とある3年4組の卑怯者
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77 表彰式
前書き
女子バレーボール、4組対5組の試合、リードしたりされたりの3セット目、たまえのブロックが決勝点となり、4組の勝利が確定したのだった・・・!!
球技大会、ようやく終焉を迎えました。疲れた・・・。
「やったー!!ブラボー!!」
藤木は4組の勝利に大声で喜んだ。
「ふ、藤木、お前、落ち着けよ・・・」
はまじが藤木に言ったが、藤木は喜びのあまり聞いていなかった。
たまえは橿田を見て気になった。それをリリィが気になる。
「たまちゃん、あの子に何か話しかけてみたら?」
「え!?い、いいよ・・・」
橿田が起き上がった。そして5組の皆に謝った。
「ごめんね、皆・・・!私が自分の事ばかり考えてたから負けちゃって・・・」
「いいよ、ひろ子ちゃんも頑張ったよ!」
「う、うん、ありがとう・・・」
橿田は泣いていたが、慰めてくれたクラスメイトに感謝した。そして、4組の方へ向かい、たまえに声をかける。
「たまちゃん・・・!!」
「ひろ子ちゃん・・・」
たまえは橿田に背を向け、教室に帰ろうとした。
「待って!本当にごめんね・・・!!」
「え・・・?」
たまえは立ち止まった。
「私がたまちゃんの友達にボールを顔に当てた事だよ・・・!」
「え、うん、いいよ・・・」
「さくらさんだったよね、さっきはごめんね・・・。私君がたまちゃんと仲良くしてて、羨ましく思っちゃって、ついあんな事を・・・」
橿田はまる子に謝った。
「いや、いいよ、アタシゃ全然気にしてないよ!」
まる子は橿田を慮った。
「あの、この際、二人とも仲直りしたら?」
リリィが提案した。
「え?」
「何も知らない私が言う事じゃないけど、このまま何も解決しないよりは増しだと思うわ」
「あ、うん・・・」
たまえは恥ずかしくなりながらも承諾した。
「ねえねえ、たまちゃん達、これから表彰式やるから校庭行こう!」
とし子が呼び掛けた。
「うん、ごめんね、ひろ子ちゃん、後ででいいかな?」
「うん、いいよ・・・」
4組の皆が体育館を出た。その後、橿田ら5組も校庭へ向かった。
「笹山さん!」
藤木は笹山に声をかけた。
「あ、藤木君、お疲れ様。応援ありがとう」
「う、うん・・・どういたしまして。あの、僕達、実は優勝したんだ」
「へえ、そうなの?おめでとう」
「う、うん・・・」
その時、ケン太も話に入る。
「藤木君は凄い活躍したよ!試合に出ていても凄いプレーを見せたし、出なくても皆にいい指示を出してくれたんだ!」
「え、本当?凄いわ、藤木君!」
「あ、ありがとう・・・」
藤木は笹山に感心されてこれは夢か自分の妄想なのかと疑い、頬をつねった。しかし、現実であり、なおさら嬉しく思った。
「藤木君、どうしたの?」
「あ、いや、なんでもないよ!」
藤木は誤魔化した。笹山とケン太と共に笑いあった。
表彰式が始まった。校長が朝礼台に立っていた。
「えー、今年の3年生の球技大会の優勝クラスは男子は4組、女子は1組と決まりました。おめでとうございます」
4組からはケン太が、1組は桜木が朝礼台の前に来た。そして表彰状を貰ったのだった。
「男子の皆さん、優勝おめでとうございます。よく頑張りましたね」
戸川先生が皆を労った。そして、全員礼をして解散となった。そして、花輪が皆に呼び掛けた。
「Hey、everybody、よかったら僕の家で明日の午後、球技大会の打ち上げをやらないかい?」
「いいのお~?花輪クう~ン?」
「あ、ああ、もちろん、そうだ、僕達だけじゃなんだから他のclassの友達も是非誘ってくれたまえ」
皆が喜んだ。
「藤木君ももちろん行くよね?」
リリィが聞いてきた。
「うん、もちろんさ!」
藤木もリリィも楽しみにしていた。
その後、リリィはまる子とたまえと共に5組の教室前にいた。
「ひろ子ちゃんと会うのはちょっと気が重いな・・・」
たまえは緊張していた。
「大丈夫よ、たまちゃん。私達がいるから」
「う、うん・・・」
その時、橿田が寺東、桃山、筒井と共にドアから出てきた。
「あ、ひろ子ちゃん・・・!」
「たまちゃん・・・」
