サキュバス
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第一章
サキュバス
大阪生野区に住んでいる源口勇人は少し茶色がかった髪の毛を短くしていて穏やかな目をした普通の高校生だ、通っている高校のレベルはそこそこ高いがそこでの成績は中の上で趣味はカラオケとインターネット、部活は野球部でサードのレギュラーとその辺りにいる高校生と言えた。
だが彼は一つ普通でないところがあった、彼女がいるがその彼女である仙台佐紀はというと。
黒く豊かな神を左右で巻いたツインテールにしている、おっとりとした優し気な目をしていて表情全体がそうだ、唇は小さめで薄い。
胸は九十二はあり一五七位の背からみるとかなり大きい、尻も安産型でスタイルはかなりいいがどうにも地味な感じだ。
その佐紀は勇人が一年の時に入学式で見て胸が大きいのですぐに気に入って告白したのだ、告白の時はかなり勇気がいったが。
五月の校舎裏でだ、佐紀は自分を呼びだして告白した勇人に対して言った。
「私でいいんですか?」
「いや、いいから呼んだんだよ」
告白の後でだ、勇人はその佐紀に言った。
「僕もね」
「そうですよね」
「うん、それで返事は」
「あの、まずは」
「まずは?」
「私のお家に来てくれますか?」
こう勇人に言ってきたのだった。
「そうしてくれますか?」
「えっ、いきなり!?」
佐紀のこの返事にだ、勇人はびっくりして聞き返した。
「仙台さんのお家に」
「はい、私のお家生野区にあるんですが」
「僕もだよ」
「岸の里の方に」
「あれっ、近いよ」
今里と聞いてだ、勇人は佐紀にすぐに返した。
「僕の家も最寄りの駅岸の里だよ」
「じゃあ中学も」
「近かったみたいだね」
「そうですね、じゃあ都合がいいですね」
佐紀は勇人ににこりと笑って言った。
「本当に。じゃあ今日の放課後は」
「仙台さんのお家になんだ」
「来てくれますか?」
「うん、ただね」
断られることは覚悟していた、告白のリスクだ。だがそれが何段階も飛び越えて彼女の家となるとはだ。
勇人も想像していなかった、それで言うのだった。
「信じられないよ」
「お家にですか」
「案内されるなんてね」
「どうしてもなんです」
顔を赤くさせてだった、佐紀は勇人に話した。
「こうしたことははっきりさせないといけなくて」
「はっきりとって」
「私が人と交際する為には」
「告白は受けてくれるんだ」
「はい、ただ条件がありまして」
「その条件をかな」
「お家で二人きりになって」
外見は地味だが声は可愛い、その声での言葉だった。
「そうして確かめたいんです」
「僕が仙台さんと付き合えるか」
「そうした形になります」
「何かお話が読めないけれど」
勇人は狐に抓まれた顔で佐紀に尋ねた。
「それでも今日は」
「はい、私のお家に来て下さい」
「それじゃあね」
断られるどころかそうした話になってだった、勇人は佐紀のその言葉に頷いた、そうしてその日の放課後はだった。
二人で近鉄線の今里の駅に近い佐紀の家に入った、佐紀の家はマンションの五階にありそこに入るとだった。
今は佐紀の両親はいなかった、佐紀は勇人をそこに入れるとすぐに鍵をかけてから彼にこう言った。
「両親は共働きなんです」
「それでお昼はだね」
「夜にならないと帰らないです」
勇人に家庭の事情を話したのだった。
「ですから今は」
「二人だけなんだ」
「はい、それでなんですが」
さらに話す佐紀だった。
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