元カレ殺す
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第一章
元カレ殺す
「うおおおおおおおおおお!!気になって仕方がねえ!」
「あっ、すいません病院ですか」
僕がクラスで自分の席から立ち上がって両手で頭を掻きむしりながら絶叫するとすぐにツレが通報に入る。
「はい、こっちに患者がいまして。発狂しまして」
「おい、ちょっと待てよ」
僕はその通報する友人に対して突っ込みを入れた。
「何処に通報してるんだよ」
「何処って。八条病院の精神科だよ」
僕達がいる町の病院だ。かなり大きい。
「御前が狂ったからな」
「僕の何処が狂ったんだよ」
「元からそうだけれど今は特にな」
「いや、狂ってないからさ」
僕はそのことを否定した。僕にとってはとんでもない誤解だった。
「至って正気だよ」
「じゃあいきなりクラスの中で絶叫するなよ」
「どうしても気になるんだよ」
「ああ、あのことな」
ツレはすぐに僕が気になっていることを察してこう言ってきた。
「彼女のことな」
「そうだよ、何か前の彼氏酷い奴だったらしいよな」
「何かヤクザかゴロツキみたいな奴だったらしいな」
「あの娘にいつも暴力振るってな」
「そういう人間の屑っているよな」
ツレもそうしたことはわかっていた。
「飲んでいつもな」
「酒を飲むのはいいけれどさ」
僕もこいつも飲む、高校生だけれど煙草は吸わないしそれでいいと思っている、飲む酒は梅酒が好きだ。
「そんなことしたら駄目だろ」
「最低だよな」
「そいつとは別れたけれど」
僕はそれでもだと言う。
「前に何されてたかって思うとね」
「気になって仕方がないんだな」
「それであいつを」
その元カレをだった。
「リアルで殺したいって思ってるんだけれどさ」
「おい、その言葉本気かよ」
「本気でないとこんなこと言わないさ」
僕はやっと自分の席に座って自分の前の席にいるツレに答えた。
「僕の場合はさ」
「そうだよな。けれどマジで殺したら犯罪だからな」
「止めろっていうんだな」
「そうしたら精神病院どころじゃないぜ」
これはその通りだった、立派な殺人罪で少年院入りは免れない。
「御前洒落にならないことにからな」
「それは駄目だよな」
「抑えろ、っていうかな」
「というか?」
「過去は過去だろ」
こう僕に対して言ってきた。
「今考えても仕方ないだろ」
「じゃあここで叫んでも」
「今度叫んだら本当に通報するからな」
僕に自分の携帯を見せて警告してくる。
「わかったな」
「きついな」
「きついも何も落ち着けよ」
僕を止めて注意する言葉だった。
「わかったな、じゃあな」
「忘れないと駄目か」
「また言うけれど過去は過去だからな」
だからだというのだ。
「言っても仕方ないしな。それにな」
「それに?」
「御前はもう彼女のことだけを考えて未来を生きればいいからな」
「あいつはいいのかよ」
「まあ見てなって」
ツレは笑顔でまた僕に言った。
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