転生とらぶる
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ペルソナ3
1908話
「ほう……この程度の問題が分からないと? 今まで真面目に勉学に取り組んでこなかった証だな。……これは処刑か?」
桐条の持つ、絶対零度の視線が順平、友近、宮本の3人に向けられる。
その視線を向けられた3人は、慌てたようにどうにか自分で問題を解こうと考える。
もしここで何か下手なことをすれば、自分がどんな目に遭うか……それを本能的に理解しているのだろう。
最初は年上の美人ということで、桐条の存在を嬉しがっていた友近だったが、その友近も今はひたすらに勉強に集中している。
そんな友近よりも勉強に集中しているのは、順平だ。
まぁ、順平の立場を考えれば、それは当然の事だろう。
もしここで下手に勉強で手を抜き、テストの成績が悪ければ……どのような結末が順平の身に降りかかるか、考えるまでもないのだから。
そういう意味では、宮本は先程までとそう違わない態度で勉強している。
ともあれ……
「桐条が来ただけで、かなり楽になったから」
「そうね」
ウーロン茶の入った紙コップを口に運びながら呟くと、ゆかりが同意して頷く。
ゆかりの様子が若干不機嫌なのは、桐条が来る前と来た後では順平達の勉強の速度が大きく違っていたからだろう。
もっとも、俺もゆかりも人に勉強を教えるといったような事はこれが殆ど初体験だ。
それに対して、桐条は結構教えるのに慣れているように見える。
この辺は年期の差か。
いや、純粋に年齢で考えると、俺は桐条よりも年上なんだが。
ただ、俺の場合は何かを覚える時とかも感覚的に覚えていく事が多いからな。
そうなると、やっぱり人に教えるのが得意って訳じゃない。
マリューとか千鶴は人に教えるのが上手いんだが。
「取りあえず、俺は桐条の分も飲み物を持ってくる。ゆかりはあの3人を見ててくれ」
「はいはい。もっとも、あの様子だと私が何かする必要があるようにも見えないけど」
桐条の視線に晒され、俺達と勉強をしていた時とは全く違った真面目な表情で勉強を続けている順平達を見ながら、ゆかりがそう告げる。
ぶっちゃけ、この場には桐条がいれば俺もゆかりも必要ないんだよな。
……その事が少し残念に思わないでもないが、楽が出来るのであれば、こっちとしても問題はない。
そんな事を考えながら、紙コップにウーロン茶を注ぐ。
何かお菓子を……と思ったが、今の桐条は乗りに乗っているといった感じである以上、迂闊に休ませたりしない方がいいか。
おかしはもう少し経ってからという事にし、ウーロン茶の入った紙コップを桐条に持っていく。
「む、すまないな。助かる」
「桐条が普段飲んでるような紅茶とかには及ばないだろうけどな」
まぁ、ペットボトルのウーロン茶が普段桐条が飲んでいるだろう紅茶レベルの味を出したら、それはそれで色々と凄いと思うが。
もっとも、そんな事は絶対に有り得ない。
本物が淹れた紅茶と、スーパーで売っているペットボトルのウーロン茶。
その2つにどれだけ大きな差があるのかは、考えるまでもないだろう。
もっとも、どこの世界でもそうだが、日本人の食べ物や飲み物に関する執念は凄まじい。
プロが淹れる本物の味にこそ及ばないものの、世界的に見ればトップクラスの味だというのは、間違いない。
特にその品質の差が大きいのは、チョコレートだろう。
ちょっと前にTVでやっていたのだが、外国人が日本で普通に100円程度で売ってるチョコを食べると、そのあまりの美味さに驚愕したらしい。
勿論本物の職人が作ったチョコレートには及ばないが、それより多少落ちる程度の味。
そのようなチョコレートが、100円ちょっとで売っているという事にTV向けとかそういう事とは関係なく、純粋に驚愕の表情をしていたのだ。
そんな訳で、日本人は飲食物にかけては信じられないだけの力を発揮する。
……まぁ、中にはゴーヤクレープとか、色々と特殊な食べ物を生み出す事もあるのだが。
「ふっ、それは構わないさ。それに、私だっていつもきちんと淹れられた紅茶だけを飲んでいる訳ではないからな」
笑みを浮かべながら、桐条は俺が渡した紙コップを受け取って、口に運ぶ。
「え? あれ……これって、もしかして……」
「うん? どうした? 友近だったか。何か分からない場所でもあったのか? もしそうなのであれば、すぐに分からないと言うのではなく、本当にそれが分からないのかどうかをしっかりと考える事だ。どうしても分からなければ、その解き方を教えよう」
数学の問題を解いていた友近が、不意に何かに気が付いたかのように呟き、それを見た桐条が友近に対してそう告げる。
友近は、そんな桐条に対してすぐに何でもないと首を横に振り、再び問題に戻っていった。
何だったんだ? まぁ、友近が意味不明な事をするのは、そう珍しい話じゃないんだが。
「ハイレグアーマー」
そして次に口を開いたのは順平だったが……何故ここでハイレグアーマー何て単語が出てくる?
