喧嘩は弱いが
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第二章
「蛸一がこれからやることを」
「弱いのに?」
「喧嘩は誰にも勝てないっていうのに」
「たこ焼きは凄く上手で面白いけれど」
「とてもいい奴だけれど」
それでもと言う子供達だった。
「あの兎達凄く悪い奴だよ」
「野球も日本も自分達の好きな様にしようとしてるんだよ」
「もうどんな悪いことをしても」
「お金を使ってても暴力を振るってでも」
「そんな奴等なのに」
「大丈夫さ、蛸一は負けないさ」
おっさんは自分の言葉にどうかという子供達に笑って答えた。
「何があってもな」
「喧嘩弱いのに?」
「それでも?」
「蛸一は負けないの」
「そうなの」
「ああ、絶対にな」
こう言うのだった、そのうえで蛸一を見ていた。他の戦士達は兎達を次々と成敗していたが蛸一は一切戦っていなかった。
敵の攻撃をかわして逃げるだけだ、それを見て子供達はやっぱりと思った。
「逃げてるだけじゃない」
「ただそれだけじゃない」
「蛸一戦ってないよ」
「敵の攻撃をかわしているだけだよ」
「ただかわしているだけで」
「受け止めてはいるけれど」
その八本の手を器用に使ってだ。
「そうしてるけれど」
「攻撃してないじゃない」
「それでどうするの?」
「何にもならないよ」
「だから見ているんだ」
おっさんの言葉は変わらない、悠然とさえしている。
「最後までな」
「かわして受けてるだけなのに」
「他の戦士の人達は敵をどんどんやっつけてるのに」
「蛸一だけやっつけてないのに」
「敵はどんどん集まって来てるよ、蛸一のところに」
彼が弱い見て兎達もそう動いているのだ。
「それでどんどん攻めてるよ」
「あれじゃあ何時か攻撃受けるよ」
「それでやっつけられるよ」
「そうなりそうなのに」
子供達は観ていて不安になっていた、蛸一が一切攻撃しないで敵の攻撃をかわして受けているばかりだからだ。
だがやがてだ、攻撃をする敵が疲れてきて攻撃に使っているボールやバットがなくなってしまった。そしてそこにだった。
他の大阪二十六戦士の者達が来て彼等を倒していく、彼等は蛸一のところに来て言った。
「今回もよくやってくれた」
「敵を引き付けてくれて有り難う」
「じゃあ後はね」
「俺達が倒すさ」
蛸一への攻撃に疲れた敵達をというのだ、そして実際にだった。
戦士達は兎達を倒していき大阪の街を守り抜いた、邪悪な兎達は戦力の九割以上を失い邪悪の根城であるドームに逃げ去った。
その状況を見てだった、子供達は言った。
「あれっ、勝った?」
「勝ったの?蛸一」
「そうだね、攻撃一発も受けてないし」
「兎逃げたしね」
「蛸一自身は戦ってないけれどね」
「それにだ」
その彼等におっさんはまた言った。
「もう一つ見ることがあるぞ」
「?何それ」
「見ることって」
「それって何?」
「一体」
「見ろ、蛸一の周りをな」
彼がいて攻撃を受けていたそれをというのだ。
「見てみろ」
「あれっ、そういえば」
「蛸一の周り何ともなってないよ」
「あれだけ激しい攻撃を受けたのに」
「何処も壊れてないよ」
「兎達はものを壊すことも平気なのに」
そうして自分達の目的を果たすのだ、その後に自分達の根城を築いたり他チームの選手を囲い込むこともするのだ。
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