!あいつだ!!」

ターゲットを見つけ突進しようとする。でも、そんな彼女に敵の攻撃が向かっていきました。

「危ないシェリア!!」

私が間一髪でシェリアを押し倒して回避させます。いつものシェリアなら避けれたと思うので、ちょっと意外に感じます。

「ウェンディ・・・」
「大丈夫?」
「ごめん」

考えなしに突っ込みすぎたと反省しているシェリア。私たちは立ち上がって再度突進しようとしました。

「飛べるかなぁ?」

ですが、その声が聞こえたと共に足場が崩れ、私たちは強くなった重力により地面に倒れます。

「きゃあ!!」
「うわぁ!!」
「何コレ!?」
「ヤバ~!!」
「地面が・・・」

嗅ぎ覚えのある匂いに覚えのある魔法。顔を上げると、私たちを見下ろしていたのは8年前、悪魔の心臓(グリモアハート)との戦いで襲ってきた男の人でした。

「ブルーノート・スティンガー!!」

闇ギルド最強と呼ばれていたギルドにいた人に驚いていると、さらにパワーアップした重力によりどんどん潰されていきました。

「ぐ・・・」
「体が・・・」
「動かない・・・」
「重たい~・・・」
「何であいつがここに・・・」

この一年で力を付けてきたはずだったのに、前と同じように動けないなんて・・・私たちが成長した分、あの人も強くなったってこと?

「悪いけど、俺にはそんなの効かないぜ!!」
「シリル!!」

動けなくなっている私たちの脇を駆け抜けたのは小さな水の竜。彼は水を纏った拳を振りかざし敵に向かっていきます。

「フンッ」
「ぎゃあ!!」
「「「「「えええええ!?」」」」」

でも、昼間の疲れがあったのかな?ブルーノートさんの重力魔法で彼は追い払われるように飛ばされると、私たちと同じように地面に伏してしまいました。

「ちょっとシリル!!そんなの効かないんじゃなかったの!?」
「思いきりやられてるよ~!!」
「いや・・・ちょっと疲れが・・・」

ナツさんとのバトルのせいで本調子じゃなかったこともあり簡単に倒されてしまったシリル。

「まずは・・・」
「ひっ!!」

ブルーノートさんがターゲットを決めたかと思った途端、シェリアの体が宙に浮いた。

「シェリア!!」
「やめ・・・ろ?」

シェリアが危ないと思って彼女を方を見ると、彼女が持ち上がったのはブルーノートさんが原因じゃないことに気が付いた。

「見つけたぞ」
「ナツ!!」
「ナツさん!!

上がった息でシェリアを持ち上げているのは街に残してきたはずのナツさん。もしかしてハッピーが連れ去られたから追い掛けてきたのかな?

「こいつ・・・」
「先生の重力下で・・・」

ブルーノートさんの魔法で、以前は彼も立ち上がることすらできなかった。それなのに今は、平然してシェリアさえも持ち上げている。

「よくもハッピーを盗んだな」
「ごめんなさい」

ただ、彼は状況をイマイチ把握できてないらしくシェリアに対して怒り気味。なのでシャルルとセシリーの方から説明します。

「ナツ!!今はそれどころじゃないの!!」
「あいつがいるの~!!天狼島で僕たちを苦しめた~・・・」
「ブルーノート」
「ん?」

その言葉でようやく彼の存在に気付いたナツさんはそちらを見上げる。しばし互いを見ていると、ナツさんらしい解答が来た。

「覚えてねぇな」
「ウソォ!?」

ナツさんらしい解答に私とシリルは苦笑いするしかない。でも、それを聞いたからなのか、相手に異変が起きた。

「ごはっ!!」
「ひぎ!!」
「せ・・・先生・・・ぐぁ!!」
「な・・・なんて魔力だ・・・」
「う・・・動けん!!この俺が・・・一歩も・・・」

ブルーノートさんの魔法により地面に叩き付けられ動けなく蛇鬼の鰭(オロチノフィン)の皆さん。それをやった本人は彼らに構うことなくナツさんに突進してくる。

「先生!!」

血迷ったのかと思われるほどのおかしな行動に魔物使いが呼び止めるが、彼は重力魔法でナツさんを押し潰そうとする。

「潰れろ!!」

大きく沈む大地。その時ナツさんの左手から炎が吹き出る。

「潰れるかぁ!!」

その拳で地面を叩き地面を押し上げるナツさん。これには敵も味方も驚かずにはいられない。

妖精の尻尾(フェアリーテイル)は潰れねぇ!!」

それを聞いた時、私とシリルはナツさんに見惚れてしまいました。ずっと入ってた、大好きだったギルドが解散したと知って、普通なら諦めてしまうのに。誰も立て直そうなんて思わなかったのに、彼はそれを絶対に諦めない、元の大好きな仲間たちと共にもう一度作り直そうと本気で思っているのだとわかったからだ。

「勝手に潰すなー!!」
「こいつぁとべ―――」

激昂によって放たれた炎。それは空をも焼き尽くすほどの大きなもので、8年前に私たちを苦しめたブルーノートさんは、真っ黒焦げになり、地面に伏した。

(一撃・・・!?)
(シリルとのバトルの時は本気じゃなかったの~!?)
(この一年でどれだけ強くなったの?ナツさん)
(俺だって万全だったらぁ!!)

レオンと大差ないほどの力を見せつけた彼に驚愕し、何も言葉を発することができない。

「いいからドロボーってのはな―――」
「なんか服燃えてるんだけどー!!」

成長したことに自覚がないのかシェリアに説教しようとしているナツさん。そのシェリアは先程の攻撃で服が燃えてしまっており、懸命に胸を隠していた。

「ナツ、説教よりも周りをよく見てよ」
「ん?」
「まだ敵が残って・・・」

立ち上がった蛇鬼の鰭(オロチノフィン)の皆さんを見据えるナツさん。敵は数がたくさんおり、それを優位に攻めてくるかと思ったけど、ナツさんの強さを目の当たりにした彼らは、目を点にして動かない。

「降参です」

全員が額に汗を浮かべて敗北宣言。この争いも終わりかと思ったところで、モンスターの群れを分断するために別行動を取っていたレオンがようやくやって来る。

「ナツさん」
「おおっ、レオン」

何やら意味ありげな笑みを浮かべた2人。彼らはハイタッチしようと其其手を上げた。

「何シェリアの服燃やしてんだぁ!!」
「んぎゃあ!!」

レオンの手が捉えたのはナツさんの頭だった。

「お・・・おぉ・・・」

地面に伏しているナツさんを見て蛇鬼の鰭(オロチノフィン)は完全に押し黙った。そもそもあの人たち、レオンのことを算段に入れてなかったのかな?絶対普通にやったら勝てない相手だよね?

「大丈夫?シェリア?」
「う・・・うん」
「今上着貸すよ、シリルが」
「お前が脱げこのアホが!!」
「シリル見ちゃダメ!!」

レオンのボケを受けて彼らの元に歩み寄っていったシリルの目を急いで塞ぐ。結局シェリアにレオンが上着を貸して、彼がナツさんを引きずりながら全員で街へと戻っていきました。



 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
意外と話が1話に入ってしまいちょっと困惑。次は蛇姫の鱗(ラミアスケイル)とのお別れです。またアルパレス編ですぐ再会するけどね。 
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