真田十勇士
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巻ノ百十六 明かされる陰謀その四
「そしてな」
「奉行所を調べ」
「そうして」
「ことと次第によってな」
まさにというのだ。
「大久保家を断ずる」
「わかり申した」
「それでは」
こうしてだった、家康は佐賀の奉行所に人を多くやりその蔵を調べさせた、すると実際にだった。
重い荷物の下にわかりにくい扉がありだ、そこを開くと。
階段があった、そこを下りると部屋があり。
中にだ、遂にそれがあった。調べた者達はそれを見て血相を変えて言った。
「これは・・・・・・」
「何ということか」
「すぐに大御所様にお伝えせねば」
こう言ってだ、彼等はそれを持って家康のところに飛んで帰った。そして家康にそれ、大久保長安と伴天連の者達の結託と天下転覆の証を見せるとだ。
家康は唸ってだ、こう言った。
「全ては決まった」
「左様ですか」
「大久保家のことは」
「この上なく厳しい断を下す」
不本意なのが顔に出ていた、だが。
家康は決心していた、それで言うのだった。
「このうえでな」
「はい、それでは」
「大久保家にではですか」
「そうされますか」
「うむ、捕らえた伴天連の者もな」
服部達との戦とその後で甲斐の大久保家の屋敷を抑えた時に捕らえた彼等もというのだ、多くは逃げられたが。
「火炙りじゃ」
「そうされますか」
「それはまた」
「この場合は致し方ない」
重い刑罰であるが、というのだ。
「あの者達は国を乗っ取ろうとしたからな」
「だからですか」
「あえて火炙りとして」
「そして、ですか」
「見せしめとしますか」
「そうする、他の伴天連の者達もな」
彼等もというのだ。
「やがて決まった場所に入れてな」
「天下を勝手に巡らせぬ」
「この度のことがない様に」
「そうしていきますか」
「普通の伴天連の者達も」
「そうする、そして佐賀を調べた者達はな」
彼等はというのだ。
「あの者達に伝えよ」
「はい、このことはですな」
「他言は無用」
「誰にも話すなと」
「そうせよ、黙っておれとな」
このことについてはというのだ。
「よいな」
「はい、わかりました」
「あの者達にはそう伝えます」
「決して話すなと」
「誰にも」
「そうせよ、しかしやはりな」
届けられた書についてだ、家康はまた言った。
「伊達家のことは一切書かれておらぬな」
「既にですな」
「危ういと見て、ですな」
「全て消した」
「そうなのですな」
「そうじゃ、大久保家より伊達家と思ったが」
これを機に取り潰そうとさえ思っていたがというのだ。
「出来ぬな、ではな」
「致し方がない」
「そうなりますか」
「少将様は担がれただけの様で」
「全くご存知ない様なので」
「よい、しかしあ奴がこのことを知れば」
この度の大久保家のことをというのだ。
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