魔法少女リリカルなのは -Second Transmigration-
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第14話 魔法と初戦闘
前書き
第14話です
ではどうぞ~
光が止んで、俺は地面に降りながら、自分の姿を確認する。
ボア付きの黒いジャケットに、下は少し薄い黒のカーゴパンツ。
ジャケットの前は開かれて、黒のアンダーが見えている。
一言で言うと、『穢翼のユースティア』のカイムの服装に似ているが……
『マスター、このバリアジャケットは、これまでのマスターの交戦記録、戦闘データ、マスターの戦闘スタイル等を元に構築しました。武器もそのように用意しております』
なるほど。
レンはそこまで考えてくれてたんだな。感謝感謝。
そう思っていると、俺の両手に籠手が装備される。作りはシンプルで、『エクシリア』のジュードが装備しているような、打撃をメインにした物だ。
『デバイスの形態は3つありますが、まずは基本的なフォームからでいいと思います。ガントレット型の『ハウンドフォーム』です』
ハウンド……『猟犬』か。
……何故かマルギッテさんを思い出すけど、気にしないようにしよう。
そうこうしている間に地面に着くと、隣になのはも降りてきた。
「え?えぇぇ~~~!?」
いきなりだった為か、なのはは状況を飲み込めていないようだ。
そんな事はお構い無しに、魔法生物は俺となのはに触手を伸ばして襲ってきた。
俺はなのはと一緒に後ろに跳ぶ。だが、軽く跳んだハズなのに、俺達は『軽く』、跳んだ位置から50メートルも距離を取り、高さは20メートル近くは跳んでいた。
「えぇぇぇ~~~!?」
『魔法の経験は?』
「全然!全くありません!」
『では、サポートします。こちらの指示に従ってください』
「は、はい!」
なのはがレイジングハートに返事をすると、今度は別の方から触手が飛んできた。俺はそれに反応して、手で触手を払いのける。しかし、触手はそのまま左手に巻きついた。
「え……?」
俺は予想外の相手の行動に素っ頓狂な声を上げるが、それに構うことなく、相手は俺を巻き上げた。
「うおぉぉぉぉ!?」
「悠里くん―――!?」
強い力により引っ張られ、俺はそのまま猛スピードで引き寄せられる。
「……くっ……この…!」
俺は残った右手で拳を作る。
触手の先を見ると、魔法生物の姿が視認できる所にいた。
俺は無意識に宙を蹴り、更に加速を付ける。
「調子に……!」
やがて距離が近づき、魔法生物との距離が数メートルに近づいたとき、
「乗るんじゃねぇ!!」
ドゴォォォォォン!!!
拳が当たると、轟音が辺りに響き渡った。魔法生物は派手に吹っ飛び、そのまま家の壁を貫通していき、4つの家を貫通したあと、塀にブチ当たってようやく止まる。
「……なんか、エラいことになってるな」
『マスターの実力からすれば当然の威力です』
「そうなの?」
『はい。……マスター、来ます』
レンの声に合わせて、相手から魔力弾が飛来する。
俺は跳躍してそれを回避すると、それを狙ったかのようにまた魔力弾が飛んできた。
空中で回避する術はないため、撃ち落とそうかと思ったが、
『大丈夫です、マスター。そのまま回避行動を行ってみてください』
レンの指示通りに右へ回避すると、空中で俺の体は右へとスライドした。俺は驚いたが、すぐにまたまた魔力弾が飛来する。
今度はそれを冷静に見定め、右へ左へと避ける。
最後の魔力弾を避けた時、俺は頭上に浮かぶ月と、周りの景色を見て理解した。
「飛べる……」
俺は、この空を飛べる。
『それはULTRAMANのセリフです。マスター』
……なんで知ってるのレン!?
かなりマイナーな筈だよ!?あの作品。俺は好きだけどな。
さて、それはさて置き、あいつをなんとかしようか。
「レン、あいつに対しての対処方はある?」
『敵の身体の構造は、恐らく魔力の集合体です。物理的な攻撃では役に立たないでしょう』
「なら砲撃とかか……」
『ですが、魔力を纏っての攻撃では話は別です。まずは、相手に馴れるという名目で戦ってみてはどうでしょうか?』
「だな。無闇に介入する理由もないし」
まずは相手に馴れますか。
相手はこちらを見て咆哮を上げる。互いに睨み合い、俺の方から接近するが、魔法生物は左に方向を変えて走り出した。
「は?」
予想外の行動であった為か、俺はあっけらかんとしてしまう。
『マスター、他の2体と合流しようとしています。しかも、このままだと市街地へ抜けてしまいます』
「ヤベっ……!」
俺は慌て逃げた方向へ飛ぶ。追跡していると、確かに別の方向から他の2体が合流してきた。
「さて、どうしょうか……」
(悠里くん、陽翔くん、聞こえる?)