「ちょっ、じゅ、順平! あんた、いきなり何を言ってるのよ!」
タルタロスの中で、ゆかりに着せようと順平と相談した時の事を思い出したのか、ゆかりは頬を真っ赤に染めて叫ぶ。
他の面々は、順平がいきなり何を口にしたのかと疑問に思って不思議そうな視線を向けている。
うん、こうなるとゆかりの慌てぶりが色々と目立つな。
それでもゆかりが助かったのは、普段であればそういう光景を見逃さない友近が、桐条という存在がいる為にゆかりにちょっかいを出してこなかった事か。
もし桐条がいなければ、ハイレグアーマーという言葉に反応したゆかりは、色々と弄られていた可能性があるだろう。
そして宮本は、元々ゲームとかそういうのにはあまり興味がないらしく、ハイレグアーマーという単語を聞かされても、軽く首を傾げるだけで再び勉強に集中していく、
ハイレグアーマーか。……ゆかりが着ている光景は俺も見てみたいんだけどな。
タルタロスで見つけたハイレグアーマーは、今も俺の空間倉庫の中に入っている。
桐条グループに預けようかとも思ったのだが……ああ、でも折角桐条が俺の部屋に来たんだから、いっそ今日桐条に持っていってもらうのも面白いか?
一瞬そんな事を考えるが、そのような真似をすれば確実に処刑されてしまうだろう。
出来ればそんな事は避けたい以上、止めておいた方がいいか。
「じゅーんーぺーいー……どうやら。勉強の教え方が、随分と優しかったのが悪かったみたいね。下らない事を考えられないように、もう少し厳しくする必要があるみたいね」
「え? あ、いや、その……」
哀れと言うべきか、順平は自分が口にした内容で思い切り追い込まれる事になってしまう。
助けを求めるように周囲に視線を向けるが、それに関われば間違いなくこっちにもとばっちりが来る。
そうである以上、俺に順平を助けるような真似は出来ず……
「宮本、こっちで単純な計算ミスしてるぞ。だからここからおかしくなっている」
「ん? ああ、ここで間違ってたのか。どうも数字が合わないと思ったら」
「ちょっ、おい、アクセル!? ここで俺を見捨てるとか、どういう事だよ! お前も……痛っ!」
何かを言おうとした順平だったが、それを最後まで言わせずにゆかりが持っていた定規で順平の手を叩く。
「ほら、順平。今までは優しく教えてあげたけど、ここからはしっかりと教えてあげるわね。嬉しく思いなさい?」
「ちょ……ほ、ほら。ゆかりッチ。さっきのは軽い冗談。冗談なんだってば。だから、な? 分かるだろ?」
「残念ながら、私には順平が何を言ってるのか分からないわ。分かるのは、しっかりと勉強を教える必要があるという事だけね」
満面の笑みを浮かべているその様子は、とても善意だけでそう思っている訳ではないのは明らかだ。
……まぁ、ゆかりを怒らせた順平が悪いんだし、その辺は自業自得と思って貰おう。
ともあれ、そんな風に勉強を進めていき……やがて外も暗くなる。
時計を見ると、既に7時近い。
うん、何だかんだで結構勉強したな。
順平を始めとした三馬鹿トリオの面々は、既に息も絶え絶えといった様子だ。
特に酷いのが、順平だろう。
ゆかりを怒らせた事もあって、まさにスパルタ教育! と言わんばかりに厳しい授業が行われていたのだから。
順平が馬鹿な間違いをしたり、集中力を切らしたりした場合に放たれる定規の一撃は、タルタロスで戦いを積んでいるからこそ、強烈な威力を生み出している……のかもしれない。
いやまぁ、実際には定規の一撃をそこまで重要に考える事もないだろうから、単純にゆかりが定規の扱いに優れていたって事なんだろうが。
……微妙な才能だな。
で、友近の方は……別に桐条がゆかりのように体罰を行いながら教えていたという訳ではなく、単純に友近が桐条にいいところを見せようと頑張りすぎたのが原因だ。
まさに、自業自得としか言いようがない。
で、宮本の方は……うん、まぁ、何だ。実は三馬鹿の中で最も頭の悪いのは実は宮本だったという感じだな。
