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とある3年4組の卑怯者

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76 死闘

 
前書き
 ここまでの試合結果
 男子サッカー
 2組 2-6 5組
 5組の勝利 

 
 女子バレー、4組と5組の試合はお互い1勝1敗だった。3セット目で4組が勝利すれば、2位に浮上でき、5組が勝利すれば2勝2敗で4組とタイの2位になる事ができる。
(1セット目はまるちゃんの代わりに出たけど、私の本当の出番はここからだよ、ひろ子ちゃん!!)
 たまえは3セット目を必ず取ろうと燃えた。

「これであと一つとれば4組の勝ちだね!」
 山根が興奮していった。
「うん、きっと勝てるよ!」
 藤木も興奮していた。永沢はこんな事で熱くなるなどくだらないという目で二人を見ていた。

 3セット目が始まった。

 4組
 FL(フロントレフト):小長谷 FC(フロントセンター):リリィ FR(フロントライト):たまえ
 BL(バックレフト):牧村 BC(バックセンター):沢井 BL(バックライト):高宮

 5組
 FL(フロントレフト)畝田(うねだ) FC(フロントセンター)関屋(せきや) FR(フロントライト)安藤(あんどう)
 BL(バックレフト)布施(ふせ) BC(バックセンター)小阪(こさか) BL(バックライト)花田(はなだ)

「リリィ、頑張れ~!!」
 藤木がリリィに声援を送った。
(藤木君・・・)
 リリィは藤木に応援されて嬉しく感じると共に、サッカーの応援に行けなかった事をすまなく思っていた。

(たまちゃん・・・。簡単に勝たせないよ・・・)
 橿田はたまえの姿を見て思った。サーブ権は1組にあった。小阪がサーブした。沢井がレシーブし、高宮がトスした。そしてたまえがスパイクする。
「たまちゃんをブロックして!!」
 橿田が叫ぶ。しかし、たまえが「リリィ、打って!」と言ったため、リリィがスパイクした。畝田と関屋がブロックするが、関屋の腕に当たった後ネットに当たった。4組が先制した。次は高宮がサーブした。花田がレシーブ、畝田がトス、布施がスパイクした。しかし、リリィが後退しながらレシーブした。ボールは後ろへ向かった。たまえが追いつき、ネットの方レシーブした。ボールは大きく弧を描き、5組のコートに入った。布施がトスして、畝田がスパイクした。同点にされた。次は布施のスパイクが決まり2点目、次は高宮のスパイクが決まって再び同点となった。次も高宮がスパイクを決めて3-2と4組が逆転した。牧村がサーブし、花田がレシーブで返した。そして関屋がトス、布施がスパイクした。リリィがブロックし、ボールは花田が再びレシーブ、そして安藤がスパイクしたが、たまえにブロックされ、今度は5組のコートに落下した。4-2と4組がリードを2点に広げた。次は沢井がサーブをネットに当ててしまうも、次は牧村が打つふりして小長谷がスパイク、そして次は小阪のスパイクがボール・アウトになった。6-3とリードが3点に広がった。
「皆、押されてるよ!」
 橿田は皆に呼び掛けた。牧村のスパイクがブロックされ、沢井もレシーブできずに5組に4点目が入ると、5組も反撃する。安藤がスパイクを決めると、安藤と関屋のフェイントで同点、次は小阪のサーブを高宮がレシーブミスして5組に再逆転された。しかし、次は花田のサーブがコート外に落ちたため、同点となった。
 たまえがサーブを行うことになった。
「たまちゃん、思いきり初弾(サーブ)しよう!」
「リリィ・・・?う、うん・・・」
 リリィに言われてたまえは力を込めてサーブした。親友(まる子)を怪我された怒りと橿田に負けないという強気のサーブだった。ボールは強力なサーブで安藤と関屋の間を襲う。安藤がレシーブするも、ボールを後ろにやってしまい、4組が8点目を入れた。
「ナイス初弾(サーブ)、たまちゃん!」
「うん、ありがとう!」
 たまえとリリィはハイタッチした。橿田はそのたまえの姿を見て妬みを感じた。
(もしたまちゃんとまだ友達でいれたら、ああして喜び合う事ができたのかな・・・?)
「どんまい、どんまい、次取り返そう!!」
 橿田は皆に呼び掛けた。そして次はリリィがサーブした。畝田がレシーブし、関屋がトス、小阪がスパイクした。それをリリィがレシーブ、たまえがトス、そして高宮のスパイクへと繋ぐと思われたが、高宮はジャンプしただけでボールを打たず、隣にいた沢井がジャンプしながらネットを背に向けてレシーブした。低身長の沢井ではジャンプしてもネットに届きづらいと彼女自身でも思っていた。その為、レシーブで返したのだ。高宮のスパイクをブロックするためにジャンプした小阪と布施は沢井のレシーブを撥ね返すには間に合わず、小阪が後退、関屋が前進するもレシーブが間に合わなかった。4組に9点目が入った。ところが次は小阪のスパイクを小長谷がレシーブミスしてしまい、5組に8点目が入った。サーブ権が5組に移った。

 保健室ではまる子が顔面の怪我で休養していた。
「先生、アタシそろそろ行くので失礼します」
「さくらさん、もう大丈夫なの?」
「はい、たまちゃん達が戦っているんでアタシだけ離れている何てもうできないんで・・・」
「分かったわ。頑張って応援するのよ」
 保健の先生はまる子が体育館へ戻る事を許可した。