突然、頭になのはの声が響いた。
念話による通信らしい。
(どうした?)
(今からあれに向かって撃つから離れてて!)
(3体纏めて?大丈夫?)
(やる!)
ハルが心配そうに言うが、なのはは聞きそうになかった。
(わかった。ハル、そっちのには追いつきそうか?)
(え?……まあ、大丈夫だと思う)
(なら、俺とハルは目の前の奴を足止め、トドメはなのはの砲撃で。……なのは、それでいい?)
(うん!)
「(じゃあ)……行くよ!」
俺とハルは号令と共に飛び出す。やはり走るより速い。
あっと言う間に魔法生物に近付き、俺はその頭上から拳を振りかぶる。
「衝破……魔神拳!」
「逃がすか、地竜閃!」
俺とハルはそれぞれの魔法生物に同時に攻撃を仕掛ける。
攻撃は外れてしまうが、魔法生物は動きを止めた。
「なのは!」
叫んで名前を呼ぶとと、なのははそれに合わせるようにトリガーを引いた。収束された魔力が解放され、3つの光が放たれる。
俺とハルはすぐに退避すると、目の前に桜色の光が飛来して、それが魔法生物に直撃した。
直後、魔法生物は断末魔の悲鳴を上げる。何秒か叫んだあと、魔法生物がいた場所には光の柱が現れ、なのはの砲撃と共に魔法生物が消えると、四角い結晶が現れた。
俺はそれを手に取ると、なのはのいるビルの屋上に向かった。
「それに触れてみて」
「う、うん」
なのははフェレットの指示通りにレイジングハートで触れる。すると結晶はレイジングハートの球体部に吸い込まれるように消えた。
「封印完了。これでもう大丈夫」
「はぁ……」
フェレットが言うと、なのはは緊張の糸が途切れたのか、息を吐き出す。
すると、レイジングハートとなのはのバリアジャケットが発光し、デバイス形態が解除される。
それに合わせるように俺とハルのバリアジャケットが解除されて、普段着に戻った。
それを見た俺達は力が抜けたように座り込んだ。
「「「はぁ~……」」」
同時に安堵の溜め息を吐く。それを見た俺達は、フッと笑った。
兎に角、初戦は無事に終了。
無事に終わってよかった。
「そういえば……これからどうするよ?」
「え?」
「何が?ハル」
「いや……士郎さんと恭也さん、なんて言うかな……」
「「あ……」」
俺となのはは思わず呟いた。
それから少しして俺となのはとハルの3人で高町家に向かうと案の定、恭也さんが待ちかまえていたが……フェレットを見つけた美由紀さんにより一時中断となった。
美由紀さん、グッジョブ!!
「……とまぁ、なんやかんやあったのさ」
「誰に言ってるの?悠里くん」
「あぁ、気にしない気にしない」
俺の発言はスルー方向で。
今俺達はなのはの部屋にいる。
まずは目の前のフェレットことユーノに話を聞かないとな。
「……というわけで、21個のジュエルシードがこの世界に散らばってしまったんだ。回収できたのは、あなた達が手伝ってくれた3つだけ……」
「あ……自己紹介遅れてごめん。私、なのはって言います。高町なのは。それと、黒い髪の子は天城悠里くん、茶色の髪の子は鳴海陽翔くんだよ」
「あ、ユーノです。ユーノ・スクライア」
それぞれ自己紹介を終えると、今度の話題は俺とハルへと移る。
「2人に質問なんだけど、そのデバイスは一体、どこから手に入れたんだい?」
「あぁ……。俺は物心付く前から持ってたんだ。デバイスって知ったのはついさっきだし」
「陽翔くんのデバイスって?」
「コレ。……なんのマークかは知らないけど」
陽翔が取り出したのは、赤い球体を中心に、翼のような陣を描いたペンダント。
スパーダの待機形態だ。
『初めまして、スパーダと言う。以後お見知りおきを、高町嬢』
「あ、はい。よろしくお願いします」
なのははそれに対してペコリと頭を下げた。律儀だね。
「で、俺のデバイスはこっち」
『サイレントフェザーと申します。レンとお呼びください』
「それって、琉聖さんからのプレゼント?」
「うん」
「琉聖さんって?」
「悠里くんのお父さんだよ。……もういないけど」
「ご、ゴメン悠里。知らなくて……」
「気にするな。昔の事だからな」
謝ってきたユーノに言ってその場を収める。
この日はここで終了。
まず無事に終わった事を喜ぼうか。
後書き
というわけで初戦闘でした。
あまり目立ちませんでしたが、やりすぎると大変なのでこれくらいでご容赦を
意見、感想をお待ちしてます。
それでは次回でノシ
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