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虚空の魔導師

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第1話 未知なる世界

 
前書き
第1話連続投稿です。
 

 


第97管理外世界 地球

海鳴市上空5000メートル―――




・・ドクン



ドクン・・ドクン



一つのジュエルシードが、シリアルナンバー16のジュエルシードが異常な量の魔力を放出し、胎動を開始した。


まるで自分の存在を誇示するかの様に・・・


同時刻――――


市郊外の森の中で、

先のジュエルシードに呼応するかの様にもう一つのジュエルシードが起動した・・























(なのはサイド)

!?これは!

「なのは!ジュエルシードの反応だよ!」

「わかってるよ、ユーノ君!行くよ!」

「待って!・・ジュエルシードの反応が増えた!?」

えっ!?えっ!?どういう事?

「もしかしたら、近くにあった他のジュエルシードと共鳴反応を起こしたのかも知れない!どうする?なのは!」

「う~!とにかく、ここから近い森の方へ行くよ!」

「了解!」
私達は直ぐに家を飛び出した。








「このあたりの筈だけど・・っ!なのは!」

「うん!」

反応があった場所には、真っ黒で背中から光の羽を生やしたロボット?が立っていた。
未だに膨大な魔力を放出し続けるそのロボットは、ふと何かに気付いたように空を見上げたの。

「待って!」
いつの間にかフェイトちゃんも来ていたようだ。

《・・・・・。》
私達がちょっと目を離した隙間に、黒いロボット?は物凄い速さで空へ飛んで行ってちゃった。

「あ!?ユーノ君追うよ!捕まって!」
私達は慌ててその後を追い掛けたものの、あっという間に見えなくなった。

「ユーノ君どうしよう。」

「・・方向からして恐らく、もう一つの起動したジュエルシードの所に向かったんだと思う。そこに行こう。」

「うん!」

私達はもう一つの反応があった場所の上空に向かった。
ちなみに、フェイトちゃんは先に向かった様だった。




私達が現場に着いた時には、もう一つのジュエルシードの替わりに一人の美人さんがいたの。
私より2~3才年上くらいの、青がかった銀色の髪が印象的な男の子だった。

その男の子とさっき見た黒いロボットが、向き合う様に中に浮いていた。
話し掛けようとしたんだけど、邪魔をしちゃいけない神聖なも事の様な気がして、結局何も出来なかった。

「・・・・・・。」
フェイトちゃんも同じだったみたい。
















(クォヴレーサイド)

俺は・・徐々に自分の意識が覚醒していくのを感じていた。
そして目を開けると眼前にアストラナガンの姿を確認し、とっさに迎撃体制を取ろうとしたものの、体が全く動かない事に気付いた。

『クォヴレー。俺が誰だか解るか?解るなら頭で念じろ。』

っ!?
『その声は・・・イングラム・プリスケン!?何故お前がココ(・・)に居る!?』

『それには色々と事情があるが・・・それは、後で説明するとしよう。まずは、目の前のアストラナガンと合体しろ。』

『合体だと?・・どういう事だ?』

『その辺りも後で説明してやる。とにかく、今は自分の相棒をイメージすれば良い。』

『・・・分かった。』

『・・やけに素直に従うな。』

『この状況で、お前が俺を騙すメリットがないと判断しただけだ。』
俺は直ぐ様、自分の相棒の姿を脳内でイメージした。

その瞬間、互いの全身が赤く発光し、一つの塊となった。
光が収まると、己の全身がサイズこそ人間サイズであるものの、
相棒である“ディス・アストラナガン”の姿と寸分違わぬになっているのを認識した。

「貴方の持っているジュエルシードを渡して!」

漸く光が収まった時、今更だが金髪をツインテールにした少女が、自分の眼前に浮いているのに気が付いた。

『・・・・イングラム、どういう事態なのかを説明しろ!』
現段階では、解らない事が多過ぎる!

『どうやら、この世界は魔法という技術が存在するらしい。』

むっ!?
会話の途中で、突如光の輪に全身を拘束された。
どうやら反応のない俺に、業を煮やしたらしい。

『イングラム、この拘束はどうすれば解ける?』

『このバインドという魔法は、より強力な魔力によりその術式が崩壊する。』

『つまりは・・力付くで破れということか?』

『そういう事だ。説明していなかったが、お前のディス・アストラナガンは現在、異次元空間に待機している。
 この世界では、あれは異質過ぎるからな。何かあった際の最後の切り札として、隠匿しておいた方が良いだろう。』

この世界の状況が分からない以上、その方が無難か。

『直接ディス・レヴからエネルギーを引き出すようにイメージしろ。後は俺がサポートしてやる。』

「・・・応えろ、ディス・レヴよ!」
俺は言われるままにイメージし、
その瞬間から、自身の体内で膨大なエネルギーが循環するのを感じた。


パキィィイン!
たいした力を入れるまでもなく、拘束の魔法は呆気なく砕けた。

「そんなっ!?」
拘束の魔法に相当の自信があったのだろうか、金髪の少女と赤髪の女はあからさまに動揺している。
しかし、直ぐに連携を組んで俺達に襲い掛かって来た。

「ビームサイズか?」
同じ様な形態の接近戦用武装とは、偶然だな。

《今の状態でも、武装も能力もオリジナルと変わらん。出力は10分の1程度だがな。》

攻撃をかわしながら、腰元のラアム・ショットガンを取り外し、サイズ形態に変形させる。

「Z・Oサイズ!!」
ゾル・オリハルコニウム製の刀身で、相手の攻撃を受け止める。

「くっ!」

速いといえば速いが・・捉えきれない程ではない!