 9-8と4組の1点リードとなった女子バレーの4組対5組の3セット目、5組の布施がサーブした。牧村がレシーブして、たまえがトス、リリィがスパイクした。しかし、安藤にブロックされ、小長谷がレシーブしようとするが、間に合わなかった。そして次は畝田のスパイクが決まって5組が逆転した。次は小長谷のスパイクがコート外に落ちてしまい、5組に11点目を献上してしまった。
 
「勝てるのかな?だんだん5組のペースだぞ!」
 藤木は不安になって言った。
「藤木君、駄目だよ、皆まだ諦めてないし、僕達だって応援を諦めちゃだめだ!!」
 山根が藤木が口にした事を否定した。
「そうだね、山根君!」
 藤木は皆がサッカーで強敵の1組に諦めずに戦った事を思い出した。女子だってここで諦める筈はないと思った。その時、誰かが体育館に入ってきた。
「ん、あれはさくらだ!」
 藤木は1セット目で負傷したまる子が入って来るのが見えた。まる子がスコアボードを見る。
「皆!頑張って逆転しよ~!!」
(ま、まるちゃん・・・。そうだ、勝とう!皆のために、そしてまるちゃんのために・・・!!)
 たまえは必死になった。他の五人も勝とうと命を懸けるつもりで気合いを入れた。次は安藤のサーブがコート外に出たため、サーブ権が4組に戻った。しかし、次は布施がアタックを決め、サーブ権は5組に移る。その時、橿田がタイムを取った。
「ここでピンチサーバー?」
 笹山はピンチサーバーを投入するのには少し早い気がした。
「菖蒲岡さんを入れて試合を有利にするのかしら?」
 しかし、城ヶ崎の予想は外れた。橿田自らがピンチサーバーとして入った。
「ひろ子ちゃん・・・!?」
 たまえも非常に驚いた。

 5組 交代
 畝田→橿田

(たまちゃん、私も最後はプレーで決着を着けるよ・・・)
 橿田がサーブした。リリィがレシーブした。小長谷がトスを上げた。そして高宮とたまえがジャンプする。たまえがスパイクした。橿田と布施の間を狙った。橿田が体を伸ばす。しかし、手首に当てたものの、小さく跳ねてボールは落ちた。
「やったー、たまちゃん!!」
 まる子は大喜びした。橿田は悔しがった。しかし、5組の方から橿田の友人たちが橿田に声援を送った。
「ひろ子ちゃん、どんまい!」
「頑張って!」
「次で取り返そう!」
「えみちゃん、れい子ちゃん、けい子ちゃん・・・」
 橿田は今の友人に応援されてさらなる奮起を誓った。次はリリィのスパイクを小阪がレシーブし損ねた。遂に4組が同点に追い付いた。そして、関屋のスパイクがコート外に出て4組に13点目、次は牧村のスパイクを関屋がブロックされて4組のコートに落ち、5組に13点目が入った。しかし、その次は小長谷のスパイクを小阪がブロックをするもボールは小阪の左手を弾き、コート外に落ちていく。後ろにいた花田が懸命に追うが、間に合わず、4組に14点目が入った。次のリリィのサーブは橿田がレシーブし、関屋がトスを上げ、小阪がスパイク。しかし、牧村、沢井、高宮が三人がかりで跳んだ。沢井がブロックしたが、彼女の低身長でボールは指の上に当たって上に撥ね、リリィが何とかレシーブで防ぐ。そして高宮がスパイクした。花田と小阪にブロックされる。小長谷がレシーブした。高宮が再びスパイクを試みる。今度は5組のライト側を狙った。布施は対応が間に合わず、レシーブするも、ライト側のコート外に落ちてゆく。しかし、間に合わなかった。4組が先にマッチポイントに達した。
(チェックメイトだよ、ひろ子ちゃん!!)
(まだ終わりじゃないよ、たまちゃん!!)
 たまえは最後の力を振り絞ろうとした。小長谷がサーブする。橿田がそれをレシーブした。花田がトス、そして小阪がアタックした。たまえがブロックしにジャンプする。ボールがたまえの右手に当たり、跳ね返った。ボールがコート上に落ちれば4組の勝利が確定する。
(こんな所で勝たせないよ、たまちゃん!!)
 橿田がダイビングでレシーブを試みた。しかし、花田も同時にレシーブしようと後ろに下がってレシーブしようとしていた。橿田はたまえのブロックで終わらせないことを考えており、周りが見えなかった。花田がレシーブしようとした所で橿田と交錯した。ボールは花田の手首に当たったが、橿田とぶつかったことで前方にネット下を潜り、4組のコートへ転がった。
「勝った・・・。やったー!!」
 たまえは喜んだ。
「やったね、たまちゃん!!」
 まる子がたまえの元に駆け寄り、お互い抱き合った。女子全員がハイタッチし合った。
「やったー!!」
 観戦していた男子達も思わず大喜びした。一方、5組は悔しがっていた。橿田はぶつかった後、右肩を床に打ち付けていた。肩にまだ痛みが残っていた。
「ご、ごめんね、花田さん・・・」
「うん、私が近いんだから、無理しなくても・・・」
 橿田はクラスの勝利より自分とたまえの勝負ばかりを考えていた事に気付いた。
(結局勝てなかった・・・)
 その時、たまえが橿田の方を見た。橿田は悔しさで泣き出していた。
(ひろ子ちゃん・・・) 
 

 
後書き
次回:「表彰式」
 球技大会が終わり、男子サッカーでは4組が、女子バレーでは1組が優勝となった。たまえと橿田はお互いまた友達に戻る事ができるのか・・・。

 一度消えた恋が蘇る時、物語は始まる・・・!! 
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