緋弾のアリア ~とある武偵の活動録~
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~Emergency cohabitation……! ?~
「―で、星伽。どうすんの?」
「だったら…条件がありますっ!あっくんと、キンちゃんも―24時間体制でボディーガードをつけて下さい!」
ん…………キンちゃん?
「ちょっと白雪。なんでそこにキンジが入ってきた?」
と、俺が問うと―
「だって、男の子…じゃない!ボディーガードは多いほうが良いと思ったから!…ね!ね! 」
えぇ………… (困惑)何そのワカワカメな理論は。
そして、ビシッ!アリアを指差して、
「アリアばっかりズルいよ!あっくんと同棲するなんて!だから……私も―あっくんと、キンちゃんと暮らすぅー!!」
最初の方に本音がダダ漏れなんですがそれは。
―翌☆日―
今、俺はキンジと共に、男子寮の玄関に荷物を運びに来ている白雪を迎えに行っているところなんだが…
「っていうワケでさ……協力してくれ」
「……俺も、か?白雪のボディーガードに? 」
俺は昨日教務科で起きた一連の出来事を、キンジに話した。魔剣対策の為のボディーガードを白雪に付けるよう、教務科からの命令を受けたこと。そしてボディーガードをアリア、俺…で、なぜかキンジが請け負うことになったこと。
「だいたい彩斗、知ってるだろ―ヒステリアモードのこと。あれを避ける為に俺は女とは関わらないんだ」
フッ……そう言われることは想定済みだ。
「だったらキンジ、俺からも1つ。俺のESSとお前のヒステリアモードは同じ病気だ。ただ、自分で発動出来るか出来ないかの違いでな……ハッキリ言って、俺も発動の4割方は性的興奮だ。それにアリアと同棲するにあたり、異性の洗濯物云々が―」
「あー分かった分かった。……やってやるよ、ボディーガード」
勝った…僕の勝ちだ!
何にしても、これで条件は揃ったな。
男子寮正面玄関前に行くと、
「武藤君、本当にタダで良いの?せめてガソリン代だけでも…………」
「いやー、いいっすよ!これぐらい朝飯前ですから」
何とかしてお礼をしたいらしい白雪と、朝飯前だと言ってそれを断わりつつ、荷台から荷物を下ろす武藤の姿があった。……アイツ、あんなに勤労意識あったか?
道路脇には車輌科の軽トラが止まっており、荷台には白雪の持ってきた荷物がたくさん積まれている。
「でも星伽さん……俺の記憶だと、ここって第3男子寮じゃ―」
「や。お疲れ、武藤」
俺は一言、声をかけておく。
「ああ……彩斗にキンジか。これってどういう―」
実はな―と説明しようとした矢先、
「あ、あっくんにキンちゃん!」
「あっくん…キン、ちゃん……彩斗にキンジ………?」
等と?マークを浮かべている武藤は置いといて。
「あのね、武藤君。私―あっk……如月君のお部屋に遠山君と住むことにしたんだ!」
「―彩斗の部屋に!?キンジも一緒にか!?」
「1つだけ言っておく。これは仕事だ。白雪のボディーガードに頼まれてな……彩斗と俺、アリアで請け負うことになった―言いふらすなよ?」
説明サンキュー、キンジ。
「……じゃあ、荷物運ぶぞ?あと武藤、手伝ってくれてありがとな。これはせめてもの気持ちだ」
と言って、俺はポケットから10円を取りだし、武藤に手渡す。
「えぇ!?10円ガムしか買えないじゃねえかよっ!」
なんて言うヤツは放っておいて。
俺は荷台から積んである布団を家へと運ぶ。
――――――30分後――――――
「ふぅ……終わった」
俺・キンジで白雪の私物を部屋に運び終え―設置も完了した。因みに俺の部屋の向かいがアリアの部屋。その隣が白雪の部屋となっている。
「ありがとう、2人とも。助かりました」
と言って、深々とお辞儀する白雪。
本当に礼儀正しいなぁ。この子。
「いや、いいよ別に。任務だからな」
「うん。……そう言えば、キンちゃんはお部屋どうするの?」
…そうだったな。キンジの部屋かぁ。
「俺は……彩斗の部屋でいい」
「ちっ…」
あれ?今小さく舌打ちっぽい音がしたような……気のせいかな?…うん、そうだよね。
「俺の部屋、ね。だとすると…二段ベッドが必要か。キンジ、ちょっと運ぶの手伝ってくれ」
確か……空き部屋に備え付けの二段ベッドが置いてあったハズ。それでいいだろう。
―――10分後―――
「よしっ……悪いな、彩斗。部屋借りちまって」
俺の部屋にもともとあったベッドを空き部屋に移動させ、代わりに二段ベットを設置した。
これで問題なく暮らせるだろう。
「いや?別にこれくらい構わないぞ、俺は。いっそのこと、こっちに引っ越すか?」
半分冗談、半分本気で言ってみると―
「いや、いい。俺は1人の方が性に合ってる 」
「そんなんだから非社交的とかネクラとか言われんだろ。このニートが 」
「ニートじゃねぇっ!ちゃんと外出くらいする!」
「じゃあコミュ障な」
「じゃあ、じゃねぇんだよ(怒」
ちゃきっ。とキンジがレッグホルスターからベレッタを抜いてきた。
「キンちゃん、やめて!ごめんね、何でもするから!」
と、俺が変声術で白雪の声マネをすると―
「っ…………」
―あれ?もっと怒るかと思ったんだが…
…逆に顔を赤くして…なる?ヒステリアモードにっ!?遂に生HSSが拝めるぞぉっ!