というか、この状況で今までどうやって赤点を免れてきたのか、不思議に思う程だ。
一応教えられるところは教えたが、今日の夜にでも復習してしっかりと覚え直さないと、恐らくしっかりと覚えるのは無理だろう。
その辺がどうなるのか、だな。
もし宮本が面倒臭くなって復習をしなければ、この先勉強しても赤点を免れるのはちょっと難しいだろう。
そんな疲れきっている三馬鹿トリオに対し、ゆかりは順平をビシバシと定規で叩いて半ばストレス解消をしていたり、桐条は元々教えるのが上手かった為か、苦にした様子はない。
……まぁ、桐条の場合は友近が張り切ってるしな。
俺も多少は疲れているが、それでも三馬鹿トリオ程に疲れている訳ではなかった。
そんな訳で、教えられている方は疲れているが、教えている方はそうでもないといった感じだ。
時間も時間だし……
「ちょっと待ってろ。軽く食べる物でも作ってくるから」
「え? マジ? ラッキー、腹減ってたんだよな」
「嬉しいけど、野郎の手作りじゃなぁ……」
「助かる」
順平、友近、宮本がそれぞれ感謝の言葉を告げてくる。
いや、友近のは感謝の言葉じゃないか。
順平も同じく、嬉しがってはいるけど感謝の言葉を口にしてはいない。
……別にいいけどな。
「ゆかりと桐条は、うどんとかキノコとか、生卵とか、鳥のササミとか、水菜とか、大丈夫だよな?」
「随分と具体的だな。ああ、問題ない」
「あー……何かアクセルが何を作るのか分かった気がする。私も特に駄目なのはないわ」
2人が特に嫌いな食材はないと聞き、そのまま台所に向かう。
何だか順平達が自分達には聞かないのかとか何とか言ってるが、あの3人はよっぽどのゲテモノじゃなきゃ、喜んで食いそうだよな。
台所に向かい、パスタとかを茹でるような大きな鍋にたっぷりの水を入れ、火に掛ける。
当然のように、火は強火だ。
いざとなったら、炎獣でも生み出して鍋に突っ込んで沸騰させるという裏技がないでもないんだが……別に今はそこまで急いでいる訳でもないしな。
ともあれ、その間にエリンギは手で引き裂き、水菜は一口大に、ササミもは筋を取ってから細長く一口大に切っていく。
ボウルに12個の烏骨鶏の卵を割って、軽く溶いておく。
讃岐うどんは1束が1人前なのだが、今回は俺を含めて食べ盛りの高校生が大勢なので、思い切って10束入れる。
それを茹でていると、ゆかりと桐条がこっちに顔を出す。
「アクセル、何か手伝う事はある?」
「その、料理はそこまで得意ではないが、食器の準備くらいなら……」
「どうしたんだ、2人共」
珍しい。
そう言外に臭わせて告げると、ゆかりが不満そうに口を開く。
「だって、順平達はアクセルが料理してるのに……って目で見てくるんだもの」
なるほど。その気持ちは分からないでもない。
だが……
「もう何かやるような事はないぞ? ああ、それこそ食器とかを向こうのテーブルに持っていくってのはあるけど」
実際、俺が作ろうしている料理……荒垣直伝の釜玉うどんは、殆ど手間の掛からない料理だ。
うどんを茹でて、溶いた生卵に絡めて、味付けすれば出来上がりとなるのだから。
今日は男子高校生が3人いるという事で、エリンギや水菜以外にも鶏のササミを用意してみた。
釜玉うどんがさっぱりとした料理だけに、鶏もも肉よりもさっぱりとしたササミの方が合うと思うんだよな。
……ちなみに、鶏を家で飼ってて、それを処理して食べる人はササミを刺身として生で食うこともあるとか以前何かで見た覚えがあるが、健康上的には止めた方がいいらしい。
そんな風に考えながら、俺は時間を計って残り1分となったところで他の具材を入れ、コンロの火を再び最大にするのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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