歌集「冬寂月」
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五
眺むれば
残る枯れ葉の
愛おしき
落つるな涙
想い抱きて
小春日和なれど、風が吹けば冷々とし…雪がなくとも冬なのだと沁々思う…。
見れば木々に枯れ葉が残り、風に耐えている…それが何とも愛しく思えてしまう…。
私も涙を落とさないでいたい…あの枯れ葉のようであろうと…。
この想いを無駄に流してしまわぬように…。
ふりされば
染めにし衣も
褪せにける
憂きにたへなむ
わが心かな
時が経てば経つほど、染めた衣は色褪せてゆくもの…。
秋の紅葉が褪せて冬が来るように…人の身さえも同じこと…。
歳をとり…やがては死んでゆくだけなのだ…。
それなのに…なぜ人を愛しいと思い…共に在りたいと願うのか…。
私の心は…憂いて仕方無い…。
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