「今までごめんね・・・。ひろ子ちゃんの事を避けて・・・。私あの時の誕生会でひろ子ちゃんは私よりもクラスの友達とずっと仲良さそうで私、遠ざけられたような気がしてたんだ。あの時のひろ子ちゃんはもういないと思ってだから私、私・・・、ひろ子ちゃんの顔が見られなくなっちゃったんだ。ごめんね、本当にごめん・・・!!」
たまえは泣きながら謝った。
「え?うん、いいよ、そうだっただんだ・・・。私もたまちゃんの気持ちを知らないでごめんね・・・。それで勝手に裏切った何て思っちゃって・・・。それでさくらさんにちょっとヤキモチぶつけちゃったんだ・・・。確かに私もクラスの友達と楽しむ事が多くて、それでたまちゃんにあの時寂しい思いをしていたんだなんて・・・。私も本当に最低だよね。それで試合でも自分の憂さ晴らししか考えないプレーばかりしてる事に4組に負けた時、気付いたんだ・・・」
橿田は自分の事を行った事を反省していた。
「ううん、そんなことないよ、ひろ子ちゃんは学級委員として練習の時もてきぱきと練習進めてたもん!ウチのクラスなんか、最初は上手くまとまらなくて苦労したんだよ。凄いよ!」
「え?うん、ありがとう、たまちゃん!私からお願いするのもなんだけど、また友達になってくれる?今度は誤解しないように気を付けるよ」
「ひろ子ちゃん、うん、いいよ。私のクラスの友達とも、ひろ子ちゃんのクラスの友達とも仲良くなろうよ!」
「うん!」
こうしてたまえと橿田の関係は幼稚園児時代以来の関係に少し修復する事になったのだった。
「そうだ、ウチの組の花輪クンが球技大会の打ち上げをやるって言ってたわ。他の組も誘っていいって言ってたら是非皆で行きましょうよ!」
リリィが提案した。
「いいわね!皆で行こう!」
皆花輪家の打ち上げを参加する事になった。
藤木は永沢、山根と下校していた。そこに山田が現れた。
「お~い!君たち~!!」
「山田君・・・。何だい?」
「花輪クンが言ってた打ち上げって何だい?花火でもあげるのかい?」
山田の無知さに何も言えない三人だった。その時、永沢が動揺して顔が真っ青になった。
(永沢君、花火と聞いてきっと火事の事を思い出しているんだ!!)
藤木は永沢の心情を読み取った。そして慌てて山田に言う。
「ち、違うよ!打ち上げっていうのは何かやった後にやるパーティーの事だよ!!花火なんかやらないよ!!」
「あ、なあ~んだ、そう言う事だったのか~。アハハハ、かんちがいしちゃったじょ~。パーティーなら楽しみだじょ~!」
山田はアハハハと言って去った。藤木と山根は永沢が気になった。
「永沢君、大丈夫かい?もしかして気が動揺したんじゃないのかい?」
「いや、別にいいのさ。君に庇ってくれる事の程じゃないさ」
「そんな事ないよ!友達の事なんて軽く見れるわけないじゃないか!」
「卑怯者の君と僕が友達だって?冗談はよしてくれよ・・・」
永沢は恩を仇で返した。藤木は永沢の心ない言葉に大ショックを受けてその場で立ち止まってしまった。
「永沢君、君その言い方は酷すぎだよ!」
山根が反論した。
「だって藤木君の卑怯は本当の事じゃないか」
「そうかもしれないけど・・・」
「悪いけど今日の球技大会だってもし僕が釘を刺しておかなかったら藤木君はきっと仮病で休んでいたかもしれないんだぜ」
「でも今日は藤木君は大活躍だったじゃないか!少しくらい褒められないのかい!?」
「じゃあ、君が褒めてやればいいじゃないか。君は藤木君の事を友達だと思っているんだろ?」
山根は何も言えなかった。永沢はそう言って立ち尽くした二人を置いてそのまま帰ってしまった。
「藤木君、永沢君の事なんて気にする事ないよ。君は凄い頑張ったよ。ケン太君や大野君、杉山君も君の事を褒めていたじゃないか。それに明日は打ち上げたよ。皆で楽しくやろうよ!!」
山根が藤木を励ました。
「山根君・・・。うん、そうだね!」
藤木は気を取り直した。
(そうだ、打ち上げか・・・。リリィや笹山さんと楽しくできたらいいな・・・)
藤木は打ち上げの事を楽しみにしながら山根と共に帰宅のためにまた歩き出すのだった。
後書き
次回:「後宴」
花輪家で行われる球技大会の打ち上げに参加した藤木達。藤木達はその打ち上げを他のクラスの児童をも交えて満喫する・・・。
一度消えた恋が蘇る時、物語は始まる・・・!!
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