「ねえねえ2人とも。お茶淹れたんだけど…どう?」
廊下からひょっこり顔を出した(本物の)白雪がグリーンティータイムを提案してきた。
…まぁ良いだろう。たまには(グリーン)ティータイムも。
だがお茶って辺り、やっぱり大和撫子だな。
「ありがとう白雪。さすが良妻賢母のタマゴさんだね」
キンジのこの声のトーンに口調…なってる……!HSSに!
っていうか俺の変声術でなったのか…そんなに上手くないんだが………キンジホモ疑惑。
「……ふぇ?どうしたのキンちゃん?」
いきなりの変化に、白雪もびっくりしてる。
「別にどうもしないさ。それより、早く行こうか。こんな可憐で美しい子を待たせるのは―男として罪だからね」
パチン。とウインクまでしてる。
なるほど。HSSになるとキザっぽく、かつ紳士的な態度を女にとるのか。コイツのあだ名が女たらしの意味が分かった気がする。
っていうか俺……おいてけぼり?
「ただいまー」
玄関のドアが開閉する音が聞こえ、アリアの声がした 。
そういえばアリア、どこか出掛けてたな。どーりで静かだったワケだ。
「おかえり。で……どこ行ってた?」
俺は廊下に出て、アリアに話しかける。
「これよ」
ちゃりん。とポケットから取り出したのは……手錠?
「対能力者用の手錠。買ってきたの」
「魔剣逮捕用ってワケか。仕事サボってるのかと思ったぞ?」
「そんなことあたしはしない。それに―レキにも手伝ってもらってるわ」
とうとう他人を巻き込んだぞ、この貴族。
「遠隔から部屋を守らせてるの。っても腕の時間貸し(パートタイム)だけどね。あの子、狙撃競技の日本代表でアドシアードに出るから忙しいんだって」
やっぱり出るのか……ってか日本代表て。凄いな。
「それに狙撃手は基本ボディーガードは合わないの。だからあたしたちがキチンとしなきゃ! 」
妙に張り切ってるなぁ。アリア。
「ふぅん……そう言えばアリア。何でいきなりボディーガードをやるとか言い出したんだ? 」
わざわざ聞かなくても大体想像はつくが。
恐らく…イ・ウーのメンバーとか、アリアの母―神崎かなえさんに冤罪を着せた内の1人とかだろう。
すると、パチン。パチ、パチッ。瞬き信号(ウインキング・タップ)をしてきた。
デュランダル ノ トウチョウ キケン―?
アリアは俺の耳元に口を寄せ、無声音で話しかけてきた。
「アンタ、分かっていながら聞いてるんだと思うけど……一応言っておくわね。魔剣は、あたしのママに冤罪を着せている内の1人なの。魔剣を逮捕出来れば、ママの刑が635年まで減刑出来るし、上手くいけば―最高裁の差戻審も勝ち取れるかもしれない 」
…やはりか。
どうりで魔剣と聞いたとたん、人が変わったようになったワケだ。
「分かった。ありがとう」
魔剣の盗聴危険、らしいので。
小声の無声音でそれだけ伝えておく。
俺はその後自室に籠り(ニートじゃないぞ?)、パソコンを開き―ちょっと調べ事。
―――夕食の時間―――
コンコン、ガチャっ。
「彩斗、ご飯が出来たわよ」
「分かった、すぐ行く」
っていうかアリア。
ドアをノックするのは良いがちゃんと返事を待とうな?
「ふぅ…………」
と溜め息をつき、背伸びをする。
あ、そうそう。俺が何を調べてたか、気になる人もいるだろうから教えようか。
せめても、と魔剣についての情報を漁っていたのだが―存在自体がデマに等しいヤツだ。ロクに情報を得ることは出来なかった。
たった1つの有力情報が、鋼をも斬る剣を持っている。それだけだ。
リビングに行くと―何だこりゃ……?
「あ、あっくん来たね。それじゃ、食べよっか」
ぱちん。手を合わせて、
『いただきます!』
メニューがどこの中華料理店だ?ってくらい豪華だ。
カニチャーハンにエビチリ、酢豚やアワビのオイスターソース和えまであるぞ。満漢全席だな、これ。
俺はエビチリを一口箸でつまみ、ぱく。
…うん。美味しいな。
「ど…どう?2人とも」
「ああ。美味しいな」
と、キンジ。もうヒステリアモードは切れたらしい。
「美味しいよ。一流の中華料理店みたいだ 」
と言う俺の横には―腕組みしたアリアが、ヒク、ヒク、とこめかみを震わせている。
「ねぇ…………なんであたしの席には何も置いてないのかしらぁ?」
「アリアはこれ 」
急に絶対零度の声になった白雪が、ドン! 丼をアリアの目の前に置く。
「はぁ!?冷飯に割りばし突き立てるって……死にたいの!? 」
「逆に殺せるとお思いで?この幼児体型が」
キンジと俺は即座に指信号で、『避難』と送る。両者共に俺の部屋に戻り、ケータイのYouTubeを開くなり何なりして、現実逃避。この銃撃と斬撃が止むまでな。
果たしてどうなる事やら。
~Please to the next time!
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