「エンゲージ!行け、ガンスレイヴ!!」
《ガンスレイヴ、リフトオフ。》

6基のガンスレイヴが敵に殺到する。
オールレンジの粒子弾だ。これは交わしきれまい!

「キャア!」「ちくしょう!」
双方共にバリアらしきもので防いではいるが、時間の問題だろう。

《ここは一気に決めてしまった方が良いな。》

「どんな奥の手を持っているか、解らないからか?」

《そういう事だ。》
直ぐに決断し、距離を取りながら、背中のバレルを前方に展開した。

「出力調整50%。」

《出力調整完了。》

「狙いはもうついている!メス・アッシャー、発射!!」
ギュオォォオォォォォォォォォン!

「キャア―――!」

本来の巨大重力圏(グレート・アトラクター)につなぐワームホールを発生させない程度にギリギリの出力で発射したメスアッシャーが、
2人のバリアを貫通しある程度のダメージを与える事が出来た様だ。

直撃を受けた少女は気絶し、赤毛の女に肩を借りて離脱していった。
「ちくしょう!!覚えてろ!!」




「それで?そこのお前はどうするんだ?」

ビクゥ!
もう1人、少し離れた位置でこちらと窺っていた、ツインテールの少女はあからさまに動揺していた。

「そちらから攻撃の意思を見せない限り、こちらからは攻撃しないから安心しろ。」

「う、うん。」

まだ多少怖がりながらも、信用してくれたようだ。素直な子だな。

「聞きたい事があるのだろうが、今日はもう遅い。明日、昼の12時にこちらからお前に会いに行くから、もう帰ると良い。」

ツインテールの少女は最初になんで解るの?といった顔になり、そして嬉しそうな顔に変化した。

「私の名前は高町なのは。なのはって呼んで!」

「そういえば、まだ名乗ってなかったな。俺はクォヴレー・ゴードンだ。」

「じゃあ、明日ね!絶対だよ?」

「分かった。約束だ。」
なのはと名乗った少女は、もう一度嬉しそうな顔をした後、夕日の中を飛翔して帰っていった。


なのはの後ろ姿が見えなくなった所で、俺達は合体を解いた。

《さて、私達も移動するか。今夜の寝床も捜さなくてはならんしな。》

「そうだな。しかし、その姿は何とかならないのか?目立ち過ぎる。」

《そうだな・・・これでどうだ?》
そう言うとアストラナガンの姿が三角錐のペンダントに変わり、俺の首に掛かった。
同時に俺の服装もパイロットスーツから、リョウト・ヒカワの着ていた様なラフな服装へと変る。

自分の服装まで変ったのには少し驚いたが、目立つよりは良いかと納得した。

「これならば問題ないな。」



・・ん?あれは?
視界の端に人影を捉え、俺は視線をそちらに向けた。
















(はやてサイド)

あかん、すっかり遅くなってしもうたな~。
あそこの図書館遅うまで開いとるから、ついつい長居してまうからなぁ~。

早う帰って夕飯の支度せんと。

ガタン!
「キャア!」
帰り道を急いどったら、空き缶で躓いてしもうた。

「早く起き上がらんと・・」

ギャリリリリリッリリリ!!

「な、なんや!?」
横倒しになった私の前に、物凄いスピードで自動車が突っ込んで来たんや。

・・・正直、その時私は死ぬんや・・と思うた。

けど、ぶつかる感触がいつまでも来んかったから、私は恐る恐る目を開けた。
そしたら、銀色の髪の男の子に抱えられとった。

それがお姫様抱っこやと気付いたら、急に恥ずかしくなって、
ちょっと勿体ない気がしたけど座れる所に降ろしてもろうた(車椅子は車に轢かれて壊れてしもうた)。

「助けてくれてありがとな。」

「気にするな。偶然居合わせただけだからな。」

「っ!?血が出とるやん!」

よく見たら、男の子の額から血が出ていた。
「ん?これか?大して深くないから気にするな。お前が怪我をするよりはマシだ。」

「あかん!バイ菌が入ったらどうするんや!」
早く治療せなあかん!

「家で治療させてな。」

「いや・・しかし・・・」

「治・療・さ・せ・て・な!」
私が誠心誠意説得したら、男の子は何とか頷いてくれた。
ちょっと、戸惑っているような気がするけど。

「で、お前は・・」

「はやてや!私の名前は八神はやて!いつまでもお前言わんといてな!」
命の恩人に他人行儀にされるのは、ちょっと落ち着かんしな。

男の子は少し考える仕草をした後、
「そうか、俺はクォヴレー・ゴードンだ。よろしくな。・・・で、はやてはどうやって家まで帰るつもりだ?」
彼はため息をつきながら、私に聞いてきた。

「あ・・・」
忘れとった。私の車椅子は壊れたんやった・・どないしよ・・・・

「その分じゃ忘れていたんだろう・・」

私は、顔が真っ赤になっていくのを自覚した。
私がウンウンと唸っている間に、何時の間にかクォヴレーさんがまた私をお姫様抱っこしてきた。

「え・・・?・・・・あ、あかん!恥ずかしい!降ろして~!!」

「はやての家までの辛抱だ。治療してくれるんだろう?」

「うっ!?」

クォヴレーさんは卑怯や!真面目な顔でそないな事言われたら、何も言えんやないか・・


結局、私はお姫様抱っこされたまま、家まで送って貰う事になってしもうたんや。


















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