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トイレの花子さん

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第一章

               トイレの花子さん
 多くの学校である話だが大阪市福島区にあるこの学校でもだった。
 トイレに出るという話があった、その出るものはというと。
「花子さん出るの?うちの学校にも」
「らしいわよ」
「三年と四年の校舎の一階ね」
「あそこのトイレにね」
 そこにというのだ。
「出るらしいのよ」
「あそこの奥から二番目の部屋?」
「女子トイレのね」
「あそこに出るらしいのよ」
「ノックしたらって」
 主に女子の間で噂になっていた、ここに男子が入るとだった。
「男の子は入られないでしょ」
「だから入らないで」
「おトイレにもね」
「いいわね」
 こう言って男子は除外された、そしてだった。
 その話を聞いた五年生の三人組が話に乗り出した。
 池田まどか、遠山ちづる、中西かなめの三人はその話を聞いて本当に花子さんが自分達の学校にいると興味を持ってだった。
 早速だ、彼女達は三人で話をした。
「面白そうよね」
「ですわね」
「そうかな」
 三人はそれぞれ言った。まどかは茶色い短めの髪の毛を上の方でワイルドな感じのツインテールにした目の大きい少女だ。ちづるは薄茶色の髪の毛を前を切り揃えて白いカチューシャでまとめたロングヘアの上品な感じの少女だ。かなめは黒髪の前をヘアピンで左右に分けていて腰まで伸ばしている。いつも三人で仲良く行動をしている。
 その三人がだ、自分達のクラスの担任に聞いたのだった。
「あの先生、トイレの花子さんですが」
「うちの学校にも出るというのは本当でしょうか」
「嘘じゃないんですか?」
「ああ、あの話ね」
 担任は若い女の先生だ、名前を磐前享子という。黒髪を後ろで束ねた面長の顔の赤いジャージがよく似合う先生で今もジャージ姿だ。
「何ていうかね」
「何ていうか?」
「っていいますと」
「本当にいるんですか?」
「いるとは聞いてるわ」
 先生はこう答えた。
「うちの学校にもね」
「じゃあ夜の十二時にですよね」
 まどかは自分が聞いた話を先生にした。
「出るんですね」
「ええと、三年生と四年生の校舎の一階でしたわね」
 ちづるも聞いた話をした。
「あそこの女子トイレの奥から二番目に」
「あそこ私使ったことありますけど」
 最後のかなめは否定したい感じだった。
「まさか」
「そんな話は結構あるわよ」
 少し面白くなさそうにだ、先生は三人に返した。
「どの学校にもね」
「ああ、学校の階段ですね」
「それで、ですわね」
「何処にもあるんですか」
「七不思議とかね、あるわよ」
 こう三人に言うのだった。
「先生の小学校にもあったしね。此花の方の」
「あっ、先生此花だったんですか」
「そちらの方でしたのね」
「大阪の人なのは知ってましたけれど」
「そうよ、高校までは大阪で大学は八条大だったのよ」
 大学の話もした先生だった。
「神戸のね」
「ああ、あそこですね」
「動物園や水族館もありますわね」
「私何度かお父さんとお母さんに連れて行ってます」
「あの大学は学園全体でそうした話物凄く多かったし」
 その大学の話もするのだった。
「だからこうしたお話はね」
「何処でもですか」
「ありますのね」
「うちの学校だけじゃなくて」
「それでうちにあっても特に変じゃないわよ」
 こう三人に言うのだった、クラスで授業が終わった時に聞いてきた三人に対して。 
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