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おぢばにおかえり

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第四十二話 妹達の誤解その二十

「お父さんお母さんもってね」
「幸先いいわね」
「幸先がいいって何がよ」
 何か本当に妹達もわからなくなってきました、今日は朝から狐に頬を摘まれたみたいな気持ちになっています。
「一体」
「まあ気付かないならいいわ」
「私達はわかってるから」
「もうそれでね」
「いいってことでね」
「何がいいのよ、とにかくお父さんとお母さんが帰ってきたら」
 私はそれからのことも考えました。
「阿波野君どうするの?」
「どうするってこのままですよ」
「このままって?」
「ですから先輩のお父さんとお母さんともお話して」
「ごく普通になの」
「はい、そのつもりです」
「そうなの」
 何かいつも通り平然とした返事でした、私も聞いていて何かいつもの阿波野君らしいと思いました。
「じゃあこのまま」
「この教会の会長さんと奥さんですよね」 
「ええ、そうよ」
 言うまでもないことです、このことは。
「会長さんとしてのお父さんにお会いするの」
「先輩のお母さんとも」
「別に畏まらなくてもいいけれど」
 この子の場合はです。
「阿波野君にそれはないわね」
「はい、全然緊張していません」
「そうよね」
 そうした子じゃないです、このことは阿波野君を知っていればわかることです。
「阿波野君にそれはないわね」
「度胸一つですから」
「それは態度が大きいっていうの、ただね」
「ただ?」
「人見知りしないみたいだから」
 私は阿波野君のそうしたところにも気付きました。 
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