詩集｢月影｣

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明かり一つ灯して眠れ

罅割れた時間…重く項垂れた恋心
恰も嘲笑するかのような冬の風は
喪われた日々を吹き抜ける…

人の生命(ｲﾉﾁ)は硝子の月…
いつかは儚く砕けて消える…

明かり一つ灯して眠れ
夢は現と涙して…
光に浮かぶ思い出たちは
一つ一つと解けて逝く…

想いは歪み…夕の紅へと染まりゆき
迫り来る宵の闇はその口を開いては
全てを呑み込まんと欲する…

哀しみに凍てつく心は
それでもいつかはと…想い燃ゆる…

明かり一つ灯して眠れ
砕けた願い輝かせ…
希望は涸れて野に頽れて
祈ることさえ忘れゆき…

想いとは何なのだろう…?
我が儘で臆病で泣き虫で…
それでいて愛おしく…

明かり一つ灯して眠れ
月は陰りて夜は更ける…
逢えぬこの身は闇へと落ちて
思い出からも消えてゆき…

明かり一つ灯して眠れ
忘らるるとも想いは果てず
至福願うは痛みし魂(ｺｺﾛ)
あの人の幻(ｶｹﾞ)抱きつつ…

明かり一つ灯して眠れ
夢は現と涙して…
幾星霜に思いを馳せて
いつかは癒えし灯(ﾋ)を見つけ…

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